アルバルク東京選手紹介(第1回) #3 テーブス海『進化』


シリーズ説明

・B.LEAGUE 2023‐24シーズン、アルバルク東京の選手について一人ずつ紹介と解説、期待していることを載せていく。
・筆者の知識はミニバスのアシスタントコーチまで。そのため技術について書くのは限界がある。
・誤解が生まれないよう徹するが、あくまで筆者が思う選手紹介なので、オタクがなんか言っていると軽い気持ちで読んで欲しい。

選手紹介順

#3  テーブス海(今回)
#0  橋本竜馬
#25 福澤晃平
#1  岡本飛竜
#75 小酒部泰暉
#9  安藤周人
#23 レオナルド・メインデル
#8  吉井裕鷹
#22 ライアン・ロシター
#11 セバスチャン・サイズ
#21 平岩玄
#77 アルトゥーラス・グダティス
#10 ザック・バランスキー(C)
#おまけ選手α
#おまけ選手β
#可能ならスタッフ、チア、ルーク。

紹介前の事前知識

テーブス海の紹介前に、彼を紹介するにあたって理解して欲しいB.LEAGUEのルールと歴史がある。

解説するのはB.LEAGUEの外国籍選手/帰化・アジア籍選手についてだ。ただ、ここで説明するのはバスケファンなら周知の事実。「何となく分かる」「書きたいことが予想出来る」等の人は読み飛ばしてくれても問題ない。

説明

それでは外国籍選手/帰化・アジア籍選手について語るため、簡単な問題について考えてください。

Q:なぜ3Pより、2Pの方がシュート成功率が高くなるのでしょうか?

いかがでしょう?
適当で構いません。回答が出来たら下にスクロールしてください。





A:ゴールが近いから。

はい、これがクソ問題というヤツですね。
これで終わるとフォローを外されるので、しっかり解説します。

バスケにおいて最もシュート成功率が高いのはゴール下。これは説明する余地なしです。某有名漫画にあるように、バスケというスポーツにおいて唯一「置いてくる」をシュートにすることができます。(他は「投げる」ですよね。)

ですが、それでもバスケではシュート成功率100%は有り得ません。どうしたって1試合で個人が達成しても、チームとしては有り得ませんのです。
なので、この得点を積み重ねるスポーツにおいて、期待値の高いシュートを増やすことが勝利に繋がります。そのためにズレを作ったり、速攻を仕掛けてDFから逃れます。

現在のB.LEAGUEでは外国籍選手は3人 + 帰化・アジア籍選手は1人まで選手登録が可能です。
しかし、以前はオンザコートルールが厳しく、一度に出場できる外国籍選手は最大2人まで、帰化・アジア枠などはありませんでした。そのため現在よりも遥かにコート内の外国籍選手が少なかったわけです。そうなれば、フィジカルで日本人にアドバンテージを得られる外国籍選手のポジションは自然と決まってきます。

勝つためには『強い選手で、より確実に点数を稼ぐ』です。

――と、ざっくりとこのような理由から(現在も)B.LEAGUEの定石は外国籍選手をインサイドに置くことになりました。
しかし、そのルールも今は変わったので外国籍選手に余裕が生まれてきました。ハンドラータイプの外国籍選手が増えてきた理由もそこです。

個人的考察

しかし、ハンドラータイプの外国籍選手を加入させることは、インサイドの外国籍選手を減らすことになります。それは確率の高いOFを減らすことと同義です。太田敦也(三遠)、竹内兄弟(大阪・宇都宮)、シェーファー(三河)、川真田(滋賀)などの貴重な日本人ビッグマンが在籍していれば、その穴を補うことも叶いますが。それでフィジカルを補えるならば、日本代表は3P連投の戦術を選ぶ必要はありません。彼らは堅実な2Pが取れないから、危険な賭けに挑戦しているのです。

とは言え、アルバルク東京(以下A東京)も帰化選手のライアン・ロシターを加入させたことで、【ジャスティン・コブス】【ジョーダン・テイラー】などのPGの外国籍選手を加入させていました。彼らに求めたのは高いハンドリングと、A東京十八番のP&R(ピック&ロール)の強度を高めることです。

【ここからキツイことを書きます。批判的にも取れるので、本編である選手紹介まで飛ばしてもOKです。】


先の例に挙げた日本人ビッグマン同様、A東京にも日本人ビッグマンはいます。平岩です。
数年前、A東京は竹内(現大阪)を手放し、平岩の成長に期待しました。しかし、現状の彼はA東京に在籍していたころの竹内ほど働けていません。
成長には様々な理由が関わりますが、A東京のスローテンポバスケでは大きな点差の発生は稀有です。そのため、育成のためのガーベジタイム(勝負を諦め若手/怪我明けの選手を出す時間)は少なくなります。特にA東京は常に優勝を目指していたため、ガーベジタイムでも主力選手がチームプレイ浸透のために出ずっぱりでした。
そうなれば平岩のプレイタイムは減ります。ただでさえ外国籍選手が多いインサイドという環境。経験の少なさは成長には大きくに繋がり、個人スタッツも伸び悩みます。それが彼の現時点です。
彼にとって良いこともあるのですが……、ここは難しいですね。(詳しくは彼の記事で詳しく書きます。)

――と思っていたら、アジア競技大会の代表に選ばれました。
代理選出でも大きく成長するチャンスです。泣きます。

【キツイの終わり】

はい、ここからが『テーブス海』の解説になります。
お疲れ様でした。



テーブス海

アルバルク東京にとってのテーブス海

2022‐23の個人スタッツを見ても明らかなことがあります。
センター(C)の【平均得点・FG%】上位10選手は、全員が外国籍選手/帰化・アジア籍選手です。対して、PGの同項目での上位10選手は、外国籍選手は3人程度です。(カイル・コリンズワースは試合数が少ないので程度です)
数字だけで見れば、日本人選手でも同等の働きが出来るのにPGで外国籍選手を使うのは勿体ない、という結果に落ち着きます。
そのため、テーブス海という代表候補選手の加入は外国籍を空けつつ、チームとしての強度を保つのに非常に効果的です。

2022‐23 個人スタッツ

PG/185㎝/85㎏
MING 30:16(PG 3位)
PPG  12.4 (8位)
FG   37.2%(66位)
2FG% 47.2%(58位)
3FG% 29.2%(72位)
APG  6.9  (3位)
FT%  71.9%(62位)
TOG  2.9  (2位)
STPG 0.9 (19位)
(見ずらいので表が出来たら更新します)

長所

①選術強化
②長いプレイタイムに出続けられる
③周りを活かしている

①戦術強化(A東京にとっての(略)と近似)

A東京今シーズンの外国籍選手の移籍は
『アレックス・カーク(C)』→『アルトゥーラス・グダティス(C)』
『ジャスティス・コブス(PG)』→『レオナルド・メインデル(SF/PF)』
です。
カーク→グダティスに関しては同ポジションでの入替。コブス→メインデル、このポジション間を超えた入替が可能になったのは『テーブス海』の加入が大きいです。フィジカル、バスケIQ、DFなど、A東京がスタメンでのPGに求める能力(潜在能力含)を有しているとの判断でしょう。国内でコブスの代わりになる選手は数えられる程度です。PGの強度そのままでの外国籍SF/PFの加入は、昨シーズン以上に力強いA東京のOFを見せてくれでしょう。

②長いプレイタイム

A東京が長いシーズン抱える問題であり、昨シーズンも悩まされたのは「選手の怪我と離脱」です。一人ひとりのプレイタイムが増え、OF/DF共に戦術パターンが減る。特に昨シーズンはPGの欠場が多かった。これでは勝てるものも勝てない。(なのでPOの島根戦はファン全員感涙して良い)
そんなA東京に長いプレイタイムを任せられるPGがやって来た。非常に有難い。
(とはいえ彼は昨シーズン中に怪我を負っているので、その部分を中心に身体のケアを怠ることは出来ない)

③周りを活かせる

APG(アシスト平均)3位は素晴らしいことです。
この数字は出場時間の長さに比例することが否めなませんが、アシスト数が時間と比例していかなければ一人で突っ込むイノシシと言うことです。普通なことを普通に行えるPGは、個人能力の高いA東京の選手たちを最低限活かすことの保証となります。

短所

①シュート成功率が低い(FT含)
②TOが多い

①シュート成功率が低い(FT含)

シュート成功率が低いです。2P/3P/FT、全てが低いのです。
テコ入れは必須です

A東京はスローテンポバスケです。攻撃回数が少ないため、高確率でシュートを決められなければ点数が伸びません。加えて、B.LEAGUEは千葉、名古屋D、島根、川崎、などOFに長けたチームが多いのです。相手のハイペースに飲まれた場合も、点数に追い付いていく能力があると使い方に幅が出ます。(PGなのでスローテンポバスケなるように、自身でコントロールするのがベストですが……)

しかし、『全部のシュート成功率を上げろ』などと言って出来るなら、どんなに楽でしょうか。
そのため、まずは『一つ』絶対に決まると自信のあるOFセットを作ることが目標になります。フローター、完全フリーでの3P、なんならレイアップでも。これならDFが誰であっても点が取れるとの思えるセットが欲しいのです。

現状では相手にとって『打たせてよいテーブス海』でも、A東京でOFの武器が出来れば相手も注意しなければなりません。そうなればDFは分断され、彼の得意なアシストも伸びてきます
同じようにスターが集まる日本代表の活動でも、『誰にも負けない一つのOF』が彼を輝かせるチャンスを作るはずです。

※A東京謎のジンクス
 FTは勝手に成功率が上がるため、心配してません。ロシターが証明済なので。

②TOが多い

TOが多いのです。個人的にはシュート成功率の低さより、こちらの方がマズイ
A東京はスローテンポバスケ、テーブス海の周りには複数カ国の代表格選手。最低限アシストさえ出来れば勝手に点は入ります。(彼のフィジカル/経歴を考えれば、こんなことは言いたくない)
しかし、ボールをハーフコートまで運べなければ、パスを奪われてしまえば、A東京の十八番であるP&R(ピック&ロール)も行えません。
残念ながら川崎とのプレシーズンゲームでも、ドリブルを溢して速攻を決められました。プレシーズンゲームでのDF圧力で、です。ここはフォローできません。
日本代表でも外国人のDF圧力でTOしないよう、まずは国内で敵無しのスキルを身につけて欲しいです。焦らず段階的に、その分だけ我々は成長を応援できます。成長という楽しみが多いのは最高です。

『成長』

今回、テーブス海が得た最大の利点はA東京という環境です。日本、スペイン、ブラジル代表を経験した選手が在籍し、リトアニア代表を率いたHCと、様々なバスケを学べる環境です。PGの人数も多いことは競争になり、B.LEAGUE最大規模のスタッフ陣のサポートがあります。ここに関しては滋賀以上と言い切って差し支えないでしょう。

その滋賀も伸び悩んだ期間と言うのであれば素人です。プレイタイムの増加、エースとしての扱い、スタメンでの試合。バネとなる経験は得られました。また、挫折の経験と移籍という別れ方には悲しみが残るかもしれません。しかし、安藤誓哉(現島根)という、A東京を2年連続優勝へ導いたPGも、彼と同じ立場からA東京での活動が始まりました。運命的にも背番号さえ同じ#3です。
滋賀のファンにも、「俺/私が応援した選手がトップチームで頑張っている!!」と言わせてあげるためにも頑張らなければなりません。
彼は2チームに支えられ優勝を目指すのです。

僕は『テーブス海』に期待せずにはいられない。


以 上


次回

次回は『#0 橋本竜馬』選手についてです。

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