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どうやら私は「HSS型HSP」

ある日、涙が止まらなくなりました。

きっかけは日常生活、とりわけ仕事の中にたくさんありました。上司が病気療養で休職して仕事が増えたこと、常に人手不足な現場だということ、それなのに仕事をしない人間がいること、仕事量に給料が見合っていないこと。観光客の増加に現場が疲弊していっているのに上の人間は売り上げのことしか見ていなくて、安い給料で馬車馬のように働かされる現場。

10月に入って眠れない日が増えました。初めは中途覚醒で、夜中に何度も目が覚めました。それから早朝覚醒。起きる時間でもないのに目が覚めて、それで二度寝が出来ないで結局朝を迎える。そして終いには入眠が困難になり、眠れないでいろいろ考えがぐるぐるとめぐって涙が止まらなくなりました。朝起きて腫れぼったい瞼を保冷剤で冷やしてなんとかみられるような状態にして、鏡越しに向き合った自分はすごく惨めに見えました。そうしてまた涙が止まらなくなって、仕事を休みました。

それからはあれよあれよという流れで、仕事を休んで心療内科に行き、診断書を書いてもらって休職することになりました。

そんな日常の中で、出会った本にがありました。手にとると、そこには自分に当てはまることがたくさん書いてありました。私は初めて「HSS型HSP」というものを知る機会を得ました。



HSPとHSS型HSP

HSPとは「Highly Sensitive Person」の略で、人一倍繊細な気質をもって生まれた人という意味です。これは気質であり病気ではありません。生まれ持った性質なのです。
その中でもHSS型HSPというのがあって、HSSは「High Sensation Seeking」の略です。好奇心が旺盛で、外交的。HSPとHSSは相反する性質なのにそれが共存している。

共感能力が高く繊細で傷つきやすい側面(HSP)を、外向性、社交性、積極性、好奇心旺盛さという側面(HSS)によって表面化しないようカバーしている人たち。

かくれ繊細さんの「やりたいこと」の見つけ方

それがHSS型HSPなのです。


私は趣味で小説を書きます。なので「感受性が豊か」な方です。感受性が豊かだから小説を書くようになったのか、それとも小説を書くから感受性が豊かになっていったのか、それは分かりません。小説を書き始めたのが中学3年生の時だったので、どちらの可能性もあります。

昔から涙もろく、映画を見るとすぐ泣くような子でした。これは「性格」だと思っていたけれど、最近はそれ以外にも「光が眩しい」「周囲の話し声やざわざわとした雑音が大きく聞こえる」というのが増えてきて、その症状からいろいろ調べていたら「HSP」というのに辿り着きました。

・一を聞いて、十のことを想像し、考えられる能力がある
・調べ物をはじめると深く掘り下げ、その知識の広さを周りに驚かれる
・人混みや大きな音、騒音が苦手
・映画や音楽、テレビ番組、本などの芸術作品に感動して泣く
・人の些細な言葉に傷つき、いつまでも忘れられない
・悲しい映画や本などの登場人物に感情移入し、号泣する
・人のちょっとした仕草、目線、声音などに敏感で、機嫌や思っていることがわかる
・冷蔵庫の機械音や時計の音が気になってしまうほど聴覚が敏感である
・強い光や日光のまぶしさなどが苦手
・近くにいる人の口臭やタバコの臭いで気分が悪くなる
・カフェインや添加物に敏感に反応してしまう
・肌着のタグなどチクチクする素材が我慢できないほど気になる
・第六感がはたらき、よく当たる

ここのあげたのは一例ですが、上記は全て私に当てはまることです。HSPは「生きづらい」と感じやすいと言われていますが、しかしそれはどうやら私には当てはまらないな、という気持ちもありました。そんなときに見つけたのがHSS型HSPというものでした。HSS型HSPは一言でいうと「刺激を求める外交的な性格だが傷つきやすい」です。

海外旅行が好きで一人で海外に出かけたり、リゾートバイトで各地を転々とするのが好きでした。全く知らない人と話すのは新鮮で楽しく、一期一会の出会いが好きでよくゲストハウスを利用していました。

・刺激を求めて出かけるが、外に出ると人混みや騒音が気になってぐったり疲れる
・やる気満々で物事に飛びつくが、すぐに飽きてしまう
・周囲からは落ち着いているように見えるが、実際はテンパっている
・初対面で打ち解けるのは得意だが、次第に距離ができる
・大胆な行動をとるのに、小さなミスをずっと気にする
・好奇心旺盛だが、常に警戒している
・自己肯定感が低いが、自信は持っている

これはHSS型HSPの特徴の一例で、私が当てはまっている項目です。好奇心旺盛で何でも新しいことに挑戦したがるが、熱しやすく冷めやすい性格のせいか長続きしない。物覚えは早く器用貧乏なので仕事を転々としても困ることはありませんでした。これはここ10年の私の仕事に対する総まとめなのですが、これもHSS型HSPに当てはまります。


「かくれ繊細さんの「やりたいこと」の見つけ方」(以下、本書)では以下のような項があります。

「かくれ繊細さんに秘められた10個の才能」
1.気遣い・相手に合わせる才能
2.本質を見抜く才能
3.不適切さを察して正す、全体最適化の才能
4.真似をする才能
5.深くのめり込む才能
6.的確に検索・調査する才能
7.必要なスキルを短期で身につける才能
8.相手に合わせて指導できる才能
9.アイデアを思いつく才能
10.予測して備える才能

仕事覚えが早いという特徴は「4.真似をする才能」と「7.必要なスキルを短期で身につける才能」に当てはまります。本書に「未経験で始めたのに上達が早い。けれども一旦うまくなってしまうとそこからの伸びが悪く、飽きてしまう」と記されていて、これはまるで私のことを見ていたかのように言い当てられてしまって驚いたほどです。ほかにもいくつも「あ、これ、私だ」と思う部分が多く、私はHSS型HSPだと自覚しました。

読めば読むほど自分に当てはまる項目が多すぎて、ここには書ききれない程です。

しかし私がこの記事で伝えたいことは特にありません。私は私自身がHSPだったということを、それに気づいた経緯をただ記録として残しておきたくてこの記事を書いています。

ですがもし、日常生活に「生きづらさ」を感じている人がいたらHSPを疑ってみてください。HSPっぽいけどなんか違うな、という人は、HSS型HSPに目を向けてみてください。ここに挙げたいくつかの例に当てはまるものが多ければ、ぜひ本書を読んでみるのもいいかもしれません。
自分の状態に名前をつけられると、人は途端に安心感を得るでしょう。自分はこういう人間なんだと向き合うことでより内省が深くなって己を知る機会になるでしょう。

最近はHSPを公言している芸能人も出てきて、HSP関連の書籍やWEB記事も多くあります。ご自身を知るきっかけになればいいな、と思います。


以下、読了後の個人的メモ
・あなたは傷ついているとは思っていないかもしれませんが、もし「ぐるぐると考え続けてしまっている」としたら、それは傷ついているということです。かすかな風であっても、暴風のように感じてしまう高い感受性をもっているからです。
・ゼロ百思考で極端に決めつけてしまう。
・かくれ繊細さんが力を発揮するためには、小さなところから環境を整えていくことが大切です。(中略)最初にゴールを大きく掲げることは逆効果になります。あくまでも「これくらいなら考えなくてもできる」くらい、小さな行動(スモールステップ)を用意し、そこから始めてください。
・小さな組織の方が小刻みに「変える」「試す」「決裁権を得る」がしやすいでしょう。(周囲の人が気づかないことに気付く能力の活かし方)
・かくれ繊細さんが仕事を楽しむ重要なポイントとなるのは、楽しいと思えるかどうか、自分の有用性を自分で確認できるかどうか。
・同じことを繰り返す仕事を続けていると、かくれ繊細さんは自らの存在価値を下げ始めます。能力を使うことで人の役に立ち、人に求められることによって、自分の存在意義を感じ、強い自信に繋がっていく人たちだから。
・かくれ繊細さんは、一般的な基準が該当しない人たちである。
・「かくれ繊細さんはみんなが悩まないことで悩む」
・「不安を解消するための安定収入」と「好奇心を満たすための活動」の両方を満たすことが必要。
・「独りでこもる時間」と「人と話す時間」を行ったり来たりする。
・たとえ言葉にしなかったとしても、あなたの心の中にはすでにその「本心」は存在しています。大切なのは「他人に本心を伝える」ことではなく、あなたが自分のために、心の中にある言葉を人に聞かれないように脳から外に出し、自分自身がラクになること。

(カバー写真:来間島長間浜入口)


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