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リフレクション

柱に寄りかかって、冷たい木に頬を寄せる
甘い匂いがする
雨の日はとくに

湿気を含んだ空気には
君の甘い匂いも混じっていて
君のいないこの世界に
僕は君を感じることができる

僕は左手の珈琲カップに視線を落とし
そこに映る天井に焦点を合わせる

――もし君がこの世界にいたならば

いくら考えても出なかった問いを
ふたたび自分に投げかける

誰も喋らない
返事のない
部屋と廊下の間

その時間は永遠になる



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