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スマホ脳

アンデシュ・ハンセン 著  久山葉子 訳
新潮新書

《人間の脳はデジタル社会に適応していない。p.7 》

筆者がそんな風に考え始めたのは、
精神科医である筆者の診療所を訪れる
鬱病もしくは不眠症患者が急増したから。

そして、その急増した時期は
スマホが一般市民に浸透し始めた時期と
重なる。

デジタルに対応していく事が今の時代
必須のように言われている。

確かに小学生向けのプログラミング教室 
なんかも増え、若い世代は早い時期から
デジタルに接してるだけあって、上手く
対応しているように見える。

ところが私達の脳は全く対応していない。

《今のこの社会は、人間の歴史のほんの
一瞬にすぎない。地球上に現れてから99.9%
の時間を、人間は狩猟と採取をして暮らして
きた。私たちの脳は、今でも当時の生活様式
に最適化されている。脳はこの1万年変化して
いない。》p.8-p.9

そう考えると、あらゆる事の説明がつく。

1). 人が高カロリーの食べ物を好む理由
→人は長年飢餓と戦ってきた。食糧難の時代
を生き延びる為に、高カロリーのものを
好むように脳が進化した。

2). 人が悪口を好む理由
→長年他人に殺される事が死因の割合を大きく
占めていた。誰が誰を良く思っていない、など
の情報は生きる上で必要だった為、悪口を
好むように脳が進化した。

3). 人がコロナに過剰に反応する理由
→かつて「病死」と言えば癌や脳卒中ではなく
そのほとんどが「感染症」だった。
その為今でも尚、脳は感染症のニュースに
過敏に反応する。コロナの感染者数、
死亡者数などを私達が気にかけるのは、
脳の進化を考えれば当たり前のことなのだ。

4). ストレスを受け続けると鬱になる理由
→狩猟採取時代、人々が強いストレスを
感じるのは、猛獣などの危険に遭遇した時だ。
危険から身を守り、生き延びる為に、脳は
私達の気分(感情)を使って危険いっぱいの
環境から遠ざけようとする。ひどく気分を
落ち込ませる事で、引きこもらせるのだ。

それらと同じように、人がスマホに夢中に
なるのも、狩猟採取時代を生き抜く為に
進化した脳の特性に働きかけるから。

そう。スマホに夢中になるのはだらしがない
からではない、スマホに釘付けになるよう
あらかじめ仕組まれているのだ。

SNSの開発者や企業の多くは、行動科学や
脳科学の専門家を雇っている。

《ポケットからスマホを取り出すたびに、
自分の意思で取り出したと思ってるなら
それは大間違いだ。p.13》
私たちの脳はハッキングされている。

その証拠として、スティーブ・ジョブズを筆頭に、IT業界のトップはわが子にデジタル・
デバイスを与えないと言う。

1). 脳は常に新しいものが好き
進化の観点から見れば、人間が知識を渇望する
のは不思議なことではない。周囲をより深く
知ることで、生存の可能性が高まるからだ。
・天候の変化がライオンの行動にどう影響
 するか。
・カモシカがいちばん注意散漫になる状況は?
それがわかれば狩を成功させられる確率が
増し、猛獣の餌食になるのも避けられる。
その結果、自然は人間に、新しい情報を
探そうとする本能を与えた。(p.71-p.72)
情報と同じく新しい環境やニュースも
欲しがる。現代では新しい情報を運んで来る
スマホに人は夢中になる。

2). 「もしかしたら」がスマホを欲させる
食料難の時代には、実がなっているかどうか
わからない木でも登って見てみない事には
生きていけない。不確かな結果でドーパミン
(脳の報酬物質)の量が急増するように進化
している。
人間に組み込まれた不確かな結果への偏愛。
それを利用したのがギャンブルだが、
スマホも同じ。通知音が聞こえたら「大事な
知らせかも知れない。」とスマホを手に取る。


このようにスマホは、人間の脳の特性に
働きかけているので、スマホに夢中になるのは
仕方ない部分もある。

だからと言って、依存していいというわけ
ではない。

スマホ依存による悪影響(不眠、鬱、集中力
や記憶力の低下)は深刻だ。


スマホなしでの生活は難しいが、利用時間を
短くする事は出来る。その為のアドバイスが
最終章に書かれてある。

⚫︎目覚まし時計と腕時計を買おう。
(スマホでなくてもいい機能は、スマホを
使わないようにする。)

⚫︎スマホの表示をモノクロに。
(色のない画面のほうがドーパミンの放出量が
少ない。それによって、どのくらいスクロール
を続けたくなるかが大きく左右される。)

⚫︎SNSは積極的に交流したいと思う人だけを
フォローしよう。

など…

気になる方はぜひ読んでほしい。

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