APIを使った業務改善_20200114

APIを使った業務全体の改善

中部会計人互助会の勉強会で登壇してきました。テーマは「API」について。資料は昨年7月のfreeeさんのセミナーで登壇した際のものをベースに少しアップデートを加えたものです。

freeeアプリストアも少しずつ対応アプリが増えていますし、これから業界特化型のVertical SaaSが増えてくることを考えると、「APIとはなにか」「APIを使って何が出来るのか」を理解しておくことは会計業界に限らず、必須の知識であると言えます。

このnoteでは、スライドの中でも取り上げているRPAとiPaaSについて書いていきたいと思います。

1.過度な期待だったRPA

2018年・2019年のバズワードだった「RPA」に対する期待が急速にしぼみつつあります。

この記事では「幻滅期」とありますが、そもそも最初からそこまで期待するほどのものだったのか、というところに疑問符が付かざるを得ない、というのがITリテラシーがある方々の感想ではないでしょうか。

RPAのことを「デジタル・レイバー」と呼ぶこともあるとおり、その機能はあくまでも「人間がやっている作業を代替する」にすぎません。レガシーなシステムが現役である業界ほど、「1件ずつ同じような内容を登録(転記する)」という単純作業が大量にありますので、その作業をRPAに置き換えることで「人件費70%削減!!!」などの大幅な効果が出る、というのがうたい文句でした。

しかし、パソコンが普及したばかり昭和の業務プロセスならまだしも、インターネットが普及し、クラウドが主流になった令和の時代において、単純作業を単に置き換えるだけでは、業務が効率化される範囲は非常に限定的です。RPAに飛びついた企業の多くが「うちの業務は特殊だ!」「業務の見直しをすることなく効率化できるならすぐ入れたい!」と思っていたはずです。しかし、RPAは事前にプログラムされたことしかできないので、導入を進めていくと、色んなところで「人間の判断が入っている」「そんなに単純化できない」ということに気付いたことでしょう。

人間はミスもするし、体調や気分によって成果が変わりますが、一方でその場で柔軟に判断し、対応をするということができます。オペレーション設計としては本来は柔軟な判断や対応を排除するように組み立てるべきなのですが、属人化の山である日本企業の現場はその原則が無視され、ブラックボックス化された大量の業務はRPAに置き換えることは難しかったことでしょう。

RPAは魔法のようなソリューションではなく、パソコン上の操作を自動化するツールに過ぎません。メールやチャットが発達してもFAXがなくならないように、RPAもなくなることはないと思いますが、業務改革のど真ん中になることはこれまでも、これから先もないでしょう。

2.iPaaSも結局はただの連携

RPAのメッキが剥がれてきたところで、iPaaSというワードが急浮上してきました。ZapierMulesoftなどが昔から牽引してきたこの世界に、日本のベンチャーとして新しい風を吹かせようとしているのがAnyflowです。昨年度のB Dash Campのピッチコンテストでも優勝し、先日2.2億円を調達。今後の成長が期待されている有望ベンチャーのひとつです。

RPAという言葉知っていても、iPaaSという言葉は知らない、という日本市場において、「まずはiPaaSを知ってもらおう」という意図でCEO・坂本さんが投稿したのこのnoteでした。非常に良くまとまっていて、エンジニアでなくてもこれを読むだけでRAPとiPaaSについてある程度の理解ができます。

iPaaSについてはこれから盛り上がってくるでしょう。ただし、RPAの時のような「これで全て解決する!」という過度な期待は禁物です。

様々なツールを連携させて、処理を自動化することで大幅な効率化が実現できるのは間違いありませんが、それは業務の設計がきちんと出来た上での話。今まで手作業で行っていたことが一瞬で処理されることに最初は感動すると思いますが、処理することは目的ではなく手段。iPaaSを活用して、業務プロセスをどのように構築していくか、という部分がなければ本当の効率化は実現しないままに終わるでしょう。

iPaaSは今の日本に必要なツールですが、iPaaSを入れさえすれば魔法のように全てが解決するわけではありません。iPaaSというバズワードに飛びついて、意味不明の高額なコンサルプランを契約させられないように気をつけましょう。

3.作業の価値がなくなる

AIによって仕事が奪われると騒いでみたり、RPAをイノベーションのように喧伝してみたり、そしてそのブームに乗じて詐欺のようなコンサルタントが横行し、というのは何度も繰り返されるパターンなので驚きはしませんが、本当にきちんとツールを作って課題を解決しようとしている人たちを愚弄する行為でもあります。まずはユーザー側が最低限のITリテラシーをつけて欲しいなと思わずにはいられません。

「アレクサ、月次締めといて!」
というのはギャグだと分かるのに、RPAを入れれば魔法のように効率化がされると思うのはなぜなのか。まだまだ人間の判断力や処理能力は有能であり、融通を利かしたり、コミュニケーションを取りながら処理を進めていくことが必要な仕事が溢れています。AIもRPAもiPaaSもツールとしての使いどころが肝心。まずは「いい感じで処理して欲しい」という曖昧な要件を言語化し、整理していくことが必要です。

とはいえ、段々と作業することに対する価値が下がりつつあることは間違いありません。弊社のスタッフが以前やっていた領収書登録の在宅ワークは、なんと1枚3円だったそうです。1,000円稼ぐためには334枚の登録が必要ですが、時給1,000円を実現するためには1分間に5.5枚の登録が必要です。1枚10秒ちょっと・・・それを正確にずっとやり続けるという作業は、もはや人間がやるべきものではありません。OCR認識とAIによる処理精度を高めて対応するべきもので、この作業をやっている人はまったく稼げるようにはならないでしょう。

作業はシステムに代替されているいくのは間違いありません。ただし、依然として考え、判断し、仕組みを構築していくのは人間の仕事です。AIに仕事が奪われると騒ぐのではなく、作業ではなくスキルを売り物にして稼ぐ方向にシフトしていかなければ、生き残れないという事実に正面から向き合わなければいけません。作業をすることに価値がなくなる世界は、もうすぐそこまできています。

4.全国どこへでも講演にいきます

自分のスキルや経験を言語化し、アウトプットすることができるかどうかが大きな差異を生む世の中になってきています。会計業界にいる人たちはかなりハイスキルなのですが、作業に追われてしまい、そのスキルをきちんと発揮する場所が少ないことを昔から残念に思っています。

僕のようなスキルセットの人間が税理士資格を持っていることは、たぶん何かのバグなのでしょうが、会計人の端くれとして、この業界を大きく変えていくために何かをしたいという思いは強いです。Brownies Worksも、業務設計もそのために考えたソリューションです。

会計人の集まりであれば、日本全国どこへでも講演にいきますので、お気軽にお声かけください。

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