理想主義≒現実逃避の可能性

私はコンサル系会社で社会人2年目になろうとしている。自分は何のためにこの仕事をやっているのかと自問をし続けて3ヶ月くらいになる。毎日が夜遅く、詰められながらもやり過ごしてきたが、このまま仕事を続けていけるだろうかと日々悩んでいる。

今の自分の日々の中で、自分は何を成し遂げたいのだろうか、何が得意で、何が好きなのだろうか。1日が自由に使えるとしたらどのようなことをするのだろうかと考えている。今まで考えることを無意識に避けてきたことのツケが回ってきている状態だ。

もともと大学3年の時に自己啓発の本にはまり、自分でも成功することができる、経済的な自由を手にいれることができると、いわば妄想に近いような状態でキャリアを考えていた。自分の目標としていたのは、孫正義やビルゲイツのような存在だ。理想と現実があまりにも乖離していると認めながらも、なんとかなるのではないかという期待を込めながら、漠然とした不安とともに過ごしてきた。自分の将来のキャリアプランは?ビジョンはと聞かれても、幼稚な回答しかできない。しかし、自分には「大きな夢を持たないことには実現はない」という言葉と「他人から馬鹿だと思われようが、思い続けること」という言葉を信じていた。

しかし、いざ社会人となって、いわゆるブラックと呼ばれるようなきつい環境、だけど20代の成長意識のあるものにとっては機会が与えられる環境に入って、強制的に現実を直視しなければいけなくなった。

今の状況を話す前に、少し私について話をしよう。

自分は「特別な存在」に憧れを抱いていた。アクション映画のヒーローや、天才ハッカー、トレーダー、凄腕スペシャリストなど、映画や漫画の世界で主人公となるような人に憧れていたのだ。幼い頃からディズニー、ドラえもん、ジブリ、アクション洋画を好み、漫画も主人公が成功していく、もしくは圧倒的な力をもった主人公が登場してくるものが好きだった。

そういったものに触れていると自己投影して、自分が擬似体験している感じになる。自己啓発やhow to本も同じで自分ができるようになった感覚がある。苦しい思いをしながら高みを目指すよりもずっと簡単に自分が「特別」な存在であることを感じることができるからだ。

ただ、学校や会社などの現実世界ではそのような自分とは懸け離れた存在なわけだから、つまらないし、自分はもっとできるはずだ。もっとよい存在であり、尊敬の眼差しを受けるべき存在だとプライドが高くなってしまっていた。

そこで頼りの綱となってきたのが、「好きなことをしながら成功する」の代名詞ではないが、自己啓発系、how to系の本になる。このような状態にあるときは、自分の心の声を聞くことはできない。自分はこうあるべきだ、という世間、他の人の価値観によって支配されているからだ。自分が本当に好きなことは社会の尺度で見ると、価値がないと無意識に認識し、カーテンを閉じてしまう。

直近の1ヶ月ずっと自分について考えてきたが、やっとすこしづつこのカーテンが開いてきたという状況だ。

これまでは職業ランキングや適性ランキングなどを見てはもっともよい年収、キャリア、職業などを探り、だけどこれだと大衆と同じになってしまうから嫌だという悪循環を繰り返していた。いくら意識を外へ向けたとしても自分自身が発している心の声を無視していては、しっくりくるはずはない。

ころころやりたいこと、好きなこと、キャリアビジョンがブレブレになり、昨日の自分と今日の自分がまったく別人であるかのような主張をしている。メモに残したり、転職サイトに登録したりしていると顕著にわかる。

そして自分自身が現実逃避をしていると実感出来る極めつけが、映画や成功ストーリーを好んで見ていることだった。読書や映画は娯楽の一種や勉強の一種として捉えていたが、内容を見れば、自分があくまで擬似体験をし、そして現実にもどって悲観するという繰り返しをしていた。繰り返すうちに自分は何を好んで、どう生きていけばいいのかがわからなくなる。自分の中での矛盾が生じて、葛藤を繰り返し、そして考えないようにと自然と眠りに逃げる。そして朝が迎えると記憶は薄まる。そしてエンドレスゲームのスタートを切る。

最近読んだ本で、しっくりとくるワードがあった。

「将来をポジティブに捉え、高い理想を掲げる一方で、目の前の現実もしっかりと受け止めなければいけない。成功している起業家たちはみんなそうだ。」

目の前の現実を見るのは怖い。自分が無力であると感じるのが怖い。だが、これは他者が見る自分と自分が見ている自分とを一致させることが最初のスタートとして大切だから仕方ない。自分を、ありのままの自分を受け入れる。そしてどこに行きたいのかを尋ねてみようと思う。

さて自分はどこに行きたいのか。何を残したいのか。どんなことをして日々を過ごしたいのか。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?