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共感が生まれない論理だけではイノベーションは創造できない理由

不安や迷いの原因は「感激」「感動」「感謝」が足りないことだ(引用:桜井章一氏の名言)

音楽 演劇 アートなどのライブの開催を自粛しなければならない時期に この名言を引用させてもらいながら

「エンタメは 不急であったとしても絶対に不要ではない 「感激」「感動」「感謝」の創造産業なんだから!」

とライブハウスや飲食店と一緒になって 世間に訴えていました

この厄介者のせいで、、、⇓  ⇓  ⇓

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「ん?待てよ この厄介者によって 従来からあるモノの良さを 再認識・再発見できたこともあるのでは? 多くの”気づき”があったのでは?」

「イノベーション=技術革新」と誤解していませんか?


「イノベーション」の私流解釈は次の通り

「新結合」 既存のものに「新解釈」を加えて 新しい価値を創造することで 人々の行動変容に結び付くこと


確かに「技術革新」によって 「新結合」のやり方も大幅に変わってくるので「新解釈」もバラエティに富んだ足し算が可能になりますが

「イノベーション=技術革新」 ではありません


『Zoom』の浸透も 『Uber Eats』も 革新的な技術革新によってもたらされたものではありません

厄介者の出現による「環境変化」によって クローズアップされて 人々の行動変容に結び付いた イノベーション といえます


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『メリカリ』は 中古品売買市場における イノベーションです

中古品売買市場に 新しい「仕組み作り」を導入して 出品者の”面倒臭い”を大幅に削減していったもので 0⇒1 ではありません

フリマアプリの国内先駆者は『フリル(現ラクマ)』

『メルカリ』に多くの人が”共感”して 行動が変わったことによって これだけの大きなムーブメントになっていったんです


イノベーションとは

これまでにない価値の創造により 顧客の行動が変わること(引用:内田和成著書「イノベーションの競争戦略」)


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行動変容も変化している


セミナーなどで使用していた資料ですか

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【出会い】⇒【仮説⇔検証】⇒【プレゼン】⇒【”共感”】

という流れは変わっていないのですが 厄介者のせいで

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消費者の購買行動は?

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【認知】⇒【興味・関心】 という流れは大幅に変わっていなのですが それからの流れが多様化していきました

【AISAS】 インターネット上で消費者がある商品を認知してから購買に至るプロセスなのですが 注視すべきは?

目的①=『買う』  目的②=『広める』 という2つの観点がある点 


【DECAX】は2015年に電通が提唱した コンテンツ・マーケティング時代を代表する購買行動モデルです(消費者の「発見」から始まる)

有益な情報を発信して 消費者とコミュニケーションを図る

この【DECAX】をうまく活用できれば 効率的な集客が可能になりますが 


注視しておかなければならないのが「X(体験)」部分で

『良いクチコミ・良い評判』『悪いクチコミ・悪い評判』も生まれる

こともあるということです



革新的な発明がイノベーションではない


セグウェイは 偉大な発明でしたが 2020年に生産終了しています

『公道を走れない』という交通ルールが変わらない限り 人々の行動変容には至りません

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空飛ぶ車 として ドローン技術の応用が進んでいるとは思いますが 果たして法整備が追い付くでしょうか?

ドローン技術は 他の分野では大きな可能性を実現してくれるはずです



✅ 新しい「価値創造」というのは 必ずしも「技術革新」が必要なわけではない


人が ”共感” することで 「感激」「感動」「感謝」 が伝わると 行動変容が起こる


これが イノベーションの『本質』 です



これからは『共感経営』と『物語り戦略』


ルイ・ヴィトンの伝説をご存じでしょうか?


1912年4月14日豪華客船タイタニック号は初めての航海中に、北大西洋上で氷山に接触し、翌日未明にかけて沈没しました。犠牲者数は乗員乗客合わせて1,500人強の当時世界最悪の海難事故です

乗客は ヨーロッパ中のセレブで ルイ・ヴィトン製の旅行用トランクの愛用者でした

【伝説1】 沈没する時、ルイ・ヴィトンのスーツケースだけは完全に防水となっていたため、浮かんで、それに捕まった人を何人も救った。
【伝説2】 後日引き上げられたルイ・ヴィトンのスーツケースを開けると衣装が全く濡れていなかった。

この話を裏付ける証拠があるわけではないのですが 本当であるとも嘘だとも言えないのですが 世界のブランドとして100年以上続くルイ・ヴィトンの努力と挑戦があるからこそ 伝説が語り継がれいきます



企業をイメージさせる『象徴的なストーリー(シンボリックストーリー)』は 競争戦略やビジネスモデルと結びついて 顧客やステークホルダーに

『“共感”の源泉』 として心に刻まれます


野中 郁次郎教授(&勝見 明氏)の著書『共感経営』では

企業経営や事業の遂行において、共感を起点とし、ものごとの本質を直観するなかで「跳ぶ仮説」を導き出し、イノベーションを起す、もしくは、大きな成功に至る。そのプロセスにおいても、さまざまな局面で共感が介在し、共感の力がドライブや推進力となって、論理だけでは動かせないものを動かし、分析だけでは描くことができないゴールに到達する

と ”共感” の重要性を説いています


「そんな象徴的なストーリーなんて 大手企業だけさ」

と仰る 社長さんには 「体脂肪計タニタの社員食堂」の話は効果的です



noteにも「㈱タニタ(非上場)」のことを取り上げた投稿も多いので 概略にしておきますが

2009年にNHKのテレビ番組『サラリーマンNEO』のコーナーで取り上げられ

「体脂肪計をつくっている会社に 社員を肥満にしない社員食堂がある」

という物語が話題になりました 翌年レシピ本『体脂肪計タニタの社員食堂』が出版されて大ヒット

この物語をテコにして 新しい顧客価値と儲けの仕組みを構築していきました


 

思わず人に話したくなるストーリー


タニタの社員食堂は 話題になるよりも随分前から存在していてます

健康改善のアドバイス提供という観点から 健康改善サービスへの進出を考えていて ビジネス・モデルは描けていたのでしょうが 残念ながら花咲かない状況だったんでしょう

そこに 「体脂肪計タニタの社員食堂」が発信されたことで ビジネス・モデルが動き始めました


SNS時代の今 「思わず人に話たくなるストーリー」は 瞬く間に拡散していきます(悪い話もですが、、、)


楠瀬啓介さんの投稿に書かれた ジョンソン・エンド・ジョンソン社の「タイレノール毒物混入事件」におけるリスクマネジメントは 思わず人に話したくなる「シンボリック・ストーリー」です 

企業の社会的責任を最優先した姿勢が多くの方から ”共感” を得られたものですが 事件がキッカケとなって生まれたストーリーです



この「思わず人に話をしたくなるストーリー」は 多くの会社の中に 埋もれていると思います

社内では ”当たり前”となっている”暗黙知”が 外部の人が見聞きすると 素晴らしいストーリーと感じることがあるはずです


私は この ストーリーを『アナザーストーリー』と呼んでいて

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✅ 「アナザーストーリー」に『イノベーションの種』がある

と思っています

(※)「アナザーストーリー戦略」の詳細については次号以降で


✅ 組織のしがらみに縛られていると ”暗黙知”の積み重ねである「アナザーストーリー」は 表出化しません


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日本企業の三大疾病がイノベーションの大きな阻害要因


オーバー・アナリシス(分析過剰) オーバー・プランニング(計画過剰) オーバー・コンプライアンス(法令遵守過剰)

戦略には「これが絶対に正しい」という唯一の方法はありませんが 

分析的戦略には限界があり 次の問題点が考えられます


✅ 人間の信念や価値観 企業の存在意義・ビジョンといった知識創造が入り込む余地がない
✅ 市場環境を静態的・固定的にとらえることはVUCA時代は不向き
✅ 分析的戦略の大前提がトップダウンのマネジメント(中央集権の官僚組織的運営)


一方『物語り戦略』は 

「企業は何のために存在するのか?」「なぜ競争するのか?」 

といった 【存在意義】【組織ビジョン】が前提となります


『物語り戦略』=自律分散リーダーシップ型運営



人間には”感情”があり”共感”する生きものです

現場を知らない本社からの指示で『分析中毒』『計画中毒』『法令遵守中毒』になってしまった中間管理職が

「CSだ ESだ 顧客第一主義だ」 と ”うわべ” で語っても

✅ 「感激」「感動」「感謝」 をもたらす訳がありません



まとめ


社内には 時の流れと共に 多くの新しいが“ストーリー”が「現場」で生まれています

この 新しい“ストーリー”を 汲み上げて 拡散する 仕組み作り

『共感経営』 と 『物語り戦略』

これが 日本企業の閉塞感打開策 のひとつではないでしょうか?


”共感” 感激 感動 感謝 キーワード


人が ”共感” することで 「感激」「感動」「感謝」 が伝わると 行動変容が起こる


これが イノベーションの『本質』 です


続きは こちら


【ご参考まで】

※ 文中に時事ワードが含まれると 冒頭に警告文が入るので ”厄介者”



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