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オペレーション・マネジメント

こんにちは、BYARDの武内です。
スポット的に新刊で読みたい本がなくなったので、10年ぶりぐらいにハース兄弟の名著『決定力』を読んでいます。

前にこの本を読んだ時はまだ経営者ではなかったのですが、経営者になって日々色んな意思決定を下さないといけない立場になってみると、「意思決定を間違えないために」使える様々なテクニックの重要性が身にしみて理解出来るようになりました。

ハース兄弟の3部作(他に『アイデアのちから』、『Switch』)は非常に読みやすく、意思決定やアイデアの創出の仕方などの普遍的なテーマを扱っているので、もし未読の方がいたら、ぜひ読んでみてください。

さて、今週のnoteは前回の『“コト”のマネジメント』の内容をより具体的に掘り下げていきます。


1.オペレーションをマネジメントする

前回のnoteでは「“ヒト”ではなく“コト”(業務)をマネジメントする」という内容を書きました。

とはいえ「業務をマネジメントする」といってもまだ対象範囲が広くて抽象的なので、その後、「BYARDは何をマネジメントするのに優れているサービスなのか」について社内で改めてディスカッションをしました。

そこで出てきたキーワードが「オペレーション・マネジメント」でした。

オペレーション・マネジメント(Operations Management)とは、経営管理論の内、業務の遂行と実行に関する分野である。生産プロセスの設計と管理、および、財やサービスの生産活動の再設計に関する領域が含まれる

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

事前にこのような経営管理の分野があるということを認識している人はいなかったのですが、タスクでもプロジェクトでもなくて「オペレーション」をマネジメントするという話は自然と社内から出てきました。

調べてみると、オペレーション・マネジメントの対象分野は20世紀の半ばまでは製造業に限られていたようですが、今では様々な分野で応用されています。私自身の業務設計思想の基礎であるTOC(制約理論)が、もともとはトヨタ生産方式をベースにして製造業からスタートしましたが、その後様々な業態・業種で応用されていることに似ていると感じました。

TOC(Theory of Constraints:「制約条件の理論」)は、パフォーマンスを妨げている”制約条件(Constraints)”に集中して改善することで、企業全体の業績改善や向上が期待できるマネジメント手法です。「現在から将来にわたって繁栄し続ける」 という企業の目的を達成することを目的としています。簡単に表現すると、全ての課題に対策を打つのではなく、その課題の根本原因となっているごく少数の制約条件に対策を打つことで、最小の手間と時間で最大の改善効果を得られるマネジメント手法です。

TOC(Theory of Constraints:「制約条件の理論」)

BYARDのストリームは業務プロセスの構造化をメインにしつつ、業務プロセスの上で個々のタスク管理と全体のプロジェクト管理が同居するという全く新しい仕組みです。

これまではマニュアルとフロー図で業務プロセスを設計しても、進捗管理はチェックリスト等で完了の有無を確認するだけになってしまう、という“不”の状態を解消するために、1つのデータベース上でタスク管理・プロセス管理・PJ管理を一元化できるようにしました。

BYARDのストリームの概念(セミナー資料より抜粋)

私自身が「業務設計」を生業にしてきたため、設計→運用→改善をスムーズに実行するために考えた仕組みがストリームだったのですが、最近のお客様からのフィードバックなどを見ていると、業務を設計するという観点よりも、「今の業務のやり方が、ストリームであればうまく載せられる」という声が増えてきています。

BYARDは「業務設計プラットフォーム」とプロダクトの説明をしてきたのですが、お客様の反応や社内のでディスカッションをへて、これを「オペレーション・マネジメントサービス」に変更することにしました。
業務設計ももちろん重要ですが、オペレーションをそのままBYARDに載せることで、可視化共有はもちろん、これまで難しかったオペレーションそのものをマネジメントすることができます。

前回のnoteでは「本当は“コト”(業務)をマネジメントしたいのに、それを実現するための手段がないから“ヒト”を通じて“コト”をマネジメントするしかなくなっている」という話を書きました。

BYARDはオペレーションをそのまま載せるストリームという仕組があるからこそ、オペレーションそのものをマネジメントできるサービスなのです。

2.競争優位性を築くオペレーションとは

たかがオペレーション、されどオペレーションです。

多くの人が「自動化」や「AI」というビッグワードに引っ張られがちですが、では、テクノロジーの発展によって世の中のすべてのオペレーションがシステムに代替されるかというと、50〜100年ぐらいのスパンでは“Yes”かもしれませんが、5〜10年ぐらい時間軸では“No”(代替できるのはほんの一部)でしょう。

これを読んでいる皆さんも人間なので普段は意識していないと思いますが、人間が業務で行っているオペレーション(処理)ってAIから見れば結構複雑なことをしています。(以前、『イーロン・マスク』の内容を引用して、自動化することが絶対ではない、という記事を書きました)

その中にはRPA(Robotic Process Automation)などで代替可能な単純作業も含まれていますが、おそらくほとんどの人の業務オペレーションのうち、現時点でテクノロジーが完全に代替可能なのものは20%もないでしょう。
AIのようなテクノロジーの進化はたしかにワクワクしますが、それが自社独自のものではない限りは競合も活用できる状況にあるため、それを導入するだけでは競争優位性にはなりません。

マイケル・E・ポーターの『競争の戦略』によると、自社が競争優位性を築くためには「コストリーダーシップ戦略」「差別化戦略」「集中戦略」の3つの戦略があるとされています。

そしてコストリーダーシップ戦略は、さらに「規模の経済」「経験曲線効果」に分けられ、経験曲線効果は「学習効果」と「作業の標準化」に分類されます。

BYARDが開拓していきたいのは、この「学習効果」「作業の標準化」をいかに組織的に、継続して実行していくかということです。単なる業務の可視化だけでは「あったら便利(nice to have)」なプロダクトでしかありませんが、BYARDを活用することで競争優位性を創出できる(逆にBYARDでなければ難しい)ということであれば「使うしかない(must have)」なものになります。

それらをナレッジとして組織に蓄積し続けることで、簡単には真似のできない高度で競争優位性を築くオペレーションまで磨き上げることができます。それが「オペレーショナル・エクセレンス」という概念です。

オペレーショナル・エクセレンス(セミナー資料より抜粋)

業務の整理や可視化をすることはゴールではありません。それらを通じてオペレーション・マネジメントを可能にする土台を整え、オペレーショナル・エクセレンスを実現し、収益向上や競争優位性の創出に貢献することがBYARDが本当に実現したいバリューです。

マニュアルの作成やタスク管理、プロジェクト管理を高度に構造化して統合することで、オペレーションをマネジメント観点から統制(Control)することが重要です。20世紀の半ばに紙とペンでは決して実現することができなかったオペレーションの統制を、今こそBYARDを使ってぜひ実現してください。

BYARDのご紹介

BYARDはツールを提供するだけでなく、初期の業務設計コンサルティングをしっかり伴走させていただきますので、自社の業務プロセスが確実に可視化され、オペレーション・マネジメントのための土台を早期に整えることができます。

BYARDはマニュアルやフロー図を作るのではなく、「オペレーションを統制する」ことによって、業務の品質やスピードを向上させ、収益向上やコスト削減を実現するという価値を提供するサービスです。業務課題の整理からご相談が可能ですので、ぜひお気軽にお問い合わせください。


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