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誹謗中傷のラインが下がりすぎてる気がする

ネットを開くとしょっちゅう誹謗中傷や名誉毀損を訴えるニュースが流れている。自分の基本的なスタンスとしては言論の自由は過保護なくらい保護されるべきだと考えているので、どうも最近は誹謗中傷や名誉毀損とされるラインが下がり過ぎなんじゃないかと危惧している。法的な話は専門家でないのでする気はないが、最近のそれ系のニュースで気になったものをあげたい。

横浜DeNAベイスターズ、関根選手の開示

横浜の関根選手が、自身に対する誹謗中傷として、弁護士を通じて開示の依頼を行い、その結果をポストしていた。当該のポストは下記の通り。

名前等は消し込んだ

う、うーん……。もちろん「死ね」や「ゴミ」は通常の人間関係であればよくないが、ネットの投稿であれば許容範囲ではないかと思う(と自分が勝手に思ってるだけだが)。物議を醸すプレーではあったことも加味すると尚更そう思ってしまう。この程度で開示されてしまうとなると、「クソアニメ」という感想でも十分開示されてしまうのではないだろうか、という危惧を抱かざる得ない。直接の脅迫、虚偽に基づいた名誉毀損、人種や宗教に基づく差別等でない限り、原則開示などするべきでないと考えている自分からすると、どうしても違和感を覚えてしまう。

ちなみに自分は横浜ファンで、関根は2015年の開幕で巨人の抑えである澤村から9回にホームランを打ったときから注目してる。いい選手ではあるが、今年は外野の層が厚いベイスターズの中で出番が減っている印象だ。雑音を無視して頑張ってほしい。

このニュースでは、とある弁護士が「必要なのは謙虚さと委縮」と唱えている。そのうち、それが悪徳企業や政治家に対する批判にも求められる気がしてならない。「保育園落ちた日本死ね」なんて言葉が流行ったが、死ねくらいの言葉は口をつくこともあるだろう。野球選手に対して言うべきことではないが、政治や企業に対する批判にあたっては特別問題視される言葉ではないと思う。断言してもいいが、絶対に企業や政治家が「謙虚さと萎縮」を求めてくる時代は近い。そうならないよう、しっかり言論の自由を守る法が必要だと思うが、まぁこの国じゃ無理でしょうなぁ。

vtuberに対する誹謗中傷と"和解"

vtuberは文字数が多いので"vと呼称させてもらう。とあるvの方が、誹謗中傷に対して100万円を求める和解交渉を求める文書を送り、話題になっていた。

金100万!よほどしつこく、悪質な誹謗中傷なんだろうなぁ
えぇ……

小便をひっかけるアスキーアートひとつで100万円を求めるのは些か過剰なのではないかと思う。法律家でもないので、この感覚はあくまで自分の中の一般的な物差しに基づくものだが、少し高すぎる。
また、裁判を経ずに内々で和解だけするという手法が個人的にはおかしいと思う。原則的に、行為者の行為がどのような法律を犯していて、どれだけの罰を受けるかは裁判によって決まるべきだろう。なぜこのような和解交渉が行われるかと言うと、裁判自体がある種の罰となりうるからである。弁護士を用意し、長い時間をかけて裁判をやるくらいなら、金で和解したほうが得やろ?ということだ。実際この手の裁判をやるには50万くらいはかかるので、和解交渉の線としては十分リアリティがある(あってしまう)。この問題に対して、裁判による負担を下げること等がアプローチとしてあげられそうだが、個人的には開示のハードルをもっと上げればいいと思う。「これ誹謗中傷なので開示してくださいよ!」「こんなもん別に誹謗中傷でもなんでもねぇよ」。以上。

誹謗中傷や名誉毀損は悪いことだが、"被害者"の保護が過剰化しつつあるように思われる。事あるごとに開示だの、和解交渉だのが求められれば、表現や言論の自由は萎縮していくだろう。いまはまだ野球選手やvが訴えているだけだが、そのうち政治家や企業までもが誹謗中傷棒を振るい出すだろう。教訓じみたことを言って締めたいけど、そういう知性はないので、言いたいことを言うが、脅迫や虚偽を除けば、誹謗中傷、名誉毀損、罵詈雑言なんでもありの"バーリ・トゥード"こそがインターネットだと俺は思ってるので、インターネット空間の言論の自由は過剰なくらい保護されるべきだと考える。野球見ながら「死ね」、「消えろ」と吐き捨てることくらいは裁かれるべきだと思わないし、くだらないアスキーアートひとつで100万を求められるのは息苦しくて仕方ない。この手の自由は失ってから取り戻すことはできない。

※個人の感想です。

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