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435位:Pet Shop Boys 『Actually』(1987)【解説文翻訳】ローリングストーン誌が選ぶ「歴代最高のアルバム」500選(2020年改訂版)

 このnoteでは2020年に、2003年版と2012年版に続き8年ぶりに改訂されたローリングストーン誌が選ぶ「歴代最高のアルバム」500選本家サイトに載っているアルバム解説文の日本語翻訳をしています。本日はこちらのアルバムです。

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435位:Pet Shop Boys 『Actually』(EMI Manhattan, 1987)

<ローリングストーン誌による解説(翻訳)>
 ニック・テナントはクリス・ロウと共にこの80'sシンセポップデュオを結成したとき、英国で最も有名な音楽ジャーナリストの1人だった。Pet Shop Boysは盛り場のクィアたちへの賛歌"West End Girls"ですでにNo.1ヒット曲を世に出していた。しかし彼らはセカンドアルバム『Actually』で、彼らの持つ風刺に富んだウィットをさらに尖らせており、シンガーがアルバムジャケットで欠伸をしている作品などおそらくこの500枚のリストで唯一これだけだろう。Pet Shop Boysは"Rent"や“Shopping”、そしてダスティン・スプリングフィールドとのデュエット“What have I done to deserve this"を通してセックスとマネーの関係の解剖を試みている。
(翻訳:辻本秀太郎、 原文へはこちらから)

参考として、「このアーティストのアルバムが500枚のリストに合計何枚ランクインしていたか」と「このアルバムの順位が前回版(2012年版)ランキングと比べてどう変わっているか」についても以下に調べてまとめています。

<ランキングに関するデータまとめ>
【2020年度版】
同アルバムの今回順位:436位
同アーティストのランクイン枚数:1枚
【2012年度版】(前回版との比較)
同アルバムの前回順位:掲載なし
同アーティストのランクイン枚数:掲載なし

<感想>
 Pet Shop Boysはベストアルバム(2010年の『Ultimate』)は聴いていたが、オリジナルアルバムを腰を据えて聴いたのは初めてだった。聴いていると、Voのニール・テナントの爽やかな声質のせいか、Pet Shop Boysは夜というより日中に聴きたいダンス・ミュージックという感じがしてくる。アルバムジャケットに注目してみても、先述したベスト盤も『Actually』も"West End Girls"が入ったデビューアルバムの『Please』も、いずれも白色を基調としたデザインであることは「日中」感を助長している要因ではないかと個人的に思う。この明るさと清涼感あるイメージが、クィア・カルチャーの怪しい夜の魅力と混じることで生まれるバランス感は、彼が発しているユニークな魅力だと思う。
 『Actually』は2曲目のダスティン・スプリングフィールドとのコラボの"What Have I Done to Deserve This?"(邦題:とどかぬ想い)が素晴らしい。それと、4曲目の"Rent"にはどことないYMOイズムを感じてすぐに好きになった。ドラムの音作りもそうだし、リフもYMOの"Behind The Mask"を拝借しているかと思うくらい似ている。


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