【おすすめ図書】ランナーのカラダのなか
どうも、さかもとです。
今回は書籍紹介です。
小学館から出版された「ランナーのカラダのなか 著;藤井直人」
運動中に、心臓や血管、筋など身体器官がどのように機能しているのかを解き明かすのが運動生理学です。
本書では
「走っている際にカラダの中ではどんなことが起こっているのか?」
と言う、ランナーにおける運動生理学として書かれています。
「生理学?」「運動生理学?」
と「??」がたくさん出てきそうな学問を
一般の方にもわかりやすく解説してくれています。
走るとなぜ息が切れるの?
高地トレーニングって本当に必要?
アクティブレストって有効?
マラソン中の栄養補給って、何が正解?
ゆっくり長時間の走り込みは必要?
など
55の問いに対して、基本的に2ページ程度(図解も含む)で簡潔にわかりやすく解説されています。
ただ闇雲に走るだけでいいのか。
その答えは「N O」ですよね。
選手自身も、どうせ練習するなら効率的にしたいと思うはずです。
指導者やトレーナーも、できるだけ効率よく、怪我なく練習を継続してほいいと思っているはずです。
その解決の糸口の一つに、運動生理学の理解があると思います。
ランナーはもちろん、指導者、運動生理学が苦手なトレーナーにもおすすめな1冊となります!
内容漏洩にならぬように注意しながら、いくつか解説して行きたいと思います。
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11/15追記
YouTubeにもアップしています。
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走ると息が切れる、そのしくみとは?
運動強度(走る速さ)が上がると、酸素摂取量も上がって行きます。
酸素摂取量を上げるには「動脈血酸素含有量」を維持する必要があるようです。
これを維持するためには、心拍出量を上げ、同時に呼吸も上げなければなりません。そうでないと、血液に充分な酸素を乗せることができず動脈血酸素含有量が低下してしまいます。
だからこそ、息切れが起こるわけです。
もう少し掘り下げて見てみましょう。
「呼吸を上げろ!」と指示を出すのが水素イオンです。
血中や筋中に水素イオンが増えると、phが低下し酸性に傾きます。
するとphの低下を感知するセンサーが機能し、「呼吸を上げろ!」と指令を出すのです。
なぜ水素イオンが発生するのか。
それは、3つの要因があります。
①三大栄養素の代謝
②乳酸の生成
③ATPの分解
です。
これら全て、運動強度を上げると活発になります。
強度が上がれば、自ずと3要素は活発になるので、息が切れるが起こります。
アクティブレストって、有効?
アクティブレストとは、ウォーキングや体操、低強度のジョグを休養日に行うことを指します。その目的は、疲労回復やリフレッシュとなります。
「軽い運動をすると、血流が良くなり疲労物質が除去される」と広く浸透しているものと思います。
果たしてこれは、本当なのか。
答えは、メリットもデメリットもあるです。
メリット;ミトコンドリア機能向上につながる
運動量がミトコンドリア機能向上につながると言われており、軽い運動とはいえ完全レストに比べると運動量を確保できます。
ミトコンドリア機能向上、と言う観点からはアクティブレストの意味はありそうです。
デメリット①;筋グリコーゲンの回復遅延
低強度とはいえ、運動をしていることには変わりなく、エネルギーを消費するため、筋グリコーゲンの回復が遅れる恐れがあります。
食事との兼ね合いはありますが、筋グリコーゲンの回復が遅れ翌日以降の練習に響く可能性も。
デメリット②;鉄の吸収量の低下
運動により炎症性サイトカインが上昇し、肝臓で鉄吸収を阻害するヘプシジンが増え、鉄の吸収を低下させる可能性があります。
貧血に悩んでいるランナーにおいては、完全レスト+鉄補給日に当てた方が良いかもしれませんね。
LSDなど、ゆっくり長時間の走り込みは必要?
運動生理学的に、ランニングパフォーマンス向上には高強度トレーニング(インターバル走など)が有効とされています。
LSDなどの長時間のゆっくりとしたランニングの有効性は、エビデンスが十分にあるわけではないようです。
低強度の持久トレーニングが、ミトコンドリアの酸化能力が向上すると言う主張もありますが、高強度トレーニングでカバーした方が効率的とされます。
こういった観点からは、LSDよりも高強度トレーニングが推奨されます。
時間的な問題がないのであれば
高強度トレーニングで強度を確保し、低強度トレーニングで量を確保することで、トレーニングの強度と量をダブルで狙うことも◎です。
ただし、強度の高さはケガのリスクもあります。(もちろん量が増えることでもリスクはあるが)
個人に合った方法を模索していくことが重要ですね。
まとめ
本書では、このように様々な観点で55の問いについて説明されています。
今回noteで書いた内容だけでも「なるほど!」と思う点もあるかと思います。
個人的に、非常におすすめ書籍となっています!
長距離シーズン!
ぜひ一度、手に取ってみてください!
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