各種手続き(相続・登記・測量)

▼ 目次
法定相続情報証明制度
特別代理人
不在者財産管理人
相続放棄
相続財産管理人
登記手続き
測量

法定相続情報証明制度

法定相続人や代理人(申出人)が、法務局に戸除籍謄本等と相続関係を一覧に表した図「法定相続情報一覧図」を提出することで、登記官がその一覧図に認証文を付した写しを、無料で交付する制度。

「法定相続情報一覧図」は、5年間の保管期間内であれば、申出人や申出人から委任を受けたものが再交付を受けることが可能。

●手続きについて
・被相続人名義の不動産がない場合、遺産が銀行預金のみでも利用することが可能
・申出をすることができるのは,被相続人の相続人
・代理人となれる者
① 法定代理人(親権者、未成年後見人、成年後見人)
② 民法上の親族
③ 資格者代理人(弁護士、司法書士、土地家屋調査士、税理士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、行政書士)

・申出ができる登記所
① 被相続人の本籍地
② 被相続人の最後の住所地
③ 申出人の住所地
④ 被相続人名義の不動産の所在地

・不動産管轄区域の法務局であれば、郵送でも申出は可能

●注意点
この制度は、法務局に提出された法定相続情報一覧図が正しいことを前提とした手続きです。

法定相続情報一覧図に誤りがあった場合は、法務局側で修正されることなく、修正した法定相続情報一覧図を再提出する必要があります。

手続き自体は、相続人ご自身でも行えるものですが、相続手続きなどの期限が定まっている場合は、手続きに慣れている司法書士や行政書士に依頼することを、おすすめしています。

特別代理人

親権者(父母)が、子どもとの間でお互いに利益が相反する行為(利益相反行為)をするには、子のために特別代理人を選任することを、家庭裁判所に請求しなければならない。

同一の親権に服する子の間、未成年後見人と未成年者の間の利益相反行為についても同様。

・利益相反行為の例
父が死亡した場合に、共同相続人である母と未成年の子が行う遺産分割協議など、未成年者とその法定代理人の間で利害関係が衝突する行為

不在者財産管理人

家庭裁判所への申立てにより選任された、行方不明者の財産を管理する人。

不在者財産管理人は、不在者の財産を管理・保存、家庭裁判所の権限外行為許可を得た上で、不在者に代わって、遺産分割・不動産の売却等の処分行為を行うことができる。

相続放棄

相続が開始した場合、相続人は次の3つのいずれかを選択できます。

・単純承認
相続人が被相続人(亡くなった方)の不動産(土地・家・マンション等)の権利等、義務をすべて受け継ぐ

・限定承認
相続人が相続によって得た財産の限度で、被相続人の債務の負担を受け継ぐ

・相続放棄
相続人が被相続人の権利や義務を一切受け継がない

不動産の業務を進める実務上、限定承認はほとんど取り扱いません。相続によって得る財産のうち、不動産が占める割合が多いためです。

相続放棄を行う場合は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に、手続きを行う必要があります。金融資産以外は、自宅のみを相続した方からご相談を受けた際は、3つの手続きはご案内するようにしています。

相続放棄は、相続人ご自身で、裁判書に書面等を提出し、手続きを進めることもできますが、弁護士や司法書士に依頼することをお勧めしています。

なお、相続放棄をしても、財産管理の全てを免れる訳ではありません。
<民法第940条、抜粋>
相続放棄によって相続人となった者が、相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。

相続人の全員が相続放棄をする場合など、相続財産管理人の選任も検討が必要です。

相続財産管理人

相続人がいるか明らかでないとき、相続人全員が相続放棄をしたときにおいて、相続財産の調査・管理を行う人。

<民法951条及び952条、抜粋>
相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は法人となり、家庭裁判所は、利害関係人または検察官の請求によって、相続財産の管理人を選任しなければならない。

相続財産管理人は、亡くなった方の債権者等に対して、被相続人の債務を支払うなどして清算を行い,清算後残った財産を国庫に帰属させる。特別縁故者(被相続人と特別の縁故のあった者)に対する、相続財産分与がなされる場合もある。

登記手続き

●相続登記
不動産の所有者が亡くなった場合に,その土地や建物の名義を、亡くなった方から遺産を引き継いだ方(相続人)へ変更する手続

【登録免許税】
不動産価格(固定資産税評価額)×0.4%

●登記名義人住所・氏名変更登記
転居や婚姻により、不動産の所有者の住所や氏名に変更があった場合の登記手続

【登録免許税】
土地(1筆)建物(1棟)あたり1,000円

●地目変更登記
(不動産登記法第37条)
地目について変更があったときは、1ヶ月以内に、地目変更登記を申請しなければならない。その申請を怠った時は、10万円以下の過料に処する(不動産登記法第164条)。

【登録免許税】
・なし

●農地転用手続き
売却する不動産(土地)の地目が「田」「畑」の場合、農業委員会に届出や許可を得ないと、所有権移転登記手続きができません。本来は、農地に家を建てた場合などは、上記の通り地目変更登記をする必要がありますが、それを怠っていると、地目が農地のままのこともあります。

農業委員会によっては、届出から許可まで数ヶ月を要することもあります。地目が農地の土地の売却の場合、登記名義人と購入者と共同で、農業委員会に提出する書面があります。その手続きに要する期間は、売却を完了させることができません。所有する土地の地目は、行政庁から送られてくる「固定資産税・都市計画税納税通知書」などで確認することができます。

●建物滅失登記
(不動産登記法第57条)
建物が滅失したときは、1ヶ月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない。その申請を怠った時は、10万円以下の過料に処する(不動産登記法第164条)。

【登録免許税】
・なし

●建物標題登記
築年数が経過した建物を売却する際、登記されていない建物(未登記家屋)の場合があります。

建物表題登記申請については、土地家屋調査士に依頼することができます。

(不動産登記法第47条)
新築した建物または区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得したときは、1ヶ月以内に、表題登記の申請をしなければならない。

その申請を怠った時は、10万円以下の過料に処する(不動産登記法第164条)。

【登録免許税】
・なし

●抵当権の抹消登記

住宅・アパートローンなどの融資を受ける際、その担保とするため、不動産に抵当権(根抵当権)が設定されます。

そのローンを返済したことを示すための手続きが、抵当権(根抵当権)抹消登記です。

相続した建物を売却する場合など、ローン自体は返済していたが、抵当権(根抵当権)抹消登記がなされていないこともあります。その場合は、決済までに抹消登記を行う必要が出てきます。

【登録免許税】
・土地(1筆)建物(1棟)あたり1,000円

測量

●現況測量
現地に存在する境界標やブロック塀等の工作物に基づき、土地の面積や土地と接する道路の幅員を求積する測量。

不動産の購入者の利用目的によっては、下記の境界確定測量を求められることもあります。

●確定測量

土地と接する、隣接地・道路所有者等と立会いを行い、土地の境界全てを確定させるための測量。

公道など、官公庁との立会いを要する場合は、官公庁の過去の書類確認に相当の時間を要することがあります。


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