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日本代表は彼に警戒すべきだ! 190cmの“バスクの壁”が立ちはだかる〜GKウナイ・シモン編〜

4年に1度の祭典『FIFAワールドカップカタール2022』が開幕を迎えた。今大会で日本代表は、W杯優勝経験国のドイツ代表、スペイン代表とグループステージで同居する。なかでもスペイン代表に対しては、昨夏に行われた東京五輪・準決勝でフル代表にも選出されているMFペドリら擁するU-24同国代表に敗れており、日本のファンも思うところがあるだろう。今回はそんなスペイン戦に向けて、注目すべき2選手を紹介する。

FIFAワールドカップカタール2022

日本代表は今大会、『まだ見ぬ景色を2022』を胸に、ベスト8以上の成績を目指している。“2強2弱”のグループに入った日本代表だが、グループステージ最終節スペイン戦を、どのような状況で迎えることになるかはわからない。下馬評を覆し、決勝トーナメントに王手をかけている可能性もあれば、すでにグループステージ敗退が決まっているかもしれない。どちらにせよ、2大会連続となるグループステージ突破のために、この4年間の集大成を示すために、最終試験の相手となるのがスペイン代表だ。

今大会のスペイン代表

2010年の南アフリカW杯で同大会初制覇を成し遂げ、その前後に行われたEUROでも優勝し、名実ともに世界王者になったスペイン代表。しかしながら、2014年のブラジルW杯ではグループステージ敗退、2018年のロシア大会でもベスト16で涙を飲むこととなり、かつて“無敵艦隊”と謳われたその姿は見る影もなかった。それでも若手選手の育成に力を注ぎ、ルイス・エンリケ監督の下でUEFAネーションズリーグで準優勝、EURO2020ではベスト4の成績を残している。再び力をつけ、かつての栄華を取り戻そうとする“ラ・ロハ”を率いる同指揮官は本大会に向けて、MFセルヒオ・ブスケツやFWアルバロ・モラタら26名を選出した。

そんなスペイン代表に、警戒するべき2人の選手がいる。GKウナイ・シモンとFWニコ・ウィリアムス。ともにスペインの“名門”アトレティック ・クルブに所属しており、チームの主力選手として活躍している。シモンがゴールマウスを閉ざし、ニコが相手ゴールへの活路を切り開く。ラ・リーガ第14節終了時点で4位につける“ロス・レオネス”を牽引している彼らは、間違いなく、日本代表の前にも立ちはだかる存在だ。

あの日から4年半、運命に導かれた男は190cmの“バスクの壁”となる

プレースタイル
ウナイ・シモンの特徴は、セービング能力だろう。驚異的な反射神経に加えて、身長190cm、手足のリーチの長さを最大限に活かすためのポジショニングも抜群。至近距離からのシュートや1vs1にめっぽう強く、これまでに何度も壁として立ちはだかってきた。なかでも、昨夏に行われたEURO2020・準々決勝スイス戦では圧巻の活躍を見せる。PK戦にまでもつれた死闘は、シモンが2度に渡ってPKをストップし、スペイン代表がベスト4に進出。同試合のマン・オブ・ザ・マッチにも輝いた。

また足元の技術にも定評がある。EURO2020・ベスト16クロアチア戦では、とんでもないオウンゴールをやらかしたり、ビルドアップの際にミスしてしまうことがあるのは確かだ。それでも、ボールを保持するスタイルを志向するルイス・エンリケ監督から絶対的な信頼を寄せられている。1年に1度か2度、唖然としてしまうようなミスをするのが玉に瑕だが、それを含めて彼の魅力。「ミスしても愛せ!」(CV江口拓也)といったところである。
※よく分からない人は、「ハゲでも愛せ!」でググってみよう!!

スイス戦のPKストップ

経歴
ウナイ・シモンは、1997年6月11日にビトリア=ガステイスで産声をあげた。2011年にアトレティック・クルブの下部組織に入団すると、『レサマ』で研鑽を積み、2017-18シーズンにはトップチームに帯同するようになる。翌2018年夏に正式にトップチーム昇格を果たした後、すぐさま武者修行のためにエルチェへとレンタル移籍した。そんな中、シモンに転機が訪れたのは、エルチェ加入から約1カ月後。当時、アトレティック・クルブの正守護神だったGKケパ・アリサバラガがチェルシーへと旅立ち、第3GKのアレックス・レミーロは契約上の問題を巡ってクラブと対立。挙げ句の果てに、第2GKのイアゴ・エレリンの負傷も重なり、GKが不足する事態に陥った。その結果シモンは、急遽アトレティック・クルブに復帰することとなり、そのまま同シーズンの開幕戦でトップチームデビューを果たしたのだ。

2018-19シーズンのシモンは結局、エレリンがケガから復帰するまでのラ・リーガ7試合でゴールマウスを守った。第4節レアル・マドリー戦では好セーブを連発するなどインパクトを残すと、2019-20シーズンからは正守護神として君臨し、ラ・リーガ34試合に出場。2020年11月にはスペイン代表デビューをも飾り、そのまま“ラ・ロハ”でも正GKの座を掴んだ。その後はクラブと代表で絶対的な地位を築き、世界トップクラスのGKのひとりへと飛躍を遂げている。

「ニコ(・ウィリアムス)と僕がスペイン代表に居られるということは、アトレティック・クルブが正しく在り続けているということの証明。ここではチームメイトと一緒にプレーすることが心地よく、幸せなんだ。そういう環境が、ベストパフォーマンスを発揮することをより簡単にしてくれている」

アトレティック・クルブ公式Twitterより引用

運命が動き出したあの日、導かれるように『サン・マメス』のゴールマウスを守った21歳の青年は4年半の月日を経て、スペイン代表としてワールドカップの舞台に立つ。巡ってきたチャンスを掴み続ける勝負強さは、GS・最終節という大一番で、より一層発揮されるだろう。この“バスクの壁”を越えない限り、日本代表はまだ見ぬ景色に辿り着けない。

ウナイ・シモン記録
2018-19シーズン:公式戦7試合出場
2019-20シーズン:公式戦37試合出場、クリーンシート12
2020-21シーズン:公式戦43試合出場、クリーンシート9
2021-22シーズン:公式戦34試合出場、クリーンシート12
2022-23シーズン(11月現在):公式戦14試合出場、クリーンシート6




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