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生成AIを活用しないんですか?今がチャンスです!アナログ天邪鬼おっさん

前回の記事で「業務プロセスの”見える化”」が、生産性向上に向けての”肝”と申し上げました。

定型的な業務において、業務プロセスの”見える化”が出来ない理由がありません。その”見える化”によってDXも可能になるので、”見える化”していないことが大きなリスクなのです。

AIにとっては、人間がよく考えて行う高度な作業は簡単
AIにとっては、人間が何も考えず簡単にこなしていることは難しい

このAIの特性を踏まえた上で、AIを導入しないと組織変革に失敗してしまいます。


地上波TVで”滝沢カレンさん”がお客様のオーダーに応じて創作料理を提供するような飲食番組を見ました。
では、同種の飲食店を実際に開業するプランニングをChatGPTに相談しながら考えてみましょう。


ChatGPTに聞いてみました。

あなたは料理研究家であり新しい美味しい料理レシピを作る専門家です。 仕入れた食材をお客様に提示して、お客様のオーダーに応じた創作料理を提供する飲食店を開業します。 この開業にあたり、従業員の役割分担や適性業員数などを考える場合には何の条件を提示すればできますか?

ChatGPTの回答は?

以下の条件を提示し、これらを基に従業員の管理と業務割り当てを行うことができます。
【ビジネスモデルとサービス内容の明確化】
創作料理を提供するコンセプトや、お客様からのオーダーにどのように応えるかを具体化します。これにより、必要とされるスキルセットや業務範囲を特定できます。
【サービスフローの定義】
お客様が注文を行い、料理が提供されるまでのプロセスを明確にします。これには、注文の受付、料理の準備、提供、会計、テーブルの片付けなどが含まれます。
【役割と責任の割り当て】
「キッチンスタッフ」:料理の調理、食材の管理、メニュー開発など。
「サービススタッフ」:注文の受付、料理の提供、テーブルセッティング、顧客対応など
「管理・運営スタッフ」:在庫管理、スタッフのシフト管理、財務管理、顧客サービスの質の監視など。
【従業員のスキルと適性の評価】
従業員の経験、技術、顧客サービスへの適性、料理や食材に対する知識を評価し、それぞれの役割に最適な人材を割り当てます。
【適性業員数の算出】
店舗の広さ、予想される顧客数、提供するサービスの範囲に基づいて、適性な従業員数を算出します。ピークタイムとオフタイムの顧客数の違いも考慮に入れます。
【トレーニングと教育】
従業員が高品質なサービスを提供できるよう、定期的なトレーニングプログラムを設けます。これには、料理技術の向上、顧客サービスの基準、衛生管理などが含まれます。
【コミュニケーションとフィードバックの仕組み】
スタッフ間の円滑なコミュニケーションを促進し、定期的なミーティングやフィードバックの機会を設けることで、問題点の早期発見と改善を図ります。

至極ごもっともな回答で、これらの条件を明確にすることで、効率的な役割分担と人員配置を行い、顧客満足度の高いサービスを提供する飲食店の運営が可能になるのは間違いありません。

ここでChatGPTに向かってツッコミを入れたくなりませんか?

「そんなことは分かっとるわい!あんたに聞きたいのは具体策やねん!」



これは、ChatGPTに質問した私がダメなのです。
質問している内容範囲は広すぎて漠然としていることが原因です。

現実での上司と部下の間でも、この漠然とした”やりとり”によって多くの無駄を生じさせています。
貴方も経験されたことがあるのでは?



ChatGPTへ少し条件を加えて質問してみました。

仕入れた食材をもとにお客様のオーダーに応じた創作料理を提供するビジネスモデルで、店舗はコの字型のカウンター(16人)だけで、カウンター内にいる創作料理研究家がお客様のオーダーを聞いて、そのオーダーに応じたレシピをバックヤード(調理場)に連絡します。その都度都度、お客様の好みを聞いて創作料理を提供する店です。 この場合、AIの貴方にもサポートしてもらいます。この前提で従業員の役割分担や適性業員数などを考える場合には何の条件を提示すればいいですか?

ChatGPTが回答してくれました。

AIの活用範囲の明確化

「顧客対話のサポート」 AIを使ってお客様からのオーダー詳細を収集し、好みやアレルギー情報を記録します。
「レシピ提案」 顧客の好みに基づいて、既存のレシピから最適な提案をするか、新しいレシピを創作するためのサポートを行います。
「在庫管理」 使用される食材の在庫をリアルタイムで追跡し、必要な食材の発注サポートを行います。

従業員の役割の定義

創作料理研究家(カウンター内)
お客様からのオーダーを直接聞き、AIからの提案をもとに最終的な料理の決定を行います。お客様とのコミュニケーションを担い、料理の説明や食材の話などで顧客満足度を高めます。
調理スタッフ(バックヤード)
創作料理研究家からの指示に基づいて料理を調理します。食材の下処理や調理前の準備を担います。
サポートスタッフ
食材の在庫管理、調理器具の準備と清掃、カウンターの清掃など

ここで気づかれたと思います。

料理研究家がカウンターで顧客ごとのオーダーを聞く必要はないのでは?


そうです!料理研究家がカウンター内で接客するよりは、バックヤード(調理場)で、味見して「ちょっと塩を足しましょう」「盛り付けはコレでいきましょう」といった指示役にまわるべきでしょう。



『料理研究家がカウンター内でオーダーをとる』という”決めつけ”が間違いだったのです。適材適所の人員配置(案)でないことに気がつきました。

① 接客が得意な人がAIにサポートしてもらいながらお客様からのオーダーを聞いて、第一次レシピをバックヤード(調理場)へ送信
② 第一次レシピを受け取った料理研究家が第二次レシピ(最終レシピ)を決定して料理人に指示


メニューがない高級寿司店(お好みによって握る)などでは、料金の透明性(時価)であってもいいのでしょうが、今回のビジネスモデルは

「料金が透明化されていて誰もが気兼ねなく美味しい料理を楽しめる」

というコンセプトを加えたいので、料金設定方法についてChatGPTに聞きました。

この飲食店は事前のメニューがないのですが、料金の透明化も必要と考えています。 この場合の料金設定には、AIのあなたの力が必要です。都度都度の料金設定ですが、何の条件を提示すれば料金設定できますか?

ChatGPTの回答は?

1. 食材コストの詳細
各食材の仕入れ価格と、その食材が料理にどれくらい使用されるかの情報が必要です。これにより、料理ごとの原材料コストを正確に算出できます。
2. 調理とサービスにかかる時間
各料理の調理に要する時間と、それに関連する労働コストを評価します。
3. 料理の種類と複雑さ
提供する料理の種類(前菜、メイン、デザートなど)とその複雑さに応じて、料金を設定します。より複雑で手間のかかる料理は、それに見合った価格が設定されるべきです。

上記1~3は、事前ないし料理の都度でも数値化(デジタル化)できるので、AIを活用すれば簡単に算出できます。

この1~3に事前に設定しておいた下記4&5を加える。

4. 顧客の特別なリクエスト
特別なリクエスト(アレルギー対応、特定の食材の追加など)に基づく追加料金の設定基準を定義します。
5. 利益率
店舗の運営コスト(家賃、光熱費、人件費など)を考慮して、目標とする利益率を設定します。この利益率を基に、各料理の価格に上乗せする金額を決定します。

どのようなお客様のオーダーでも、料金提示できます。


この検証で何となく良好なAI関係のコツが理解できたのではないですか?
整理すると次のようになります。

① 数値化(デジタル化)できるものは極力AIに「労働置換型」として活躍してもらう。
② 言語化できる作業は可能な限り言語化してAIに「労働置換型」or「労働補完型」で活躍してもらう。
③ 言語化が難しい”暗黙知”の伝承は、動画などで視覚・聴覚などから極力「こんな感じ」が伝わりやすい工夫を人間が中心になって行い、AIにはサポート・ツールとして活用する。
④ AIが苦手で人間が得意とする考えなくても出来るアクションは人間が行い、ヒューマンエラーを予防するサポーターとしてAIなどのデジタル・ツールを活用する。


「ChatGPTは、よく嘘をつくからまだ信用できない」


「生成AIは全て正しい回答をする」という幻想がなぜ生まれてしまったのでしょうか?

人間は生成AIよりも驚くほどの頻度で”嘘”を言います。
”嘘”の情報を”嘘”と見抜けずに、もっともらしく真実のように語っているというのが正しい表現かもしれません。

「DXで上手くいかなかった」という話もチラホラ聞こえてくるのですが、

汎用のデジタル・ツールに「人間が合わせる」という動作が間違っていて、生成AIは『労働補完型』ツールなんです。


人間関係と同じで、良好なAI関係は「問いかけ(プロンプト)」次第なのです。


AIのサポートを最大限に活用しつつ、人間の創造性や温かみのあるサービスを提供することが、このビジネスモデルの成功の鍵です。


じゃあ生成AIを活用したら【0→1】のアイデアが簡単に思い浮かぶのか?


【0→1】の革新的創造性(既存のアイディアや知識の枠を飛び越えて、新しいルールを定義する)が、そもそも簡単に生まれるはずはありません。

この書籍の中で「クリエイティビティの定義」しています。

組み合わせ型創造性(Combinational Creativity)=既存の概念の新たな組み合わせで新しいものを創造する
探索的創造性(Exploratory Creativity)=既存のアイデアや知識をなんらかのルールや手続きに従って探索して新しいものを創造する

この創造性こそ正に、生成AIが得意とする領域です。
創作能力を持っている人の能力と生成AIを組み合わせたら、ハイクオリティのコンテンツが、スピード感も持って創造できるはずです。


自然発生した民族音楽は、その場その場の演奏を通して曲が固まっていきました。ジャズの「即興性」は正にこのプロセスで創造されていったのです。

1.そっくりそのまま真似る
2.そっくり真似るつもりが、志と違って別のものになる
3.意図的に工夫をこらして変革をこころみる
4.惹かれるけれど真似るのを嫌い、背をむけて別方向をめざす
・・・それをひきつぐ第二世代は4パターンに枝分かれします。さらに次の第三世代に引き継がれるときには、ふたたび4パターンに枝分かれしていくという繰り返しで、またたく間に亜種・変種の数は膨大なものにふくれあがっていきます。

引用:相倉久人著書「ジャズの歴史」新潮社

最初は先人の真似から始まったとしても、意図的に工夫しながら変革を試み、主流とは全く違う方向性でいく天邪鬼がいて、新しいモノゴトが創造されていくはずです。

天邪鬼が創造するモノを言語化してプロンプトに出来る人がサポートして、生成AIを活用すれば、更にハイクオリティなコンテンツが創造できる可能性は高まります。

 
どこかに「自分らしさ」「俺流」といった個性、全く別の視点から見た考え方や使用方法があるからこそ、新しい創造が生まれます。
 
ジャズの即興演奏の世界では、天邪鬼は重宝されます。
 
「井の中の蛙 大海を知らず」
これでは、新しい創造は難しいのです。


人間にしかできない”暗黙知”を伝承できるのは、経験豊富な

アナログ”天邪鬼”おっさん!です


良好なAI関係を構築できれば「働かないおっさん」とバカにされることはありません。

チャンス到来です!



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