名画を所有するとはどういうことか?〜アーティゾン美術館「空間と作品」展
「美術品は美術館で見るもの」ということが常識になっている近年の事情はさておき、いにしえの時代においては、美術品は美術館で展示されるためのものではなかった。美術品は教会・寺院などの宗教施設や王侯貴族の邸宅に存在した時代を経ていつしか市民の家の壁を彩り、その暮らしの中で愛でられるようになった。つまり、人々の日常的な空間にあるのが当たり前のものになっていたのだ。それゆえ、毎日目にする住人にとって美術品は、普段は空気のような存在だったとも考えられる。しかし、素晴らしき作品は、その空気