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本屋さんのダイアナ、感動しました

"True friends are always together in spirit."
 ~"Anne of Green Gables"~

『赤毛のアン』が大好きな人にぜひ読んでほしい、日本の小説を紹介します。

📕本屋さんのダイアナ 柚木麻子著
https://amzn.to/371nKR7

この物語の主人公は、全く対照的な生い立ちの、二人の少女です。

一人は、キャバ嬢でギャルのシングルマザーに育てられ、自分のキラキラネームにうんざりしている文学少女。
読書が大好きで、本を読む時だけ、身の回りの全てから開放されて、本の世界に没頭します。

もう一人は、いわゆる「お嬢様育ち」で、両親に大切にされている女の子。何一つ不自由ない、恵まれた人生に見えますが、自分の世界を狭くて窮屈に感じています。

そんな二人が出会って、大親友になったのは、
二人とも、本が大好きだったからでした。

特に彼女達は、『赤毛のアン』シリーズを暗唱するほど読みこんで、愛していました。

小説の中で、二人がキッチンで「赤毛のアンのビスケット」を作る場面も出てきます!

やがて一人は地元の中学へ、もう一人は受験をして偏差値の高い中高一貫の女子校に進んでしまった頃から、
二人は離れ離れになってしまうのですが…

"True friends are always together in spirit."
真の友達は、いつも心は一つ

この名文が、私の心に何度も、何度も、浮かびました。
それは、私自身が、中学時代に赤毛のアンを暗唱するくらい何度も読み、このセンテンスが頭の中に入っていたからです。

この小説の素晴らしい点は他にもたくさんありますが(例えば、
🔴大学でセクハラされたら、どう対処すれば良いか!?
・・・という非常に大切な教訓を教えてくれます。女子大生には特に、読んでおくことをお薦めしたいです)

いちばんの魅力は、
「少女小説が、たくさん出てくること」です。例を上げると・・・

🔴おちゃめなふたご
🔴はりきりダレル
🔴おてんばエリザベス

・・・この3シリーズについて主人公の二人がしゃべっている時、嬉しくて叫んでしまいました。

私自身、小学4年生の頃、毎週のように近所の公民館に通い、この3つのシリーズを全部借りて読破したからです。
(これ以外に「マガーク少年探偵団」というシリーズにも、自分ははまっていました)

お嬢様育ちの少女は、成長して18歳になってから、フランソワーズ・サガンにハマってしまう(bad girlがかっこよくて、何となく憧れてしまう)ところも、リアリスティックでした。
もう一人の少女はオースティンにハマっています。

小説の中で、村岡花子さんの、あとがき文が引用されています。

「人と人の間では、相手が自分と同じ境遇にいるときは仲よくできても、相手が自分より高く飛躍すると、友情が壊れるという場合が、ないではありません。
それでいながら、アンとダイアナの友情は、決して変わることがありません。」

『本屋さんのダイアナ』の二人の女の子たちは
「アンシリーズは、アンが結婚してからは、つまらないよね~~」
とよく言っていますが、実を言えば私も、アンシリーズで面白いのは2巻までだと思っていました。

しかし、この村岡花子さんのあとがきを改めて読んで、
アンとダイアナの関係性について、そういう読み方があったのか!と驚きました。

余談ですが、モンゴメリの隠れた名作『丘の家のジェーン』が言及されていた時は
「こんなマニアックな本を、作者さんは知っているの!?」
と、また感動しました。
(※モンゴメリさんは『赤毛のアン』だけでなく、多くの大人の小説を書いています)

『赤毛のアン』のファン、
『おちゃめなふたご』などの少女小説のファンの方はもちろん、
本の好きなすべての人にお薦めしたい、素敵な小説です。

(私は柚木麻子さんの本は『ランチのアッコちゃん』を含めて他にもいくつか読んだことがありますが、この『本屋さんのダイアナ』が自分にとっては柚木さんのベストとなりました)

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