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三体 死神永生 ネタバレあり感想

📕中国の話題の科学小説『三体』を読んで 

昨夜は夫婦で食卓に向き合って座り、中国のSF小説『三体 エピソード3 死神永生』を、無言で3時間読み続けました。

私は英訳"The Death End"を。主人は日本語訳の上巻を。

2人とも物語に没入し、途中で「えぇ!?」「うそ!?」「わぁ、すごい!!」など、思わず叫ぶこともありました。

時々、主人が「ねぇ、宇宙船の〈万有引力〉号は、英語で何て訳されてるの?」と少年のように質問してきて、

「ん~、普通にGravityだけど?ちなみに、Blue Spaceの日本語訳は?」
「それって〈藍色空間〉のこと?」
「なるほど!ところで、まさかsophonの和訳って〈智子〉とか?」
「sophonはカタカナでソフォンだよ」

…などの情報交換ができて、同じ本を二人で同時進行で別の言語で読むのは、なかなか面白かったです(笑)

『三体』はエピソード1『三体』も、エピソード2『暗黒森林』(The Dark Forests)も素晴らしかったですが、

このエピソード3は、主人公が女性というのもあり、
良い意味でも悪い意味でも”優柔不断”、弱く決断力に欠けるけれど、母性愛と責任感に満ち、賢く優しいヒロインのCheng Xin(程心)に、感情移入して読みました。

チェンシンが、血の繋がっていないお母さんに、愛されて大切にされて育ったこと。
彼女の生まれ育ちのエピソードは、すごく重要だと思います。
人間だけが、血がつながっていない弱者のために自分を捧げることができるのではないでしょうか。
それこそが、一番美しい愛の行為だと思います。

子供を産んでいない、若い娘の彼女が、母性と優しさを持って生きていたのは、彼女のお母さんの存在が大きいと思います。

また、この物語では、時空間を超えたロマンチックな恋が主軸として描かれています。
物語の中盤に、黄金に染まる麦畑の情景の場面があり、
その光景があまりにも美しすぎて、
本を読んでいる時、カフェにいたのに涙が止まらなくなって、ウェイトレスのお姉さんに心配されたこともありました…。

このスケールの大きい科学小説を書いてくれた、作家の劉慈欣さんに、敬意と感謝の気持ちを伝えたいです。
私にとっては宝物のSF小説となりました。早いですが、今年のベスト小説です。

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