オズの魔法使

1939年アメリカ合衆国公開のファンタジー・ミュージカル映画。Amazon Prime VideoでPrime会員特典で無料で視聴可能です。高画質版は同じ字幕版でオプション購入品でした。なお、鑑賞の際のレーティング情報として、推奨される対象年齢グループとしてはPrime会員特典の方では13+となっていましたが、高画質有料購入のページでは全年齢対象となっていました。

原作は1900年に初版が出版された児童文学で、マザー・グースの物語で童話作家として有名になっていたライマン・フランク・ボームの作品です。今回視聴した1939年の映画の前に1902年にミュージカルがあったようです。名作なだけに、続編や派生作品が映画・ミュージカル問わず多数生まれているようです。

現在では観る人が少ないかもしれませんが、名作映画の1本であることに間違いなしの作品と言えます。映画の作り方として、冒頭/ラストのカンザスのシーンはモノクロ、中間/メインのオズの国はカラーフィルムで撮影、演出されていて、切り替わりにハッとさせられます。また、ミュージカル映画なので音楽が美しく、映像をより引き立てていたり、曲調を変えずに歌詞を変化させて何度も繰り返し使うことで映画の全体の雰囲気や場面がまとまっている効果があるのではないかと思いました。その中でも有名な曲は「Over the Rainbow」何回も観ているはずなのに、この曲が流れたときにこの映画の曲だったのかと衝撃を受けました。主演のジュディー・ガーランドがとても美しく、可愛いなと思いながら観ていました。歌唱力もあり、音質が古くても上手いのがわかります。また、案山子/ハンク役のレイ・ボルジャーの歩き方が印象に残りました。彼はヴォードヴィリアンという舞台上で踊りなどをするショービジネスマンであったため、不自然な歩き方でも自然に身体を動かして見せることが出来たのでしょう。この動きは藁で出来た案山子の身体をよく表し、オズの世界観をより深めています。

この作品は1939年8月にニューヨークでプレミア上映されていて、ちょうど同時期にドイツが独ソ不可侵条約を締結し、翌9月にドイツ軍がポーランドへ侵攻、これに対抗してイギリス・フランスが宣戦し、第二次世界大戦が勃発します。この時代の流れの中にあってこれだけのものを制作出来たのはすごいなと思います。アメリカが遠く離れていたから出来たことなのかもしれませんが。

日本での公開は1954年12月。日本語吹き替え版は3種類で、TBS版(初回放送1974年3月)、NHK版(1987年12月)、ソフト版(1990年頃制作)があるようです。訳者や声優、演出が違うので、今回視聴した原語字幕版とは細かなニュアンス等で違う部分があると思います。

私が視聴したのはおそらくソフト版ではないかと推測します。年齢は5歳。この年頃の子どもが字幕で観られるとは思えません。しかし、英語を習っていたので、英語字幕版で最初に観ていたら、歌詞で韻を踏む場面が多かったですし、印象が違っていたかもしれないと思います。当時、とても怖かった記憶があるのですが、今観返してみると、音楽も凝っていて、なぜそんなに怖かったのかわかりません。悪い魔女の描写がおどろおどろしいので、魔女が怖かったのならまだわかるものの、私はブリキが怖かった気がします。

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