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Bリーグ2023‐24 第6節【vs SR渋谷】個人的みどころ


6:4

上記の割合で『A東京が有利』だと踏んでいる。高いと思うかもしれないが、スタッツ情報のみで判断するならば『7:3』も視野に入る。……が、今シーズンより因縁となったSR渋谷との対決では、勝率差以上にA東京が抱える課題は多い。
まずはチームを大枠で捉えて、注目点を記していく。
  

①ホームアドバンテージは無い

これがA東京には無いに等しい。
ホームアドバンテージとは、観客の応援から生まれる試合のペースだけを指すのではない。チームの移動時間、宿泊環境、気候・気温差、etc……、それ等を全て含めてのホームアドバンテージである。
そして、SR渋谷は東京チームだ。自宅から、好きな移動手段で、いつも通りに近い形で試合に臨める。勿論、逆も然り。A東京がSR渋谷のホーム(青山学院記念館)で試合をするのも同様である。

また、今シーズンのSR渋谷には『田中大貴』『ルカ・パヴィチェヴィッチ』が加わった。言うまでも無く、A東京に所属していた二人だ。そして、偶然なのか今節の試合会場は、その2人が共に歩んできた『アリーナ立川立飛』である。これが代々木第一体育館の試合であれば、アウェイ環境がルカHCには刺さるのだが、それは叶わない。

加えて、A東京ブースターにとっての2人は、A東京を優勝に導いたコンビだ。相手チームであっても嫌いになれない。そうなるとブーイングをしたって、どこかに『おかえり』が入り込む。そのため、応援の部分でもSR渋谷にアウェイ環境が薄いと考えて、試合を進めなければならない。
  

②接戦時

ホームアドバンテージが無いというリスクは接戦時に表れる。
ご存知の通り、ルカHCが目指すバスケは『ハードDF&リスクを避けるOF』だ。お互いに3Pを打たない状況を作り出し、自分たちはP&Rでミスマッチを作り、能力の高い選手が2点を確実に積み重ねて勝利する。

その際にOFで鍵になるのはフリースロー。
P&R(ミスマッチ)により、能力の高い選手がインサイドに潜り込むので、相手はファウルで止めざる負えないケースが増える。そうなると、相手に邪魔されず得点できる機会が増える、つまり効率が良い試合運びができるのだ。

そして、このフリースローを外させるのに重要なのは、ホーム・アウェイの環境。ブースタが派手な動きとブーイングで、相手のシュートを惑わせる。『ブースタがフリースローを外させた』は、事実として頻繁に発生することだ。

しかし、先にも記したように『田中大貴』にとって『立川立飛』はアウェイと成り得ない。試合終盤の接戦時、田中によってインサイドを攻められ、DFファウルを犯してしまえば2点は覚悟しなければならない。(もし、田中に1on1を仕掛けられたら、最悪でもシュート前にファウルをすることが重要)

しかし、そのように田中だけを危険視するのは、更なるリスクに繋がる。彼を止めるためにと吸い寄せられれば、その分だけホーキンソン等がフリーにる。そして、判断とボール捌きがBリーグトップレベルの田中は、そんなフリーな選手に適格なパスを出してくる。そのままイージーシュートで2点だ。接戦時には何としても避けなければならない。
   

③理解と理解

A東京のメンバー(ザック、小酒部、ロシター等)は、ルカバスケの長所と短所を理解している。何をさせてはいけなくて、何をするべきなのか。試合を通して、ルカHCが嫌がることを徹底できれば勝率は高い。
しかし、ルカHCも選手等を知っている。同じことを考えるはずだ。また、田中大貴はアドマイティスHCの戦術を知っているため、互いの戦術スカウティングは五分五分である。

そうなると、ルカと田中が知らない選手が試合のキープレイヤーになる。そして幸運なことに、この選手スカウティングではA東京にアドバンテージがある。なぜならSR渋谷は今シーズンに大型補強をしたが、その選手は国内移籍で保管されている。そのため、映像やBリーグでのスタッツが残っているので、A東京は選手のスカウティングが容易だ。
逆に、SR渋谷にはメインデル、グダイティスの情報は少ない。ある程度を予測で保管しなければならないのだ。

  
以上が、外的要因が大きめな要素たちである。しかし、これだけでは6:4の理由には物足りないので、次項目で追加説明を行いたい。


①~③を含めて考えるスタッツ

次に両チームの『この試合で重要なスタッツ』を解説する。大切であっても、この試合では触れなくていい箇所は省いているので、ご理解いただきたい。
それでは、まずは両チームの共通点から。

【TOが少ない】

A東京/10.9
SR渋谷/8.2
『TOが少ない=OFを打ち切る』試合になるので、僅かながら通常の試合よりリバウンド機会が多くなる。そして、相手はインサイドでシュートファウルを貰いたいので、A東京は相手にOFリバウンドを取らせないように立ち回りたい。また、SR渋谷は速攻が稀有なので、直近数試合に比べると、相手にDFを取られても直ぐに失点というケースは減ってくる。

【ポゼッション】

A東京/69.3
SR渋谷/67.0

超ざっくり言えば攻撃権(OF回数)だ。両チーム、平均ポゼッションはBリーグ最下位。つまり、最も試合運びが丁寧な2チームでの戦いになる。
そのため1度のミスが命取りであり、OF回数が少ないので得点差が生まれづらく接戦になりやすい。(そのためホームアドバンテージについて解説した)

【A東京の長所・短所】

長所| DEFRTG(100ポゼッション内での失点)

これは100回のDFで何点失点するかの守備指標だ。A東京はこれが『86.9』という驚異の数字であり、ぶっちぎりでBリーグで1位だ。(2位の三河が101.1)そのため、DF強度は渋谷を大きく上回っている。両チームの攻撃回数が少なくなる今試合でも、このDFを発揮できれば十分な勝機となる。

長所|FT(リバウンド)

こちらは42.4でリーグ3位だ。セカンドチャンスを与えないことは、ロースコアゲームでは超重要。しっかりとチームの平均値を叩き出したい。

短所|FT(フリースロー)

こちら71.3%。Bリーグで13位と中間順位だが、やはり接戦時で3割外れるフリースローは危険だロースコア展開を避けるか、8割を超える確率でフリースローを沈める必要がある。

【SR渋谷の長所・短所】

長所|AST/TO(アシストとターンオーバーの比率)

これが2.1回とBリーグで1位。ターンオーバーせずに、アシストが多いと言うことは、常に周りが見えているということだ。
相手としてはSR渋谷がOFでミスをせず、的確なパスを通して得点するのだから、DFが効いていないような錯覚に陥る。A東京もそこにハマってはいけない。

長所?|%FGA3PT(試投数内の3P割合)

これが39.1%である。ちなみにA東京は37.3%なので、A東京よりも少しだけ3Pを頼みにしている。
そう、あのルカHCが3Pを打たせているのだ――!!
これには流石に驚いた。しかも、チーム3P確率が35%と悪くない。A東京のメンバー、ルカHCを良く知る選手は、思ったよりSR渋谷が3Pを打ってくると想定してDFに挑む必要がある。2P狙いだのOFだと距離をあければ、相手は楽な体勢で3Pを打たせてしまう。

短所| DEFRTG(100ポゼッション内での失点)

先にA東京の長所で説明した守備指標についてだ。
A東京時代に鉄壁DFを誇ったルカバスケだが、SR渋谷ではチームDFの練度が足りていない。現在の指標は『118.6』とBリーグ最下位。現在のA東京と真逆の立ち位置に属している。
この結果は、これまでの試合で攻撃力の高いチームと試合をしてきたことも起因していが、SR渋谷の少ないポゼッション数を考えると守備効率は悪いと言える。A東京が京都戦(前節)GAME2の前半に披露したOF強度なら、勝利が一気に近づいてくる。

【結論】

A東京はDF強度が高いので、失点は少ない。また、リバウンドが取れるため、相手のポゼッションを1度で止められる。(相手にOFリバウンドを取らせない)ただでさえポゼッションが少ないSR渋谷には効果的に機能するだろう。

しかし、田中、ルカ等に筆頭に、A東京はホームアドバンテージが見込めない。そのためロースコアの試合だと、A東京のフリースロー確率の悪さを含めて不利展開にも成り得る。

また、SR渋谷はルカバスケの割に、OF精度が高く、3Pにも頼っている。ルカを知るA東京メンバーは、そのギャップに注意が必要。
その反面、DF強度が低いのでOF停滞を気にしなくても良い。(ルカHCはA東京が苦手なゾーンDFを使用しないことも考慮している。尚、もしゾーンDFを使用してきたら、ちょっとマズイ……。)

    
これらを理由に戦績ではA東京が優位ながらも、6:4で比率で有利不利を判断した。


注目選手とマッチアップ

小酒部泰暉

言わずもがなマッチアップは『田中大貴』である。
【田中大貴:10.3pts / 57.1%(2FG)/44.1%(3FG)/ 2.8AST】SGとしては非常に得点確率が高く、PGの役割を担えば有効的に周りを活かせる選手だ。間違いなくSR渋谷のOFにおける起点であり、実質的なエースだ。

この試合に関しては、小酒部は田中を抑えらえたら得点しなくても良い。田中が止まればSR渋谷のセットは崩れるのだから、時間帯の得失点はプラスになる。

小酒部泰暉にとっては『出藍の誉れ』、つまりは師匠越えの挑戦である。彼とチームが成長するため、オールスター前の山場だと思って頑張って欲しい。
  

グダイティス & メインデル

ルカHC、田中、SR渋谷が知らない選手。対策は有れども百聞は一見に如かずだ。今節では頼られる立場であると、先んじて理解しているならチームは助かる。
尚、グダイティスは『ジェフ・ギブス』という希少型センターに対して、正しいDFが行えるかが若干の不安要素がある。ギブスの身長が低くとも、それを補う技術が高いので、通常の対センター戦術では効果が薄れる。
また、ホーキンソンは前節を体調不良で欠場している。今節の出場は分からないが、WC関連の疲労を含めて、100%までの回復は難しいであろう。心苦しいが、グダイティスには弱点を突いてもらう。

メインデルに関しては、既にその得点力がBリーグで注目されている。いつも通りハードにDFされるので無茶はせず、アシストに意識を割ければ、恐らく問題は無い。
 

その他メンバー

ルカ戦術を知るザックには出場時間を伸ばして欲しい。しかし、現在の彼は調子が悪いので、願望と出場時間が釣り合わない。京都戦後のオフで修正が出来ていると良いのだが……。(むしろ、今まで悪かったのはSR渋谷戦のためとか思いたい)

安藤は相手が田中だからって無理矢理に攻めるのはNG。十分に実力はあるのだから、空回りしなければ役割を果たせる。

ロシターの戦術や思考は、ルカ等にバレている。いつもよりは、彼が起点となるOFを減らす必要があるだろう。その分、身体を張ったプレイに期待だ。

吉井はDFファウルを犯して、相手のフリースローに貢献しないよう要注意。あとは永吉、チェンバースに対してはフィジカルで勝るため、堂々と戦って欲しい。

テーブス、これまでの調子を保ってくれ。五輪の道を自身の手で掴め。
   


【終わりに】

過去のエースとHCを打破すると言うことは、A東京の成長の裏付けになる。逆にここで2連敗すれば、A東京の弱体化を証明することにもなってしまう。そして勝率の高いホームゲームを落とすことにもなる。そのせいで選手たちが自信を失い、今後のリーグ戦・天皇杯に影響が出る可能性すらも有り得る。そのようなリスクが大きい試合だ。

だからこそ優勝を目指すなら、今節は必勝以外の道はない。新しいA東京が強いチームだと、今まで頼って来たエースとHCに示さなければならない。

約5000文字と長い文章に付き合ってくれた読者には感謝を。そして、会場に訪れる人たちは声を張って選手を鼓舞して欲しい。勿論、今回は縁が無かったブースタも、画面の前で念を飛ばしてもOKだ。

全員で勝ちましょう。

以上ーー!!


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