427位:Al Green 『Call Me』(1973)【解説文翻訳】ローリングストーン誌が選ぶ「歴代最高のアルバム」500選(2020年改訂版)
このnoteでは2020年に8年ぶりに改訂されたローリングストーン誌が選ぶ「歴代最高のアルバム」500選 の解説文翻訳とレビューの連載をしています。本日はこちらのアルバムです。
427位:Al Green 『Call Me』(Hi, 1973)
<ローリングストーン誌による解説(翻訳)>
グリーンはこの時完全に怖いもの知らずで、いくつもの突飛なアイデアーーカントリー・バラッドからジャズコード、さらにはゴスペル曲までーーをも進んで取り入れる革新者であった。また、プロデューサーのウィリー・ミチェルと、メンフィスR&Bの名手たちによる彼のスタジオバンドはメイソン・ディクソン線(*1)の南側から官能的なグルーヴを鳴らしている。グリーンは"Call Me"と“Have You Been Making Out O.K.”で愛の栄光への証明をし、また“Your Love Is Like the Morning Sun”のラストではファルセットの唸り声を上げているが、その姿はまるで彼が砂糖で出来たエリコの壁(*2)を崩しているかのようだ。
*1:メイソン・ディクソン線... 一般に、アメリカ合衆国の北部 と南部 とを隔てる境界であると認識されている。
*2:エリコの壁... ヘブライ聖書に書かれているエリコ(イェリコ)の街の城壁。固く閉ざされた城壁だった。
(翻訳:辻本秀太郎、 原文へはこちらから)
参考として、「このアーティストのアルバムが500枚のリストに合計何枚ランクインしていたか」と「このアルバムの順位が前回版(2012年版)ランキングと比べてどう変わっているか」についても以下に調べてまとめています。
<ランキングに関するデータまとめ>
【2020年度版】
同アルバムの今回順位:427位
同アーティストのランクイン枚数:3枚(本作の他は、306位『Im Still in Love With You』、456位『Greatest Hits』)
【2012年度版】(前回版との比較)
同アルバムの前回順位:290位
同アーティストのランクイン枚数:3枚(本作の他は、52位『Greatest Hits』、286位『Im Still in Love With You』)
<レビュー>
ウィスパー唱法と、ストリングスがとても心地良い。J-Popでよくある派手なストリングスは苦手だけれど、Hi Recordsのウィリー・ミチェルによる繊細でホーンとよく絡むストリングスは大好きだ。メンフィス・ソウルはタイトなリズムがどっしりと支えてるからこそ、ファルセットやストリングスといった上物がよく映えているのだと思う。"Call Me (Come Back Home)"は誰もが涙する名曲。
アル・グリーンといえば、サンプリングネタとしてもよく使われているイメージだったので調べてみたのだが、Complex.comが発表している、彼の楽曲をサンプリングした歴代のラップソングBest 10には当アルバムからも"Here I Am (Come and Take Me)" (Jay Electronica "Dealing" (2008))と、"You Ought To Be With Me" (Pete Rock "You Remind Me" (2005))が選ばれていた。こちらも良いのでぜひチェックを。
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