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ローリング・ストーンズの功績とアメリカ白人社会の愚かさ

1964 年から 66 年にかけてビートルズ(The Beatles)やロ ーリング・ストーンズ(The Rolling Stones)を筆頭にしたイギリスのロック・バンド大旋風「ブリティッシュ・イン ヴェイジョン(British Invasion)」は、アメリカ勢の独壇場であったポピュラー音楽シ ーンの勢力図を塗り替えました。

公民権運動が盛んに行われるようになったアメリカにおいて、黒人をルーツとするブルース・R&B・ジャズは、まだまだメインストリームには登場しない音楽でした。

一方イギリスでは、黒人音楽(ブルース、R&B、ソウル・ミュージックなど)は白人の若者たちの間で爆発的な人気となっていました。

その要因のひとつとして、ブルースやR&Bのカヴァーを発表したローリング・ストーンズの影響で、白人若者文化の形成と黒人音楽の受容と変容に重要なパラダイム・シフトをもたらしましたと思います。

「ブリティッシュ・インヴェイジョン」によって逆輸入された黒人音楽
アメリカ本土で再評価されることになりました。

そして、シンガーソングライターやバンドのオリジナル曲による自由で創造的な自己表現の重要性が認識されるようになったのです。


初期のローリング・ストーンズがカヴァーしたR&B(例)

『The Rolling Stones Now!』

1965年2月に発売したアメリカにおける3枚目のアルバム
本作ではジャガー/リチャード名義のグループ・オリジナル曲4曲を収録
「Heart Of Stone」「What A Shame」「Off The Hook」「Surprise, Surprise」

The Rolling Stones Now!

オープニング・ナンバーは
ソロモン・バークの「Everybody Needs Somebody To Love」


ソロモン・バーク・バージョン


『Out Of Our Heads』

アメリカ盤収録のオリジナル曲は「The Last Time」「(I Can't Get No) Satisfaction」「The Spider And The Fly」「One More Try」の4曲

US release

イギリス盤収録のオリジナル曲は「Gotta Get Away」「Heart Of Stone」「I'm Free」の3曲

UK release

当時は、マーケティング観点?からアメリカ盤とイギリス盤の収録曲が違うということが”当たり前”に行われていました。

アメリカ盤オープニング・ナンバーは、ドン・コヴェイの『Mercy, Mercy』

Don Covay / Mercy Mercy


ソロモン・バーグの『Cry To Me』

Cry to Me (Lyrics) - Solomon Burke


『That's how Strong My Love Is』は、O.V.ライトのオリジナル・バージョンのカヴァーではなく、オーティス・レディングのカヴァー・バージョンが基になっているようです。

O.V.Wright


マディ・ウォーターズは、後年こう語っています。

ローリング・ストーンズが登場する前は、誰も俺のことを知らなかったし、何も知ろうとしなかった。俺はレイス・レコードと呼ばれるレコードを作っていた。俺のレコードを買ったキッズに大人たちが何て言っていたかを教えてやろう、『それは何だ?ニガーの音楽などかけるのは止めろ!』
それからローリング・ストーンズが登場し、ブルースを演奏すると、キッズは俺のレコードを買い、俺のレコードを聴いているんだ

Muddy Waters - Rollin' Stone


『Aftermath』

1966年4月リリース・アルバム『Aftermath』
全曲オリジナル曲

USK release
UK release


「スタックス(Stax)」「ゴールドワックス(GOLDWAX)「フェイム(FAME)」「アトランティック(Atlantic)」の名前は、1966年と67年の2年間で、イギリスおよびヨーロッパ大陸に知れ渡っていきました。

1966年には、ソロモン・バーク、オーティス・レディング、ドン・コヴェイ、マッド・ラッズがイギリス公演を行い大成功を収め、それ以前にはルーファス・トーマスやベン・E・キングがイギリス・ツァーを行っていました。


『モントレー・ポップ・フェスティバル』(1967年6月16日~18日の3日間)

 
オーティス・レディングにとって、初めての白人観衆(ヒッピー)前でのパフォーマンス

アメリカ本土でのソウル・ミュージックの認知度は低かったのです。


【ブリティッシュ・インヴェイジョン】の象徴的な出来事

1964年4月4日 ビルボード誌Hot 100でビートルズが1位~5位を独占

第1位「キャント・バイ・ミー・ラヴ」
第2位「ツイスト・アンド・シャウト」
第3位「シー・ラヴズ・ユー」
第4位「抱きしめたい」
第5位「プリーズ・プリーズ・ミー」



【ブリティッシュ・インヴェイジョン】がもらたした大きな変化は?

① イギリスにおける労働者階級の社会文化的進出を促進した
② 音楽的ルーツである黒人音楽を本国アメリカにおいて再評価させた
③ ポピュラー音楽におけるオリジナル曲による自由な表現を確立させた


『ロック・ミュージック』が、イギリス文化とアメリカ文化が共鳴・共振して相互補完的に影響を与え合い1960年代の全世界的な社会文化状況の変革へと導いたことは間違いないでしょう


現状の閉塞感から抜け出すには「既成概念」「固定観念」をぶっ壊す『カウンター・カルチャー』が必要なのですが ここで【抵抗勢力】となるのが 頭が硬い大人たちです

特に「利権が絡む」特権階級・決定権限者が【抵抗勢力】となるとモノゴトは【あらぬ方向】に進んでいきます


1960年代の全世界的な社会文化状況変革の最大の功績者は?

黒人であることはお忘れなく


しかし、せっかく少し前に進み始めたのに、白人社会がぶっ壊してしまったのです。

1968年4月4日メンフィスで起こった事件をきっかけに、、、


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