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アルバルク東京選手紹介(第2回) #0 橋本竜馬『敗北の経験』

シリーズ説明

・B.LEAGUE 2023‐24シーズン、アルバルク東京の選手について一人ずつ紹介と解説、期待していることを載せていく。
・筆者の知識はミニバスのアシスタントコーチまで。そのため技術について書くのは限界がある。
・誤解が生まれないよう徹するが、あくまで筆者が思う選手紹介なので、オタクがなんか言っていると軽い気持ちで読んで欲しい。

選手紹介順

#3   テーブス海
#0   橋本竜馬(今回)
#25  福澤晃平
#1   岡本飛竜
#75  小酒部泰暉
#9   安藤周人
#23  レオナルド・メインデル
#8   吉井裕鷹
#22  ライアン・ロシター
#11  セバスチャン・サイズ
#21  平岩玄
#77  アルトゥーラス・グダティス
#10  ザック・バランスキー(C)
#おまけ選手α
#おまけ選手β
#可能ならスタッフ、チア、ルーク。



橋本竜馬

アルバルク東京にとっての橋本竜馬

橋本竜馬の加入、それはこの数年間のアルバルク東京(以下A東京)が行っていた若手選手への入替方針とは真逆である。竹内(現 大阪)、菊地(現 越谷)、正中(引退)等から、吉井を筆頭に若手選手が成長できるような流れを作っていた。そのため、キャプテンを担うようなベテラン選手を加入させるのは、人によっては違和感があったかもしれない。
しかし、橋本竜馬は強豪チームを練り渡って来たベテラン選手である。その経験を活かして、若手選手たちが優勝の歯車となるよう、特段PGの指導という重要な仕事が待っている。
それでは橋本竜馬について、昨シーズンの注目スタッツから、長所と短所を紹介する。

2022‐23注目スタッツ

スタッツ(略)/数値(ポジション内順位)

出場試合数(G)/ 60(全試合)
平均出場時間(MINPG)/ 24:33(24位)
フリースロー(FT)/ 87.2%(8位)
平均ターンオーバー(TOPG)/ 1.1(42位 〈※低いほど良い〉)

https://www.bleague.jp/stats/?year=2022&tab=1&target=player-b1&value=FOULAV&o=desc&e=2&dt=avg

成績詳細|B.LEAGUE(Bリーグ)公式サイトより

スタッツ外の注目ポイント
①     年齢(35歳)
②     DF能力
③     経歴

長所

①     試合数/時間
②     A東京とフィットする3つのスキル

①試合数/時間

今年で35歳、Bリーグでは平均引退年齢だ。加えて、Bリーグという特にPGの成長が著しい環境では、控えPGとして出場していても素晴らしい年齢である。
しかし、彼は昨シーズン全試合に出場し、平均約25分もコートに立ち続けた。試合の半数以上がスタメン出場であり、キャプテンであったことも含めて、その仕事量は計り知れない。テーブス海の記事でも述べましたように、昨シーズン怪我に悩んだA東京にとって、長いプレイタイムを計算できる頼もしい選手である。

②A東京とフィットする3つのスタッツ

これは『フリースロー確率』『平均ターンオーバー』『DF能力』である。
A東京はスローテンポでバスケを行う。OFでは確実に点数を取っていくスタイルで、フリーな選手を作るために24秒をフルに使って攻撃を行う。そのため、チャンスがあれば各選手が自らアタックを仕掛けていく必要がある。
しかし、B.LEAGUEを2連覇したことでA東京はタナカークを中心に、酷なまでに研究され尽くした。現在では簡単なシュートシチュエーションを作ることを許されず、タフショットの選択を迫れることが多くなっている。
その結果、安定して得点が狙えるフリースローは、可能な限り高確率を突き詰めたい。それに、OF回数が減らないようターンオーバーは0が理想になります。また、スローテンポを作り出すためには、相手のハイペースバスケを潰すためにDFも強固にしなければならない。
そこで、これらが得意な橋本竜馬はA東京にとって、チーム方針とフィットする選手となるのだ。

短所

年齢

これだけはどうしようもない。年齢による衰えからは逃れられる選手はいない。
昨シーズンも試合に出続けた彼でが、疲労・怪我の回復に要する時間、フィジカル、ハッスルプレーなど、ここからは能力を上げることよりも、能力を落とさないことに専念する必要がある。
とは言え、想定外のことが起きなければ、スタメンPGはテーブス海になるだろう。そうなれば橋本竜馬は昨シーズンよりも短い出場時間となるため、発揮するパフォーマンス密度を上げて、彼のクオリティを保てればプレイ面では完璧である。
A東京の公式HPで、試合前のルーティンに『身体の調子を整える運動、エクササイズ』と答えるプロ精神を我々は信じるだけだ。

『敗北の経験』

最後に触れ残した『経験』について。
Bリーグでの彼のチーム所属歴は、『三河』→『琉球』→『北海道』→『A東京』となった。先の2チームは常勝軍団であり、彼が所属している期間で地区優勝もしている。代表歴もあり、リオオリンピックの最終予選にも登録されていた。
しかし、残念ながら彼が得た栄光はそこまでだ。リーグ優勝も、数日前の代表への喝采も、元々は彼が所属していたチームでありながら、それを築いた彼が得ることは出来ていない。
その彼が、最後に『優勝を目指すと』言葉に残して、A東京に加入した。ベテランに残された時間は少ない、誰よりも貪欲に戦ってくれるだろう。

また、PGが彼以外にもテーブス、福澤、岡本。そして、ハンドラーを担えるという意味では小酒部。橋本竜馬がPGとして大舞台で得た経験を伝える後継者が何人もいる。彼のDF、スキル、キャプテンシーなど、手本にする技術だっていくつもある。
 
優勝を得られなかった、CSで勝てなかった経験はマイナスなことではない。「あの時はこっちのプレーをすべきだった」「この判断が間違えていた」試合の反省は勝利チームより、敗北したチームの方が徹底的に行う。悔しさで、その一つのプレイを何度だって思考する。

橋本竜馬は『敗北の経験』と悔しさを若手に教える師匠として、そして優勝するための重要な選手としてA東京に加わったとのだと思う。
 
優勝インタビューを受けるテーブスが、「僕の師匠は橋本さんです」と言い、その発言で橋本が泣く。そんなことが叶えば、彼にとってのA東京加入が成功したと言えるのではないだろうか。

以上

次回

次回は『#25 福澤晃平』選手についてです。

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