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若手指揮者インタビュー!榊真由 1/3指揮と私編

2021年7月5日(月)に開催される「若手指揮者と特別編成オーケストラによるトライアウト・コンサート2021」には4名の若手指揮者が出演します。
公演を控えた6月下旬、オンラインインタビューを実施!プロフィール文だけではわからない、それぞれの素顔を探るべく、制作担当が色々聞いてみました。

4人目は、榊真由(さかき・まゆ)。
《オフィシャルウェブサイト:https://www.mayu-sakaki.com/
今回の公演ではトップバッターとして、ベートーヴェン:交響曲第2番を指揮します。

—榊さん、出身地やゆかりのある地域を教えてください。
生まれ育ちは、埼玉県朝霞市です。実は両親は関西、大阪と兵庫の出身です。
高校の時は、1時間半ほどかけて桐朋女子高校音楽科に通っていました

高校の副科で指揮をはじめ、あるきっかけで指揮者になろうと決意。

—これまでの音楽歴を教えてください。
4歳の時にピアノを、5歳でヴァイオリンを始めました。ヴァイオリンは、副科のような位置づけでやっていました。小学校中学年の時には、フルートを少し習っていたことがあります。
高校は、桐朋女子高校音楽科に進学し、ピアノを専攻しました。大学は3年まではピアノ専攻、4年は指揮専攻に転科し、指揮で卒業しました。この間、副科としてトランペットをやっていたこともありました。

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高校の副科で指揮

—指揮者になろうと思ったきっかけは何があったのでしょうか?
高校はピアノで入学して、それまで細々と続けていたヴァイオリンも、当時の先生から「副科で続けてみると良いのでは」といわれていました。桐朋女子高校音楽科に無事合格し、さあ副科ヴァイオリンの申し込みをしよう、と思ったのですが・・・なんと、学校のシステム上、高校1年生の副科は、作曲か指揮しか取れなかったんです。
希望していた高校に無事合格して、それなりの時間をかけて通っていました。そこでいざ副科がとれないとなった時に、“ダメと言われたらやりたくなる”精神のようなもので(笑)副科を取ることにしました。どちらにしようかと考えたとき、作曲は事前課題の提出が必要だったんです。指揮しか取れない状況で、履修説明会に行ったとき、「あ、なんか面白そう!」と思い、副科指揮に申し込みました。
指揮については右も左もわからない状況で、たまたま、指揮者の梅田俊明先生の門下となりました。梅田先生は、桐朋で教え始めて2年目、門下は副科生がほとんどでした。なので、副科生をゆっくりじっくり、基礎から指揮を教えてくださいました。指揮法教程という指揮のいわばバイブルがあるのですが、その半分を1年かけてじっくりやるくらいのスピードでした。

そして高校3年で指揮になると決めた。

副科として指揮を始めた当初、「指揮者になりたい」という希望を持っていたわけではありませんでした。
桐朋女子高校音楽科では、入学式、卒業式で弦楽合奏をする習慣があります。2年生の終わりに、その指揮をしないか、というお話をいただきました。それが、私にとって初めて人前で指揮をする機会となる予定でした。
それが2011年3月のことで、東日本大震災により卒業式は延期に。1カ月後、規模を縮小して開催されたのですが、弦楽合奏の演奏は中止となってしまいました。そこに弦楽合奏をするスペースはあるのに、入退場の儀式もあったのに、演奏はされなかった。実は他の演奏はあったんです。そこに疑問と悔しさがありました。その悔しさが、それまでの人生にはない圧倒的なところに達して、その瞬間に「私は指揮者になる」と決め、帰りの電車の中で、家族に相談をしました。
指揮が大変だ、難しい、というものも知らなかった時代に、「絶対になるんだ!」と決めたので、その翌日には、「私は指揮をやりたいので、大学は指揮で進学をしたい」と師匠に電話をしてしまいました。

―すごい勢いがあったんですね!
もう、勢いしかなかったですね(笑)
当時、副科指揮の進み具合はゆっくりでした。受験まで残り1年というところでその進み具合では、実力的なところも準備も難しいという状況でした。指揮の師匠である梅田先生も副科で指揮を学んで大学を出ていますし、副科でも専門的に指揮を学べるのが桐朋のいいところでもありますので、まずはピアノで大学に進学することにしました。梅田先生も、「ここからはこれまでよりも厳しく、指揮者になりたいという目線で見ていくね」と、そこから厳しいレッスンが始まりました。

ピアノから指揮へ、転科に挑む

大学はピアノ専攻で進学し、副科で引き続き指揮をとっていました。
高校3年で指揮者を目指し始めてから、指揮に関する色々なことを勉強しはじめ、大変であるということがわかってきました。当時、霧島国際音楽祭の指揮セミナーなどにも参加していましたので、必ずしも指揮専攻で卒業しなければならない、ということもありませんでした。それでも、ピアノ専攻でいながら、ほとんど指揮の活動に重点をおいていました。
桐朋学園大学では、“副専攻制度”というものがあります。主専攻に加えて副専攻を取ることができ、両方の専攻の必修授業を取って、両方とも卒業試験を受けます。入試自体は専科と同じため、おそらく結構厳しいのだとは思います。2年のおわりに、「副専攻を受けてみては」というお声がけをいただきました。副専攻を取りたい場合はかなり早い時期に申し出なければならないため、その時は時期的に叶いませんでした。
それでも、そのように声をかけていただけいただけたということは、もう少し頑張れば、試験を突破できるのではないか、という風に考えました。大学を指揮専攻で出れば、海外へ留学したときに指揮で修士から入ることもできます。そこで改めて指揮専攻への転科を目指し、大学4年から指揮専攻になり、指揮専攻で卒業しました。

憧れの人、パーヴォ・ヤルヴィのアシスタントに

—指揮をする上で目標とする人や曲はありますかか?
目標とする指揮者は、師匠の梅田俊明先生、そして今アシスタントをしているパーヴォ・ヤルヴィ氏です。
当時オーケストラコンサートに行くときは、ピアノ協奏曲があるときくらいだったんですが、パーヴォの指揮はかっこいいな、という漠然としたものがありました。それで、中学の時にブラームスの1番のスコアにサインをもらったことがあるんです!
曲は、シューベルトの「未完成交響曲」が最も好きな曲です。
もちろんベートーヴェン、モーツァルト、古典からリヒャルト・シュトラウスなど、色んな好きな曲はあるんですが、やはり「未完成交響曲」は1楽章も2楽章も、いいな、思うところしかない。この曲が好きって思えてる気持ちを失いたくないなとは思っています。

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—最近はどんな活動をしていますか?
昨年の3月に桐朋学園大学の研究科を修了しました。
その少し前から、NHK交響楽団首席指揮者パーヴォ・ヤルヴィのアシスタントをしています。
そして昨年4月からは梅田先生が担当している東邦音楽大学のオーケストラ授業を、一緒に担当しています。そして今年度は付属中高の弦楽合奏も担当しております。

次は、榊さんのプライベートを聞いてみましょう。

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