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PhotographySocialFrame #08

PhotographySocialFrame
100枚の写真の展示

終わりました。無事。
ほんとに楽しかった。
準備もそうだし、当日色々な人と写真の話ができたこと。
自分の写真を展示する事は、恥ずかしい事だ。
それを真摯に見て、話してくれる人がいるのは、有り難い事だ。
展示はやる側になるとあらゆる心配事が尽きないが、やり切ったら100%やって良かったとなる。
もちろん反省点はあるが、それを知ることができたのも含め良かった。

写真は個人的なものだが、同時に社会的なものだと思う。
僕の超個人的な、記憶が映っている。
本当に嬉しかったことも、本当に苦しかった時も、この100枚には映り込んでいる。
でも、写真という形になった途端、それは他者からも鑑賞可能なモノになり、展示できる。
写真を見た人は、僕がそこに込めた想いなど全く関係なく、その人の中の記憶を投影して、違う景色を見ているのだと感じた。
一人ひとりが別々の世界を観ていて、それが重なり合える表面が写真だった。
マルチバースの実装のようなもの。
それを目の当たりにできたのは楽しかったし、希望だ。

今回の展示は、まず写真が100枚あり、全てにタイトルが付いていて、全てNFTとして買えて、プロジェクションによる照明もやり、さらに、3人の協力者による異なるメディアへの展開例の展示&販売と、要素が多いものになった。
その準備は予想以上に大変で、1ヶ月でやるにはナメていた。前日、当日まで作り続けて、ギリギリ間に合っていなかったが、気合いで完成させた。
見守ってくれた人、相談に乗ってくれた人、手伝ってくれた人、作ってくれた3人、そして何より、来てくれた人。
その誰も欠けてもマジで実現しなかったので、ほんとにありがとうございます。

この100枚はとても大切で、僕はこの写真たちを生かす義務があるとさえ思っている。
モノは人と同じで、社会の中で必要とされ、役割を持つことで生きているということができると思う。

「PhotographySocialFrame」は、100枚の写真を、色々な人と一緒に、本や、服や、Webサイトや、SNSや、CDのジャケットや、街中の看板など、様々なメディアに乗せて社会に広げていくプロジェクトだ。
世の中に広がり、様々な人の手に渡ることで、写真は生きた存在となり、2023年以降のこれからの時代をもアーカイブすることになる。
より多くの人の手によって写真が使用され、伝播すればするほど、人々の記憶の中でその時代は生き続け、それは私たちが生きた証となる。
この展示は、そのスタート地点としてやると決めた。

だから今回ほんとにできて良かったのが、このプロジェクトの最初の参加者、有本怜生くん、佐藤珠水さん、工藤俊祐くんとのコラボレーションだ。
実際に異なるメディアへの3つの展開例を示して、来た人に触ったり持ち帰ってもらえたのは最高だった。
既に少しづつ、写真が人々の手に渡り始めたのだ。
他にもたくさん声かけたい人はいたけれど、紙、布、スクリーン という3つの原理的なメディアの展開例を見せるというのが一番いい気がして、この3人を誘った。
実際、3つが揃った時の説得力は結構あって、理解してもらいやすくなったと思う。
気をつけたのは、ただの素材として写真を使用し、新しい作品を作ってもらうこと。
僕の作品ではなく、3人の作品にしてほしかった。

100枚の写真を使用してそれぞれ作ってくれた作品
Leo Arimoto 作、紙をクリップでまとめた冊子。
3枚好きな写真を選んでもらい、ポスター2枚で挟んでお渡し。
¥800
Tamami Sato 作、写真を印刷した布で包んだバッジ。
紐が付いてるのでバッグや服に付けて帰れる。
¥200
Shunsuke Kudo 作、写真のピクセルを再編成するWebサイト。
ウィンドウサイズを変えると様々な模様が現れる。
触ると全然飽きない。


僕はこの3人を尊敬している。
ずっと作り続けてるからだ。
色々ある中でもエネルギーを失わず、作ることをやめないのは凄いことだ。

100枚の写真の展示方法は、簡素にした。
A3の紙にコンビニで写真を印刷し、タイトルは家のプリンターでA4のコピー用紙に印刷、壁に並べてマスキングテープで貼った。
僕が写真を撮る時いつも感じるのは、日常はそのままで十分美しいということなので、何か非日常の、凄いことをやらないといけないとは思わない。
iPhoneで写真を撮るのは、何気ない景色に価値を見出す作業でもある。
現実がクソだと思える時、価値を付加するのではなく、あるがままの美しさを強調するフレームとして写真はあって欲しい。
だから展示方法も可能な限り簡素にしたかった。
日々の生活の中にあるコンビニ、会社や学校で馴染み深いコピー用紙。
それだけでも並べ方を工夫すれば十分美しいと感じたので、そのまま使用した。

そして、最後に光を当てた。
プロジェクターを照明装置として用い、一枚一枚に、光を付けたり消したりした。
僕にとって写真は光だ。
そもそも光を捉えて定着させるメディアでもあるし、心の光を映すメディアでもある。
写真は、どうすればいいかわからない曖昧な心の状態を、そのまま具体的な表面に定着してくれる。
その確かさに救われることがある。
普段はiPhoneの画面で光って見ていた写真だが、印刷するとその光は消えてしまうので、再び点けるために照らした。
来場者に、印刷物を照らしているのではなく、その場で光っているように見えると言われた。
現実の光を確かに捉え、時と空間を超えて、再び現実の光として目に届けることに成功した。
それぞれは点いたり消えたりを繰り返しているだけだが、100枚の総体として、ひとつの大きな映像に見えるようになっている。
写真と写真の間に無作為な関係性が生まれたり、大きな波が全体を駆け抜けたりする。
僕が「世の中のアーカイブ」と呼ぶ風景の実装だ。

最後にもう一つ、この100枚は全てNFT化されている。
そして 1枚0.01ETH で売っている。
NFTは、一点もののデジタルデータだ。
この写真作品は、もともとiPhoneで撮ってiPhoneのディスプレイで見ていたもので、RGBで光るデータの方が本来の形だと思っている。
さらに、実は100枚のうち10枚は静止画ではなく動画なので、なおさらデータの方が原本だ。
世界に1つづつしかないとブロックチェーンで保証されている100のNFTが、この作品の原本だ。
この展示はそれが空間に表出しただけのものなので、そちらを大層に扱うことはせず、簡素な素材で実装したというのもある。
写真たちが複製されればされるほど、世の中に広がり有名になればなるほど、相対的に原本のNFTの価値は上がっていく。

もし良かったら買ってみて下さい。

このNFT販売ページは、100枚の写真の無料公開ページも兼ねています。
ただご鑑賞したい方も是非、覗いてみて下さい。

終わりに

「PhotographySocialFrame」は、今回の展示がスタート地点となる、とても長期的なプロジェクトです。
100枚の写真を社会の中に広げていくために、今後も展示やイベントを少しづつやっていくと思いますので、今回来れなかった方も、その時は是非遊びに来てくださいね。

そして、写真を様々なメディア上に一緒に展開していく仲間を常に探しています。
PhotographySocialFrame は、仲間を増やすプロジェクトでもあります。



PhotographySocialFrame
100枚の写真の展示

2023.12.23-24
東京都渋谷区神宮前3-20-2

#PhotographySocialFrame

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