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「誰ひとり学びから取り残さない」。オンライン支援プログラムを使って教育を届ける【認定NPO法人カタリバ】

「学びの機会が少ない子どもたちに対して、地域と連携し教育格差を埋めること」を目的とした「キッカケプログラム」を実施している認定NPO法人カタリバ。貧困や地域格差などさまざまな環境で教育格差は生まれる。その格差を埋めるための手段として、オンライン支援プログラムを使用した実装検証が宇和島市と新居浜市で実施された。今回はその実装の結果を、レポートする。
 
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宇和島市・新居浜市の地域における3つの構造的課題を解決するために

今回の実装検証では、「過疎」「貧困」からくる教育格差を課題の対象とした。
解決するために乗り越えなくてはならない課題を以下の3つに分類。

課題①「教育と福祉における分断」
課題②「地域のマンパワーのみによる支援の限界」
課題③「地域に繋がるまでのハードル」

 
それぞれの課題を解決するために教育福祉の垣根を超えること、さらに地域の垣根を超えた包括支援など、支援が必要な子どもを見つけ出し支援に接続するまでの仕組みを構築した。

【具体的な取り組み内容】
■多様な学びのプログラム
週に1回、Edtechの教材を使いオンラインで学習支援を提供。5教科の他にプログラミングや英会話、イラストなど多様な学びの講座を実施した。

■(+α)ヤングケアラーまで支援の裾野を広げる
子どもたちだけの問題にとどまらず、ケアが必要となった背景や家族全体に寄り添って伴走支援を実施。

■スタッフとの対話の場
週に1回、ナナメの関係のスタッフとの対話の場を提供。週ごとに学習の目標設定や動機づけ、振り返りをしながら学習・生活の伴走を行った。さらに、月に1回は保護者との対話を実施。子育ての悩みなど気軽に話せる場を提供し、保護者の心の余白を生み出し、子どものファーストプレイスとして安心安全な場所を作った。

■地域・行政・専門家などへの接続
「支援情報掲示板」として、奨学金の情報、各種団体の支援情報など、さまざまな場所にある情報を一つに集約し展開した。また、心理士・社会福祉士・情報モラルエデュケーターなど、必要な時にすぐに相談ができるよう、子どもや保護者を専門家へと繋いだ。さらに、家庭の困り事に応じて、各種支援機関や住んでいる地域の行政サポートに接続することで必要なサポートを得られるサービスも実施。

宇和島市での実証検証の結果

宇和島市での実装では、学校では困難さを感じていなかったものの、福祉課では家庭の困難状況を把握していた子どもを誘い出し、福祉と教育の垣根を超えてカタリバに繋ぐことができた。これまで必要な支援がなかった子どもに、支援を届けることができた。

新居浜市での実装検証の結果

学力は高いものの集団での生活が難しく、学校だけでの個別対応に限界を感じていた子どもに対して、子どもの特性に寄り添った学びの機会を提供することができた。「キッカケプログラムの勉強はその子のペースで進められるのがありがたい」という感想を保護者から聞くこともできた。

学習の機会をもっと多くの子どもたちに届けるために

カタリバが目指す理想の実装モデルケース

今回の実装検証の結果を受けて次年度からは、宇和島市・新居浜市ともに、半年で3名の子ども受け入れを実施する。さらに、今年度は地域資源に子どもたちを積極的に繋いで、カタリバから家庭へ地域情報の提供の強化も行っていく。
 
さらに、カタリバは以下のことに取り組む予定だ。

①オンラインを活用したアウトリーチの仕組み構築の強化と、この仕組みによって誘い出せる子どもの事例を作る。

②オンラインリソースの活用によってこれまで手の届かなかった支援を含め、包括的に家庭を捉え支援を行う。

③オンラインを使用することで、はじめの一歩を踏み出すチャレンジのハードルを下げて、子どもを地域の資源(子ども食堂やそのほかの支援団体など)にアウトリーチする。

④オンラインリソースの活用によって、貧困・不登校・ヤングケアラーなど支援を必要としている子どもの裾野を広げ支援の選択肢を増やしていくことで、個別で最適な支援を実現する。

⑤メタバースの活用によって、子どもの居場所の選択肢を増やす。
 
オンライン・オフラインそれぞれにできることを組み合わせたハイブリッドな支援であれば、これまで支援が行き届かず、取り残されていた子どもにまで寄り添った支援の手を伸ばすことができる。「誰ひとり学びから取り残さない」社会の実現を目指した本プロジェクトに、今後も期待したい。
 

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