サマー・カレーテキスト

某所にてカレー。河の近くのカレー屋さん。

バターチキンカレーと南インド風野菜カレー、欧風牛すじカレーの3種盛りにした。とても量が多いように感じるかもしれないが、サフランライスの量は変わらないし、ルーもそこまで量はない。

水辺でカレーを食べると、なんだかより夏を近く感じるが、考えてみれば日本にカレーが普及する契機は、横浜の海軍カレーと思えば海辺とカレーの親和性と神話性はもともと高いのかもしれない。

サツマイモやカボチャ、とろとろのトマトと玉ねぎ、野菜の甘さを活かした味わいの南インド風野菜カレーは実にあまい。食品由来のとろみと自然な甘さが口の中を老いたロバのようにゆっくりと横切っていく。

対して、欧風牛すじは、まるでビーフシチューのような見た目ながら、スパイシーな香りを凝縮した味付け。ほくほくした牛すじを噛み締めると、繊維がはらりとほどける。たんぽぽの綿毛に息を吹きかけて飛び去るようなとろけかた。

トリのバターチキンカレーは濃厚。トリは鳥。他の選択肢としてあったポークヴィンダルカレーを選べば、牛、豚、鳥と有名な畜肉のカレーを制覇することも可能だったのだなとあとから気付いたが、本日のチョイスに後悔は全くない。

いわゆるスパイスカレーに近しいカレー屋さんで、バターチキンにも、しっかりスパイスの存在を感じる。バターとココナッツミルク由来であろう甘さの奥にスパイスが潜んでいる。


久しぶりのお店屋さんカレーで、まあまあのお値段の食事とはなったが、満足度は非常に高い。インドカレーのお店でナン食べ放題の豪快さを堪能するのも良いが、雰囲気の良い場所で、淡々とカレーの世界に浸るのもまた、格別。

東京やら都市部には数多くのカレー屋さんがあるけれど、地方都市から少し離れた場所にある、小洒落たカレー屋さんも良いものです。頻繁には行けないけど、また車飛ばして行けたら良いな。

夏の暑さ(今年は実に過酷)による食欲減退に対しての、スパイスと野菜の摂取による回復を目的とした本日のカレーだったが、それはそれなりに効果があったように思う。

家庭での再現性は高くないカレーだったが、それはそれなりに真似て牛すじカレーを作ってみたいと思った。外食はできるだけ普段自分では作れないものを食べる主義なので、今日のカレーはまさにそれに該当するのだが、らしきものを作りたいと思うほどに美味であった。

暑さが続くなら、また別なお店にもカレーを食べにいかないとね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?