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「共創術」試し読み①インタープレイ

インタープレイとは?


まずは「インタープレイ」という概念を、メタファーを用いて説明します。

ある日、あなたが家族や友人たちと一緒に料理することになったと想像してみてください。

 各人がそれぞれに特技や得意な料理があり、その場にある材料から何を作るか決めるとしましょう。

誰かがオニオンを切り始め、他の人がそれを見てパスタを茹で始めるかもしれません。

また別の人が見て、それに合うソースを作り始めるかもしれません。

 

このプロセスは、全員が個々の才能を活かし、他の人の行動に反応しながら、共に一つの料理を創り上げていく様子を表しています。

その結果、最初には誰も具体的な結果を予想していなかったかもしれませんが、全員の協力と創造力によって美味しい料理が生まれます。


これこそがジャズの「インタープレイ」の醍醐味なのです。

個々の演奏者が自身の才能と技術を活かし、他の演奏者の音に反応しながら、共に音楽を創り上げていきます。

そして、その結果として、予想を超えた美しい音楽が生まれるのです。

少しは「インタープレイ」という概念が伝わりましたでしょうか?


ビジネス現場で見られる「インタープレイ」


ビジネス現場でも既に多くの「インタープレイ」は行われています。

「円卓会議」をイメージしてください。
 
各参加者(演奏者)が等しくテーブル(ステージ)に座り、自分の意見(音楽的なアイデア)を提出します。
そして他の人々の意見(音楽)を尊重し、それに反応しながら自分自身の意見(音楽)を調整します。

このプロセスは、自由で即興的で、同時に相互にリスペクトと理解が基盤にあるべきです。
 
この円卓会議において、一人の参加者が独り善がりになり、他の人々の意見を無視したり支配したりすると、会議全体のハーモニーとバランスが崩れます。


ジャズにおいても、一人の演奏者が他の演奏者の音楽的なアイデアを尊重せずに支配しようとすると、音楽全体のバランスとハーモニーが乱れます。
 
だからこそ、ジャズの「インタープレイ」は、リスペクト、聴き取り、応答、そして共創のスキルを要求します。

この「円卓会議」において、何らかの「忖度」という空気感が漂っているとすれば、それは「インタープレイ」ではありません。

ジャズと同じ「創造的摩擦」は絶対に必要なのです。


イノベーション創出と「インタープレイ」の関係


 
では、新しい料理のレシピ作るプロセスで、チームワークにおけるイノベーション創出と「インタープレイ」の関係性を説明します。

 
あなたは新しいレシピを考案しようと、キッチンに立っています。

各々の食材の料理方法などの個々のメンバーやアイデアが提案され、あなたは個々の食材(アイデア)をどのように組み合わせるか、どの順番で加熱するか、どのように調理するかを決定します。

そしてレシピ全体の最終形が完成して、お客様に料理が提供されて、喜んで頂き、人々の行動変容(再来店)を起こすことが「イノベーション」です。

食材一つ一つが互いに相互作用し合い、それぞれの特性を活かしつつ全体として新たな風味を生み出すのです。
 
各々のアイデアはそれ自体で価値がありますが、それらが相互作用し合うことで、新たな価値を生むイノベーションが生まれます。


これはまさに「インタープレイ」の本質です。



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