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千葉正也は創造主だ!絵画の新世界をオペラシティで発表。使徒はペットのカメ?!🐢

千葉正也さんは1980年生まれの気鋭の現代美術家。つあおとまいこが東京オペラシティアートギャラリーで開かれている立体的でダイナミックな構成の個展会場を訪れると、そこで思わぬ発見がありました。何と、亀がいたのです。

つあお この会場、亀がいるんですよ!

まいこ 美術展に亀! 生きた亀ですか?

つあお 木屑を敷き詰めた通路のようなものが会場全体に張り巡らされていて、すごいインスタレーションだなと思ったら、亀のウォーキングのための道でした。

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東京オペラシティアートギャラリー「千葉正也個展」会場風景

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早速亀発見!

まいこ つあおさん、亀、お好きなのですね?

つあお それほどでも。笑 でも、思ったより速く歩いている。

まいこ 亀のハイウェイですね!笑 この亀、足が長くないですか?

つあお ほんとだ、意外な長さだ!

まいこ 足には膝もある! 甲羅に隠れてるけど、実は足けっこう長いのかも! 私達に追いつくくらいの速さでガシガシ歩いてる。この亀さん、半日もあれば会場全部周れそう。

亀のウォーキング風景(歩いている亀はローラ)

つあお ちなみに、この亀の名前はローラです。もう一匹ジェニファーという亀もいて、どちらも千葉正也さんの飼い亀なのだそう。

まいこ つあおさん、区別つくんですか?

つあお 甲羅がちょっと違うんです。

まいこ つあおさん、すごい! 亀の区別がつくなんて。そういえば、千葉さんが描いた絵の中にも、亀が出てきますね。それも今ここにいる生きた亀さんが! そして一緒にたくさんの人型オブジェも描かれている。

つあお まるで発掘された彫刻のような人型が多いですよね。たこみたいなのもいたりするけど。紙粘土や木片を使って千葉さんが自分で作っているそうです。

まいこ 同じ人型オブジェが昔の絵にも新しい絵にも登場しますね。何度も登場するから、時空を超えて生きているようで、何とも不思議な感覚!

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「千葉正也個展」会場風景
たくさんのオブジェが並んだ風景を描いた絵画が展示されている

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この人型さんは昔から何度か登場しているようです

つあお それぞれのオブジェは作った年代が違うのに同じ画面に描かれるから、時空をまたいだ感じがするんだ。ちょっと博物館のような感じもしますね。

まいこ 私の目には、まるで、絵の中でキャラクターたちが生活しているようにも見えます。

つあお そうか、オブジェはキャラクターなのか。

まいこ 絵はもしかしたら劇場の「舞台」または映画の「ワンシーン」なのかも! そして、展覧会は「劇場」。オブジェはその劇場の中でいろんな役を演じていて、どれもお茶目。最初は、オブジェ自体も作品なのだろうと思ったんですけど、あくまでも絵画を描くためのモチーフとして作ってるってシュウゴアーツの大谷樹生さんに教えていただきました。ご自分のアトリエの棚には、今まで作ったオブジェが全員いるらしいですよ。それも意外だったんです。古くなったものを捨てたり壊したりしないのかなって。どんどん増えてきて大家族みたいになってる。きっと千葉さんのファミリーなのですね。

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「千葉正也個展」会場風景
『あしたのジョー』に出てくるセリフらしき言葉が見える

つあお オブジェの大家族の絵! 面白いなぁ。せっかくオブジェを作っているのにそれを作品とはせずに、あえて絵に描く発想は面白い。家族の記念写真をときに応じて撮影していくような感じですね。で、その中にね、漫画の『あしたのジョー』を引用した絵があったんですよ!

まいこ キャラクターが絵で描かれているわけではなくて、漫画に出てきたような言葉を字で書き込んでましたね。『あしたのジョー』はお好きなんですか? 

つあお アニメを見ました、子どものころ。貧乏の底から這い上がって、すごく強いボクサーになる。でも途中でライバルが死んじゃったりとか悲しいこともあったりして…。

まいこ スポ根! 昭和っぽい!

つあお もうまさに昭和!

まいこ 千葉さんは1980年生まれ。昭和世代ですね。

つあお をを! だから『あしたのジョー』が入ってるんだ。『あしたのジョー』も、千葉さんにとってはオブジェみたいなものなのかな。オブジェといえば、壁にしつらえられていた本棚が印象的でした。蛇の形をしている! 本棚なんだけどオブジェ。あれも時空を超えている。

まいこ うん、あれは面白いと思いました。時空とはどう関係あるんですか?

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千葉正也《ヘビ製本棚》展示風景
床に「宇宙英雄ペリー・ローダン」シリーズで現在までに収集した627巻が並んでいる

つあお 千葉さんは「宇宙英雄ペリー・ローダン」という世界で2番目に長いと言われるSF小説シリーズ571巻を並べるためにこの本棚を作ったんだそうですよ! それが蛇型なんです。たわくしは、蛇はやはり、宇宙の象徴なんじゃないかなと思うんですよ。旧約聖書の「創世記」でも重要な役割を果たすし。この本棚、にょろにょろと宙空に向かって飛ぼうとしてるように見えませんか?

まいこ だからSF小説を入れるのにいいんですね! 思うに、千葉さんはきっと凝り性で、571巻がぴったり入るように作ったんじゃないかな。曲がっているところにもきれいに入れていたに違いありません。

つあお あの構造は、驚き桃の木です。でも、その後もシリーズの刊行が続いたから入らなくなったんだとか。

まいこ 結局、今回の展示では、シリーズの本は全部床に置いてありましたね。

つあお 蛇は脱皮する動物だ!

まいこ そうですよ! 脱皮ヴァージョン作ってもらって、全部入るために大きくなりましたっていう蛇の棚を期待したいですね。

つあお やっぱり蛇は時空を超えるんだ!

まいこ 時空を超えるといえば、私は一番最初に展示されていたハート型の作品がすごく心に響きました。あらゆる時空を超えてますよ、あの形は。

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つあお さすが、乙女ですね。あの作品、ハートがちょっとアバウトな形してるってところがいいなと思いました。

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千葉正也《ハート》と戯れるまいこ

まいこ そうですよね。よくあるステレオタイプ的なハートの形じゃなく手作り感のあるハートで、でも結構大きくって、なんか標識みたいにバーンって出てきてた。

つあお 飛び出てましたね! ハートってやっぱり愛だから飛び出してくるんですよ。

まいこ 漫画で心臓が飛び出てるみたいな? 今、映画『マスク』のジム・キャリーが超頭に浮かんでいます!

つあお そう。受け止める方はあんまり飛び出してくる感じではないかもしれないけど、こっちから愛を送りたいときに、相手に向かってハートは積極的に飛び出して行く。ドキューンって感じです。

まいこ なるほど! そういう作品、いくつかありましたね。大きいのも、ちっちゃくぽんぽんって出てるのもあって、最後に衝撃の焦げたハートがあった。

つあお 焦げたハートは印象的でしたね! あれはやっぱり燃える愛なんじゃないですかね。

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千葉正也《焦げたハート》展示風景

まいこ 一番最初は黄色くて明るいハートだったじゃないですか。ハートで始まってハートで終わる展覧会だった!

つあお ホントだ。

まいこ 最後のハートは割れ目のところが焦げてた。「焦げて終わったのか」って、ちょっと残念に思いきや、制作風景を映したビデオがあって、あれを見て「そうじゃない!」って思いましたね。

つあお 焦げてるのがまず衝撃でした。

まいこ 焦げてること自体は、寂しかった。ああ、終わってしまったんだ、みたいな。そしたら逆でしたね。

つあお そうですね。ビデオではむしろ、燃えさかってた! 愛はやはり燃えるのです!

まいこ 美術館に燃え盛ってるところを展示するわけにいかないから、ビデオで見せたんですかね。小学校で体験した、虫眼鏡で紙を燃やす科学実験みたいに燃やしてた。そこは実に千葉さんらしいなと思いました。

つあお 確かに! 千葉さんは、実験好きなのかもしれない。

まいこ 紙粘土で人型オブジェやヘビを作り、様々な日用品と組み合わせて描く! その繰り返しは、実験でもあり、本番でもあるのではないかな?!

つあお そうですね。亀を飼ってるしね。

まいこ この亀は、今展のキーパーソン(キータートル?!)。絵画の登場キャラクターの中で唯一実際に生きて動いている自然の創造物。そして私たちと一緒に千葉さん展を鑑賞して絵の中と外を自由に行き来しています!

もしかしたら、この「絵画間ワープ」を実現するのが千葉さんの野望なのかもと思えてきました(^_-)-

つあお 考えてみたら、亀も長い時空を生きる動物。千葉さんと一体化しているのかも!?


[おまけ]

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千葉正也《温かいキュレーター》展示風景
ホットカーペットに油彩画を載せたこの作品は、足で踏みつけることも可能。絵画の可能性を問う作品だ。もっとも、つあおは踏もうと試みたものの、描かれた東京オペラシティアートギャラリーキュレーターの堀元彰さんが恐れ多くて、結局は踏みつけることができなかった

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亀と蛇

Gyoemon作《亀と蛇は宇宙を泳ぐ》
千葉正也個展に想を得て生まれた迷作。ひょっとしたら世の中は爬虫類に支配されているのかもしれません。Gyoemonはつあおの雅号

※掲載した写真と映像は、プレス内覧会で主催者の許可を得て撮影したものです。

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「千葉正也個展」(2021年1月16日〜3月26日、東京オペラシティアートギャラリー)について
(東京オペラシティアートギャラリーのウェブサイトより引用)


近年国内外で著しい活躍を見せる千葉正也の個展です。
千葉正也(1980 生)は、現在東京・八王子エリアを拠点に活動し、個展のほか、国内外の数多くのグループ展に参加。また、武蔵野美術大学、多摩美術大学などで後進の指導にあたるなど、時代を担うペインターのホープとして大きな期待と注目を集めています。
美術館では初となる今回の個展では、彼が一躍注目を集めるきっかけとなった《平和な村》(2006年、高橋龍太郎コレクション蔵)をはじめ、国内外の美術館や個人が所蔵する2006年以降の彼の代表作が一堂に会します。また、ユニークなドローイング作品のほか、新作のペインティング、映像作品、大がかりなインスタレーションもあわせて展示します。
展示全体が千葉正也ワールドともいえるような展覧会会場のなかで、斬新でスリリングな絵画体験をお楽しみいただけることでしょう。



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