2019年J1リーグ第26節 浦和レッズvsセレッソ大阪 雑感

レビューを書こう書こう、と思いながらすでにシーズン終了が視界に入ってきてしまった今日この頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか。

僕は頑張る、と言いながらpolestarさんのデータ集計を最後に中々かけていない状況が続いています。
これじゃいかん、どげんかせんといかん、という訳で少し雑ですけど書きながら個人的に整理していければと思います。
というわけで、今回は図も何も用意せず、ただただ書いてみますが、手が空いたタイミングで図とか差し替える可能性も無きにしも非ず。

レビューというよりも備忘録的な意味合いの強い記事ですが、ご覧頂いた方でご指摘いただける奇特な方がいらっしゃれば、飛んで喜びますので、どうぞよろしくお願いします。

1.浦和のスターティングメンバー

GK 西川
DF 岩波 鈴木 槙野
MF 関根 安部 青木 汰木
ST 長澤 武藤
CF 興梠

2.セレッソのスターティングメンバー

GK キム・ジンヒョン
DF 松田 ヨニッチ 木本 丸橋
MF 水沼 レアンドロ 藤田 柿谷
FW 奥埜 ブルーノ・メンデス

3.浦和レッズの狙い

大槻監督になってから何試合か観戦していますが、その中で生命線になっているのが「ハーフスペースのどの高さで起点を作る事が出来るか」という所なんじゃないかな、と思っています。
3バック2シャドーの陣形を基本線として、ビルドアップ時に中盤がバックラインまで下がって参加したり、興梠が(おそらく)自分の判断で中盤を助けるような動きをする事がありましたが基本的には武藤や長澤がハーフスペースのラインで上下してボールを受ける動きを初手としてWBが上がる動きを助ける、またはレイオフで中盤の選手(青木やエヴェルトン、柏木)へ預けて左右へ展開をする、という経路を強く感じさせ、膠着した状況では(主に)槙野がハーフスペースを駆け上がり圧力を上げる事で数的優位を依り処として局面の打開を図るケースが多く見られました。

そして、ハーフスペースで受けることが出来ない場合は相手DFラインの裏へのボールを送り込む事によって陣形を伸ばしながら目的の形を作る事が出来る瞬間を伺い、ハーフスペースを起点として相手を局地的にも大局的に左右に揺さぶる事が理想形の一つなのではないかと思っています。

しかし現実は、湘南の様な運動量が多くデュエル濃度が高い試合の時はオープンになり、マリノスやヴィッセル、そして今回のセレッソの様なポジショナルな相手にはミスを契機としたトランジション時のオープンな展開でしかチャンスを作る事が難しい、半端な現象として表れてしまっているのではないか、と推測しています。

4.試合雑感

以下、試合を見ながら雑に書き連ねた雑文になります。

ボールはセレッソ。
序盤のGKからのビルドアップ阻害は3CBにそれぞれアタック。
青木のファーストプレイ、ハーフスペースに難しいコースでもボールを入れる。長澤はワンタッチで関根へ。
4分、ブルーノメンデスのキープでオープンな展開になる事は避ける。そこら辺はロティーナっぽい。
浦和の前線はプレスをかける時にボールサイドに割りと寄る。長澤がセンターレーンにまで来ている。
8分、武藤が右に。
前線の並びはローテーションというよりは流動的。

浦和は守備時に1~2枚余らせる形が多い。
これは相手の攻撃が機能している、というよりは両DH、青木と阿部、もしくは柏木、エヴェルトンの組み合わせに関わらず、裁量を与えている、と言える。
柴戸が配置された時は阿部か青木、長澤がフォローに入れるように位置取りをしているものの、それ以外の配置の場合は裁量が大きい様に思える。
大槻監督の表現が出来ていない、の言葉をそのまま受け取ると、要は言ったことが出来ていない、という事になるんだろうけど。

浦和はセレッソに中盤のフィルターをガンガンパス通しており、浦和はフィルター的な意識でいるものの、実際にはそうとはなっていない状況が続いている。
以前から気になっているが、スライディングが多すぎるのも指導されないのだろうか。
危険性に関わらず、後ろが感じられていないから出来るだけ幅を持たせたブロックとしてスライディングを選択している?

浦和のビルドアップは前プレを敢行する相手に対してHVがワイドに開く形を以前は取っていたが、今はボールサイドに寄る形を選択。
ロングボールの方向によって選択している様だが、セカンドボール回収の設計に関してはあまり考えられていない。
というのも、両サイドにロングボールを入れても汰木と関根なのでセレッソのブロックをスライドさせる意識からロングやサイドチェンジを選択していても、そこで優位を持つことはできない。グラウンダーのボールじゃないとダメだろう。
しかし、そこは442の配置として対応は非常に楽な経路であるし、視覚的な障害として出しにくいのだろう事も想像できる。

基本的に、ロティーナセレッソと大槻レッズの差異として挙げられるのが局面の解像度の違い。
角度の浅い斜めのパスに対しては(セレッソのパスミスもあるだろうが)パスカットが出来ている。
反面、縦パスに対しては非常に厳しい。通される事を織り込んでいるのかと思う程度にはガバガバである。

また、442対応という訳ではなく、基本的にハーフスペースでボールを受けて起点にしたいという指向性でずっとプレーを続けているが、密集している場合は無理してターンなど危険なプレーを選択せずにワンタッチではたく形が主になっている。
これは周囲の配置などに設計が無いからなのか、ハーフスペースに入れてから、あとは流れで、みたいな意識なのかは気になる所。実際に、他の試合ではあるが武藤がSTの時にハーフスペースで受けて、長澤・興梠がそれなりに近い距離感で位置取り出来た時には1~2タッチでパスを細かく好感してチャンネルに侵入できるプレーなども見られていた。

この試合に関しては汰木と関根は基本的に幅を取る形を取っていたが、セレッソの配置に対しては構造的にミスマッチであった事は否めない。
幅を取った時にハーフスペースで起点を取ろうとした場合は、それこそ積極的にグラウンダーでボールサイドを大きく動かすパス経路を取るか、半径の小さいターンが出来る選手、もしくはしっかりキープできる人間を配置できるようにしないと話にならない。
SBとSHに挟まれる事が自明であるため、優先順位としては構造をいかに破壊するか、という所を起点にしないとハーフスペースに布石は打てない。

21分の場面はセレッソのパスミスからだったが、センターレーンで興梠がボールを受けて左へボールを展開できたのはひとつのヒントになったとは思うのだが、再現性をもって場面を作る事は出来ない。
それは、青木と阿部へ与えられた裁量が大きすぎたからかもしれないし、パス経路を作り込むイメージが出来ないでいるだけなのかもしれない。

後半開始。

勝ちに行こう、という気持ちが見える出足の早さ。
初手は関根へ展開してドリブルで仕掛け。
前半もだが、全体的にコンディションが良くない。

早々に失点。
左サイドを丸橋に突破されてライン間を横断されるパス。
丸橋の突破に合わせてセレッソの柿谷?が基準点として下手な動きをしなかったから関根がピン止め、そのまま突破を許す。多分、柿谷に縦パスを入れていたらスイッチをされていたから、良い判断と言える。それよりも青木の守備判断が良くなかった。
青木は基本的に守備時余る傾向が強いけど、余った人間がどの様に振る舞うかというのは非常に大事。

浦和の守備は良くも悪くも個人の責任範囲が広い事があだになっているケースが非常に多い。特にセレッソやヴィッセル、マリノスなどポジショナルなプレーを志向するチーム相手だと顕著。なんでかっていうと、人を基準にプレーする相手は誘導しやすいし、誘導しやすいという事は思った通りの所にスペースが出来るから。

53分の汰木のドリブル突破はひとつの光明。こういう形のハーフスペース侵入が増えてくるとやれる事が増えるように思う。。。が、中央エリアでボールを持てない、持とうとしない以上はどうしても難しい。

荻原投入から左サイドが活性化する。主に荻原のオラオラオーラが為せる業。

興梠を使わざるを得ない状況というのが、少し考えにくいのだけど、杉本に求められる動きを仕込む、という事はしないのだろうか。
彼はスキルとしては出来る事も多いし、非常に器用。
興梠を酷使して結果として過負荷となっていて、かつ武藤と長澤などのシャドーの動きが決まらない問題は、思い切って興梠を休ませる試合を作る事も必要なのでは、という気もしないでもない。
田中アトムが非常に邪魔、中にも入ってくるし。この動き自体はSBとの連動の流れでは非常に自然な形なんだけども。ボランチ脇が空きやすい構造だし。押し込んでいる状況では使いたいよね。

セレッソの2点目、とてもうまいと思うのが、5バックで受ける形の浦和DFラインのピン止めが終了した途端に引いている選手。
背番号が見えないけど、誰だ?
その上でFWがDFラインを引き連れてPA前のスペースを作る。
関根は視野として目の前の選手に引っ張られてしまったが、その前の問題な様な気がする。

5.踏まえて、感想。

雑だ・・・雑だけど。

まず、常々思っているのが、ハーフスペースに起点を置きたいのであれば、その入射角は意識すべきだし、出口の設計も意識すべき。
ここら辺がどうも曖昧な状態が続いているから膠着しているのでは、という。
ここら辺は実際にハーフスペースで受ける人間だけの問題では無くて、中盤の人間とWBのポジションの問題。
武藤と長澤が現在は主な選択肢ではあるのだけど、柏木でもマルティノスでもファブリシオでも杉本でも、それぞれのスキルセットで活かせる高さ、というのはある。
設計で織り込むべきはどの高さで起点を置きたいのか、その後の出口の設計はどうするべきか、という所で周囲の選手の起用法が決まってくるのでは?という所です。
マルティノスやファブリシオであれば出来るだけ前の方で前を向かせたい、であるならば?
柏木ならラストパスや大きい展開のパスを出させたい、であるならば高さと入射角は?
杉本を活かしたいなら試合ごとにタスクを限定して集中できる状況を作ってあげたい、であるならば?
その状況ごとに色々と考えられるものがあるはずなんだよなぁ、、、と少しもどかしい気持ちになっている今日この頃でした。

そして、前線のスキルセット以上に問題になりそうなのが中盤に与えられた裁量の大きさ。
言い換えるとカバーしなきゃいけないスペースの広大さ、ともいえる。
WBが幅を取る以上は3バック2シャドーの陣形の接続部分にもなって、かつ守備の要石となるポジションであるから、なんだけど、そのタスク過多で阿部の退場が引き起こされたのだろう、という思いはある。
エヴェルトンもここら辺のタスク過多で結構勿体ない感じになっている気もするので、もっと整理して欲しい。

(了)

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