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トヨタ物語 ウーブン・シティへの道|第41回 病院のカイゼン

■できることは対応と対処

 トヨタのカイゼンは生産現場から始まり、世界各国の生産現場、協力会社、販売店と広がり、物流から、開発、経理、広報といったセクションにも導入されていった。そして、関連施設にもいきわたるようになり、食堂に続いて、トヨタは病院でもカイゼンをしている。

 すべての職場にカイゼンと原価低減が普及しているのだけれど、忘れてはならないことは将来予測に重きを置いていないことだ。

 トヨタ生産方式の原則は「将来予測が100パーセント当たることはない」というものだ。どれだけ知能を振り絞って新車の販売台数を予測したからといって、それが現実になることはない。コロナ危機が起こることなど、世界の権威もAIも予測のしようがないことだ。

 予測にエネルギーをかけるよりも、起こったことにフレキシブルに対応する。考えてみれば、人間が自然の驚異に対して、できることは対応することしかない。ただし、対応のスピードを上げる。おろおろしたりせず、リアリストに徹して現実に向き合い、方針を決める。

 病院のカイゼンでもその原則は生きている。

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