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私の好きな野球映画を紹介します


「COBB」

(監督:ロン・シェルトン、出演:トミー・リー・ジョーンズ)
1905年からタイガースで活躍したタイ・カッブの半⽣を、スポーツライターの視点から描いたストーリーです。この映画が好きなのは視点です。

晩年のカッブが⾃伝を残すためにライターを呼び、⾃分の思うままに描かせようとしますが、ライターはカッブの負の部分も含めてすべてを描きます。

そこに⾄るやり取りは今でも実際にありそうで、ライターの仕事を考えさせられます。ア・リーグで9年連続を含む12回の⾸位打者を獲得するなど通算4191安打を放った好打者ですが、ラフプレーでも有名で、スパイクの刃を磨いてとがらせスライディングで相⼿を傷付けたといいます。差別主義者で、観客相⼿にケンカをすることもあり、脅迫を受けて球場へ⼊るのに警護がついていたことも。映画でもどこまで実話なのか…と驚くエピソードの数々が⼊っています。

「エイトメンアウト」

(監督:ジョン・セイルズ、出演:ジョン・キューザック、チャーリー・シ
ーン)

1919年のブラックソックススキャンダルを描いた作品です。シカゴ・ホワイトソックスとシンシナティ・レッズとのワールドシリーズで、ホワイトソックスの8選⼿が⼋百⻑⾏為を働いて永久追放になっています。

監督のジョン・セイルズが、シカゴの野球記者で作家としても活躍したリング・ラードナーを演じています。なお、伊東⼀雄⽒、⾺⽴勝⽒の著書「野球は⾔葉
のスポーツ」(中公⽂庫)には、ラードナーのこんな⾔葉が載っています。

「この世で⼀番みじめなのは、年をとった野球記者だ」
「若い野球記者やすべての野球ファンによってワールド・シリーズは⼤変なスリルに違いない。だが、私のような年をとった野球記者には、顔なじみの
連中と昔の野球の思い出話をするいい機会というにすぎない」

「野球は言葉のスポーツ」

プロ野球担当記者だった若⼿の頃にこれを読んで「そんなものかな…」と思った覚えがあります。前述の「COBB」といい、映画を観ていても、どうしても野球記者に注⽬してしまいますね。

ちなみに私はこの映画、ビデオで持っています。ラードナーのエピソードを紹介する「野球は⾔葉のスポーツ」の著書の1⼈、⾺⽴さんに頂いたものです。かつて⾺⽴さんは⽇本野球機構(NPB)の法規部⻑を務めており、私は担当記者だった頃に雑談で野球映画の話をしていて「エイトメンアウトが好きだ」と⾔ったら翌⽇に持ってきてくれたのです。

時代が流れて我が家にビデオデッキはなくなってしまいましたが、このビデオテープは今でも⼤切に保管しています。

「がんばれ!ルーキー」

(監督:ダニエル・スターン、出演:トーマス・イアン・ニコラス)

上記2作はシリアスな作品ですが、これはお⼦さんも楽しめます。主⼈公のヘンリー君はあまり運動が得意ではない少年ですが、転倒して肩を⾻折したことを機に、ものすごい速球を投げられるようになり、カブスに⼊団して活躍するというストーリーです。

この映画が素晴らしいのは何といってもカブスの本拠地、リグレー・フィールドの雰囲気を存分に味わえるところです。奇想天外なストーリーなのに、本物のカブスのユニホームにリグレー・フィールド。これだけで引き込まれていきます。

なお、この映画は1993年の作品で、低迷期と描かれているカブスの実際の監督はロッテでもプレーしたジム・ラフィーバーで、この年もナ・リーグ東地区の4位に終わりました。なお2016年に、ようやく108年ぶりのワールドチャンピオンに輝いています。

私が初めてリグレー・フィールドを訪れたのは松井秀喜選⼿が⼤リーグに移籍した2003年6⽉6⽇(⽶国時間)です。

その直前の3⽇にカブスの主⼒打者サミー・ソーサ選⼿がコルク⼊りのバットを使ったことが発覚したとあり、球場内は⼤騒ぎでした。それでも蔦のからまる伝統の舞台で⾏うデーゲームは⼼に残りました。

「Mr.3000」

(監督:チャールズ・ストーン三世、出演:バーニー・マック)
これもお⼦さんと笑いながら鑑賞できます。殿堂⼊りに必要な通算3000安打を放って引退した主⼈公のスタン・ロスは、「Mr.3000」を売りに新たな⼈⽣を謳歌していますが、9年後に記録のミスで実は3安打⾜りなかったことが発覚。「Mr.2997」では格好がつかないと、残り3本を⽬指して10年ぶりに現役復帰するというストーリーです。

この作品もブルワーズのユニホームで、フィクションと分かっていながら引き込まれていきます。ストーリーは覚えているのですが、ちょっと結末があいまいなところがありますので、もう1度観たいですね。

「⼈⽣の特等席」

(監督:ロバート・ロレンツ、主演:クリント・イーストウッド)
イーストウッドが演じる⽼スカウトと、溝ができてしまった娘をベースボールがつなぐストーリーです。娘役のエイミー・アダムスがとても素敵なんですね。野球をするシーンがありますが、かなりサマになっています。この映画を観て、すっかりファンになってしまいました。

また、⽼スカウトの「パソコンなんかに若い奴らの才能は⾒抜けん」という⾔葉が印象的です。もちろんデータも重要な要素ですし、現代は情報過多ですから、⽇本プロ野球界においても⼀昔前のようなドラフト会議における「隠し⽟」という存在はほとんどいません。ただ、選択をする最後のところで、スカウトの勘があるような気もしています。

クリント・イーストウッドの映画はまだまだ観ていないものも多々ありますが、野球と関係ありませんが「グラントリノ」が好きです。汚い⾔葉を使うことが格好いいという感覚は今イチ分かりませんが…⽣きる上で⼤切なものは何かということを考えさせられます。

「陽だまりのグラウンド」

(監督:ブライアン・ロビンス、出演:キアヌ・リーブス、ダイアン・レイン)
⼤リーグの取材でシカゴに⾏ったとき、ホワイトソックスの本拠地USセルラーフィールド(現ギャランティード・レート・フィールド)でのデーゲームを終え、その⽇のうちにニューヨークへ移動したかったのでオヘア空港へ急いでいました。

ドライバーにつたない英語で時間がないことを伝えると、張り切って裏道を⾛ってくれたのですが、正直⾔ってちょっと怖い場所もあって、治安に恐れを抱きながら窓の外の⾵景を⾒ているうちに、この映画を思い出しました。

毎⽇の⽣活に不安を抱きながら、野球をすることだけが楽しみに⽣きている少年たち。彼らが⼀歩ずつ成⻑していく姿を⾒ていると、スポーツに⼤切なのは真剣に取り組むという過程であって、勝つという結果ではないと感じます。そして、⼈々の⽣活の中でスポーツは希望になる存在であってほしいと願います。

⻑嶋茂雄さんが座右の銘とする「野球とは⼈⽣そのものだ」という⾔葉は、年々重く感じられます。学童野球の指導者をした経験もある私にとって、この映画は涙なくして観られません。

「ワン・カップ・オブ・コーヒー」

(監督:ロビン・B・アームストロング、出演:ウィリアム・ラス)

ボブ・デュランに「One More Cup of Coffee」という曲があります。「One more cup of coffee’ fore I go(私が去る前にもう⼀杯のコーヒーを)」という歌詞が表現するのは、もう少し、もう少しの間だけ…という意味でしょうか。

アメリカのプロ野球界では、ほんの短い期間だけ⼤リーグに昇格した選⼿を「one cup of coffee」と称します。「ほんのコーヒーを⼀杯飲むだけの時間」という意味になります。

主⼈公はほんの3週間だけ⼤リーグに昇格したことがあり、その後はマイナーでプレーを続けています。その彼が才能ある若⼿に⾃分のすべてを教えていくというストーリーです。

ちなみに⼤リーグでは「The man(男の中の男)」と呼ばれるカージナルスのスタン・ミュージアルにホームランを打たれているという設定です。

「メジャーリーグ」

(監督:デビッド・S・ウォード、主演:トム・ベレンジャー、チャーリ
ー・シーン)

⼤ヒット作品で、私も学⽣時代にリアルタイムで何度も観ました。低迷していた80年代後半のインディアンスを描いています。フランチャイズ移転を⽬論み、新オーナーがチームの弱体化を⽬指し、ちょっと⼀癖ある選⼿ばかりを集めます。

しかし、選⼿達が奮起して戦っていくというストーリーです。チャーリー・シーンが演じるノーコン投⼿のリッキーは、メガネをかけた途端にコントロールがよくなり名ストッパーになります。試合終盤に「ワイルドシング」のテーマソングに乗ってマウンドに向かうシーンには興奮しましたね。

なお、この映画には続編があって「メジャーリーグ2」「メジャーリーグ3」には、とんねるずの⽯橋貴明さんが出演しています。

私が取材テーマにしているイップスの話題も出てきます。

ほかにもたくさんありますので、また続編を書きたいと思います。

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