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毎月100冊売らなきゃペイしないのに共同書店をやり続ける理由、「だって俺、もう本屋だもん」(前編)

神保町の共同書店・PASSAGE SOLIDAで、一棚書店のオーナー・「棚主」になって約3ヶ月。棚の屋号「ちいさなとしょしつ」のとおり、幅56cmの小さな棚から、これまで28冊も売れていきました。

一方で、赤字か黒字かというと、赤字です。にもかかわらず、すごく楽しく心から良かったと思っています。そこに何があるのか?

この記事では、前編後編に分けて、公開されている情報を引用しつつ、続ける理由を綴りたいと思います。どうか、「棚主をやってみたい!」って人の背中を押すきっかけになりますように。

トップ画像が私の棚です。そして私の棚の紹介ページはこちらから。

※以降、記事執筆時点での、一棚主としての見解であることをご了承ください。


ペイさせるためのノルマ「毎月100冊」に呆然

始める前、何度も電卓を叩いて計算しました。その前提は下記の通り。いずれもPASSAGEのサイトで公開されている情報です。

・毎月の棚の使用料は、10,000円。(私の場合)
・新刊を定価の80%で仕入れることができる。ただし買い切り。
・売上の10%~15%は販売手数料として引かれ、残りが棚主の手元に入る。

ざっと試算します。新刊で仕入れた1,000円の本が売れた場合。

  • 本の販売価格:1,000円

  • 仕入れ価格:△800円

  • 販売手数料:△100円 (10%)

よって、1,000 - 800 - 100 = 100円。1,000円の本が1冊売れると100円が手元に入ります。ということは、月に100冊売れて10,000円、これで初めてペイする。

・・・「素人にできるわけない」と途方に暮れました。念のため3回ほど検算した挙げ句、検算を諦めました。


やりたいのは「子どもと、昔こどもだった大人のための本屋」

ここで考えます。「売れる本を仕入れて多売する」をやりたいのか??それは猛烈にNOでした。手のひらのデバイスで注文して1日待ったら我が家に本が届く今、神保町の本屋の階段を昇って2階に来るお客さんがいるのなら、自分はそのお客さんに何を届けたいのか?何を感じてほしいのか?

棚主としての自分がしたいこと、それは「子どもと、昔こどもだった大人のための本屋をやりたい」であることに気づきました。子どもに本とつながってもらいたい。大人にも子どもの好奇心を思い出してもらいたい。本が媒体になって、生きるのが面白くなったらいい。

屋号を平仮名で「ちいさなとしょしつ」にしたのも、来てくれた子どもが読めるほうが楽しいんじゃないか?という気持ちからです。


うまくいかなきゃ、閉じたらいい

棚主としてやりたいことは膨らむ一方です。始める前から「あの本を並べたい」「この本も並べたい」とワクワクが止まりません。でも・・・でも、やっぱりペイしないよな・・・。

最終的に僕が「やる」と決めた要因は、「契約は1ヶ月単位」ということでした。「始めてみてうまくいかなければ、閉じたらいいんじゃないか」そう開き直り、まずは始めることにしたのです。

そして始めた結果、今や「閉じる」なんてことを考えたくないほどになっています。

***

ここまで読んでくださってありがとうございました。この先は後編に続きます。結局毎月100冊も売れていないのに、続けている理由とは?続けたからこそ見えたこととは?近日公開予定!(たぶん・・・)


読んでくださってありがとうございました。
今日も佳い日で。


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