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473位:Daddy Yankee 『Barrio Fino』(2004)【解説文翻訳】ローリングストーン誌が選ぶ「歴代最高のアルバム」500選(2020年改訂版)

ローリングストーン誌が選ぶ「歴代最高のアルバム」500選 (2020年改訂版)

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473位:Daddy Yankee 『Barrio Fino』(V.I. Music, 2004)

<ローリングストーン誌による解説>
 ラテンポップ系ラジオがバラード偏重のスタイルでの限界を迎えようとしていた頃、プエルトリコ人MCのDaddy Yankeeは2004年のレゲトン作品『Barrio Fino』で業界を熱狂させた。Yankee初の世界的なヒットとなった“Gasolina”に勢いづけられたこのレコードは、ラッパー自身だけでなく、サン・フアン(※1)の貧困地帯で生まれたヒップホップとレゲエを生々しく混ぜ合わせた「レゲトン」というジャンル全体の認知において、巨大なブレイクスルーとなった。

※1:サン・フアン...プエルトリコ自治連邦区の首都であるり、最大の港湾都市。プエルトリコはアメリカ合衆国の「自治連邦区」。
(翻訳:辻本秀太郎、 原文へはこちらから)
<ランキングに関するデータまとめ>
【2020年度版】
同アーティストのランクイン枚数:1枚(本作は上から1番目)
2012年度版】※前回版との比較用
同アルバムの前回順位:掲載なし
同アーティストのランクイン枚数:0枚(本作は掲載なし)

<ひとことコラム>
 2017年の世界的大ヒット曲"Despacito"はLuis FontiとこのDaddy Yankeeによるものだったが、世界初のレゲトンのヒット曲は本アルバムからの2004年の“Gasolina”だった。2015-2017年あたりは、Ed Sheeranの"Shape Of You"や、Justin Bieberの"Sorry"など、レゲトンのリズムが欧米兼のヒットチャートの上位に何曲もランクインしているような時期があった。ちなみに同時期の日本語ポップスでは、宇多田ヒカルが8年半ぶりのアルバム『Fantôme』('16)の冒頭トラック""で、例のリズムを自身のものとして昇華させていたのが、アレンジの素晴らしさはもちろん欧米のトレンドへの反応の早さも含め個人印象に残っている。今やレゲトンの「ドーンカドッカ」のリズムは、ラテン音楽らしさを表すものではなく、ポップスにおけるスタンダード・リズムの一つとなった。
(文:辻本秀太郎)


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