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『老後とピアノ』感想文 

『老後とピアノ』 稲垣えみ子著  
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とても素敵な本に出会いました✨

本書は、50代でピアノを再開した、著者の随筆です。
音大入学のためでも、プロのピアニストになるためでも、発表会で弾くためでもない-。
ただピアノが好きで、一度練習を始めると、時を忘れて没頭してしまう-。

そんな著書の姿から私が連想したのは、
飛ぶことが大好きで、誰かに評価されるためでなく、自分のために飛ぶことを追求し続ける
「かもめのジョナサン」の真っ直ぐな姿であり、

そして「音楽はショパンやドビュッシーのような天才だけでなく、普通の人も楽しめるもの」
という主題は、
(マニアックですが)アガサ・クリスティが考古学に夢中になった理由と同じだと、直感的に思いました。

※注:アガサ・クリスティは「王様や革命家のような有名人でなく、
はるか昔に生きていた普通の人の暮らしを紐解くからこそ、考古学は素晴らしい」と語っていました。

一方、本書の著者の稲垣えみ子さんは、
「ショパンやドビュッシーは、この曲を通して何を伝えたかったのか?
それを自分なりに消化して再現するのが、ピアニストの仕事だと思う」
という、米津真浩先生(プロのピアニストで、著者のピアノの指導者)の言葉を引用していらっしゃいます。

本書を通して、私自身とピアノの関係を、改めて見つめ直すことになりました。

4歳から22歳(大学卒業)まで、週1回のピアノ教室に通っていた私が、
最後に発表会で弾いた曲は、ショパンのノクターンと、モーツァルトのきらきら星変奏曲です。わりと基本的な曲です。
要するに、私はそこまでピアノが上手、というわけではありません。

しかし社会人になって、良い歌の先生に出会ったのがきっかけで、
自分で作った曲をピアノを弾きながら発表会で歌ったり、
自分の英語のレッスンで、子供達と歌うようになりました。
6曲の自作曲をiTunesで発表しましたが、そのうちの3曲は、信じられないことに、自分でピアノ伴奏を弾きました。
学生時代、全くピアノで目立ったことのない自分が、(※私よりピアノが上手い同級生は、たくさんいました)、そんなことをするとは驚きです。

ちなみに、著者の稲垣さんはピアノの楽譜を読みとるために、相当の努力をしていますが、
私の場合、楽譜の読み方はほぼ忘れたので、
自作曲をピアノで弾く時は、全て自分の頭と指の暗記に頼っています。
そんな、楽譜を読めない私でも、音楽を楽しんで良いのだと思います。それが芸術の世界の素晴らしいところです。

※驚くべきことに、私の歌の先生はピアノが超絶上手いですが、ピアノの楽譜が読めないそうです❗️彼女の書く楽譜は、常にギターのコードです。


「人生は、どれだけ何かを手に入れたか?でなく、
どれだけ人に与えたか?
どれだけ何かを表現したか?…で決まる」
それが、大人になってからの私の気づきです。

ピアノを弾いていると、その曲の響きから、
自分の心の状況に気づかされる日もあります。
その意味で、ピアノ演奏は瞑想にも似ています。

最初は「好きだから」始めたピアノ。
いつしか「生きるために呼吸をすること」と同義になりました。

「何のためにピアノを弾くのか?」の問が、
「何のために生きるのか?」の問と同義になるのは、そのためだと思います。

この本を今朝、勧めて下さったのは、
私のコーチングの師匠の奥村美里先生です。
奥村先生、いつも良い本のお薦めをありがとうございます。
奥村先生は、私の珍回答に非常にポジティブなフィードバックをして伸ばして下さる、素晴らしい先生です。

最後に余談ですが、この夏は仕事が最高潮に忙しく、
「あと2ヶ月、本を読む暇がないかも・・・」と朝から憂鬱に思っていました。

しかし、この本をオーディオブックで3倍速で聴いていたら、面白すぎて、知らないうちに読破してしまいました。

そして、この読書感想文は「15分で書く!!!!」と決意・宣言してから書きました。
(タイマーで15分、測りました)

時間がないからといって、何かをあきらめるのは、やめようと決意しました。

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