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つあおとまいこのゆるふわアート記

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みなさん、こんにちは! 浮世離れマスターズのつあお&まいこです。ゆるゆるふわふわのアートツアーに参加しませんか。
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2023年1月の記事一覧

大竹伸朗と「別海」の酪農生活

NHK「クローズアップ現代」をたまたま見ていたら、テーマが「朝一杯の牛乳が消える!? 酪農危機の知られざる実態」。興味を引かれ、見続けていると、ほんの少しだけだったが、北海道・別海の酪農家が映った。 現代美術に親しんでいる者の中には、「別海と言えば大竹伸朗!」と思う人も結構いるのではないだろうか。大竹さん独自の書体による「別海」の文字を施したTシャツなどもミュージアムグッズとしてかなり以前から販売されており、「別海=大竹伸朗」というつながりは、瀬戸内国際芸術祭などを中心に、

死を通して生を伝える藤原新也の祈り@世田谷美術館

写真家として知られる藤原新也さんの半世紀間にわたる活動の中で生まれ出てきたものを目一杯受け止めることのできる「祈り・藤原新也」展が、世田谷美術館で開かれている。 まず心を捉えたのは、まだ20代の頃にインドに渡って撮影した写真の数々だ。 とても半世紀も前の風景とは思えず、今も生きているインドの姿が写っていることを感じた。仮に同じ場所の今の風景が近代的な姿に変わっていたとしても、あまり重要なことではないだろう。藤原さんの写真は過去の記録というわけではなく、インドのそこここにある

若い写真家たちが現代の諸問題を考えさせてくれる「プリピクテジャパンアワード」@東京都写真美術館

東京都写真美術館で開かれている「プリピクテジャパンアワード」という展覧会は、まだ3回目という若いアワードなのですが、筆者の雑感としては、すこぶるすぐれた内容でした。8人の作品が展示されているのですが、この記事では、そのうちの5人について書いておきます。 アワードの今回のテーマは「火と水」。審査員は、森美術館特別顧問の南條史生さんら4人です。写真とサステナビリティに関する国際写真賞プリピクテが日本を拠点とする写真家を対象にしたのが、このアワードとのこと。日本には森山大道や荒木

田中泯が山梨県の農村地域で起こしたアートムーヴメントを顕彰する展覧会のキュレーターは名和晃平

千葉県市原市の市原湖畔美術館で「試展―白州模写」と題した展覧会が開かれています(1月15日まで)。この展覧会、ゲスト・キュレーターが何と気鋭の現代美術家の名和晃平さん。それを聞いただけでもちょっとわくわくしますよね。 内容はさらに興味深いもので、舞踊家や俳優として知られる田中泯さんが1980年代後半から山梨県の白州町(現・北杜市)に移住、約20年間にわたって展開した「アートキャンプ白州」などのアートイベントを「模写」するという展覧会なのです。すでに著名だった田中さんのもとに