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海辺のカフカ 上下

村上春樹 著  新潮文庫
名作と、高く評価されて久しいこちらの小説を。
今頃になって初めて読んだ次第です(^^;

学生の頃に、村上春樹の作品は好んで何冊か
読んだものの。

社会人になり。結婚して子育てに追われ。
長らく読書自体から遠ざかってしまい、
読破するには至らず。

ふと読みたくなったのは。Twitterの相互フォロー
さんがこちらの作品をツィートしてたから。

もちろん彼女は初見ではなく。
コロナ自粛中に、読み返したということでの
ツィートでしたが。

そんなことできっかけは出来たものの。
実際に手に取るまでに、そこからまた、
だいぶ時間がかかりましたね…

何せ上下巻とも分厚くてかなりのボリュームです。
読み始めるのに覚悟がいります。
読むのが大変そうだ、と思う反面
逆に読むのがやめられなくなって家事や仕事が
億劫になるのではないかという不安。

加えて。私は本は出来る限り中古を購入
するようにしているのですが。
BookOffに通うもしばらくの間は、私が行く時に
限ってなぜか下巻だけしかなかったり💦

そんな日々を経てようやく読み始めたのですが。

読み始めると案の定、続きが気になって仕方ない😅村上春樹の作品の多くがそうであるように…

その点と、情景描写の美しさから、まるで映画や
ドラマのような動画を観ている感覚になりました。

独特で圧倒的な世界観。
そして、フィクション、ファンタジーでありながら
ひょっとすると現実なんじゃないかと思わせる設定や描写、物語の運びにはただただ敬服するばかり
です。

早く読み進めたいのに。
終盤になると読み終えたくない、
まだ読んでいたい、
物語の世界に浸っていたい、

そんな風に思わせるのも村上春樹の作品ならでは
ですね。

印象に残っているのは終盤の、大島さんの兄で
ありサーファーであるサダさんがカフカ君にかけた
言葉です。

ハワイのトイレット・ボウルと呼ばれるスポットについて…

《でもとにかく君は海の底で、波にもまれながらじっとしていなくちゃならないんだ。あわててじたばたしたところでなんともならない。かえって体力を消耗するだけだ。実際にそういう目にあってみると、こんなにおっかないことはちょっとほかにはないね。でもそういう恐怖をいったん乗り越えないことには、1人前のサーファーにはなれない。死と2人きりで向かい合って、知り合って、それを乗り越えていくんだ。その渦の底で君はいろんなことを考える、ある意味では死と友達になり、腹を割って話をすることになる。》下巻p.511

カフカ君と同年代の、悩み多き思春期の読者に
向けたものとも取れますが。

全ての年代の人に当てはまることなんじゃないかな。何かトラブルが起こるとつい焦ってしまうけど。じっと静観し、行動を起こすタイミングを見計らう事も大事だと。

あるいは、日にちが全てを解決してくれる場合
だってありますよね☺️ 
とにかくじたばたするのは逆効果だと。

以上、概ね非常に楽しく読ませて頂きました。

ひとつだけ…どうしても解せない部分がありまして
それについても書いておきます。

ナカタさんの女性教師の夢のくだり、必要だったのかな?後になってそれに繋がる話が出てくるかと思いきやそういう事もなく。あんなに詳しく細かくなくてよかった気が😅

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