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FIFAワールドカップ・欧州予選 グループC 第10節 イタリアvs北アイルランド 感想

サッカーを愛する皆様、こんにちは。
くろだといいます。
ワールドカップ欧州予選アーカイブ計画として、僕は「#W杯欧州予選グループC全部見るマン  」として今回はイタリアvs北アイルランドの試合をお届けします!

※本稿執筆時にはすでに結果は出ていますが、強い気持ちで。

試合前情報

イタリアは、前節スイスと引き分けたことで勝ち点が並びました。これによりスイスがブルガリアに負けることは考えにくい事から今節での勝利がマストの状況。しかもスイスのスコア展開次第では得失点差でも上回られてしまう事から出来る限り得失点差を稼げる形でこの試合での勝利を得たいところ。
北アイルランドはワールドカップへの進出はなりませんでしたが、ブルガリアと3位を争う位置にいる事から出来る限り高い順位でコンペティションを終えるためには緩い試合は出来ません。イタリアとの前回対戦ではホームで0-2と敗戦していることからリベンジの機会ともいえます。

スタメン

試合雑感

試合開始序盤のイタリアは5-3-2のブロックをミドルゾーンで展開する北アイルランドに対して、ビルドアップ時にはディ・ロレンツォが高い位置を取り、3-4-3然とした配置から北アイルランドの前線の3-2ゾーンを攻略しつつ両ウィングバックとセンターバックのチェーンを切るようなパスを狙っていきます。

早い時間帯で先制して立て続けにゴールを攻め立てたいイタリアは前に人数をかけますが、前半8分には押し込んだところからのカウンター対応でトナーリ(6)がイエローカードを貰います。
前節のスイス戦でも起きた事象だったかと思いますが、カウンターに対しての予防的ポジショニングを取らずに前へのベクトルが強くなりすぎるのは今のイタリア代表の悪癖ともいえる部分かもしれません。
とはいえ、今節はとにかく勝利を(しかもそれなりに得点を取って)というミッションがあることからリスクはある程度受け入れつつ攻め筋に乗せていかねばならないので致し方ない部分はあると思います。

序盤のイタリアからはいくつかの攻略フェーズを見据えている感じはしましたが、大きく分けて2つあったのかな、と。
基本的指針として北アイルランドのウィングバックの裏を攻略することがありましたが、左サイドのキエーザと右サイドのディ・ロレンツォがボールの高さに応じてどのタイミングで幅を取るか、という部分でミドルサードでの振る舞いとファイナルサードでの振る舞いが変わっていたように思います。
右サイドはディ・ロレンツォが幅を取る事でベラルディとインシーニェがインサイドで仕事を出来るおぜん立てをしたい意向があり、左サイドのキエーザは裏へのランを基本としてボールポジションに応じてインシーニェとバレッラとの関係性を作って攻略していきたいのだろうという振る舞いが見て取れました。
序盤は北アイルランドの撤退の強度からキエーザのサイドからの攻略はカウンターを招いた局面などもありあいあまり上手くはいかなかったのかな、という印象です。

試合展開が落ち着いてきた15分過ぎからは北アイルランドのブロックを
じっくりと攻略しようと北アイルランドの前線の3-2の外側にあるスペースを使いながら徐々に押し込みつつ時には裏に走るキエーザへの配球などを交えながらゲームを支配していきます。
この時間帯においてはイタリアの予防的ポジショニングの配置に枚数が揃っていることから北アイルランドのカウンターに対しても対応できており、イタリアとしては攻略の糸口を探しつつ、隙あらばミドルシュートを狙うなど果敢に攻め立てます。

前半31分のキエーザのシュートシーンなんかは良いシーンだったと思いますが、北アイルランドの3-2ブロックを前後左右に動かしながらボヌッチがバイタルエリアへ配球することに成功したのちにフリーでキエーザへ展開てきたシーンなんかはイタリアとして狙っていきたいシーンのひとつだったと思います。
前半はそのままボールを動かしながら最終ラインを攻略したいイタリア、ウィングバック裏への配球もセンターバックのカバーでしのぎつつワンチャンスを狙う北アイルランドという構図のまま終了します。

後半からはトナーリに代えてクリスタンテを投入。ポジション自体は大きな変更を加えませんでしたが、トナーリと比較してよりダイナミックなプレーエリアを意識することによって各局面で+1としての役割を果たそうという意図だったのかと思われます。
しかし、これによって前線でインシーニェがフリーマンとして振舞えるようになった一方、後半早々にはクリスタンテが北アイルランドのビルドアップに対してボールサイドでの封殺を狙ったのかポジションを大きく動いたことによってあわやの場面を作られてしまいます。
これはドンナルンマの好セーブによって失点には繋がりませんでしたが、点を取りにいくために流動性を高めたイタリアのチャレンジがリスクを取りにいく方向へ天秤が傾いていることを示していたように思えます。

64分にはバレッラに代えてベラルディを投入。インサイドで裏への抜け出しやインサイドでのピン止め役など主役ではないものの一定の仕事を果たしましたがより前線での圧力を高めたい采配かと思います。徐々に直接的な交代策を取り始めるマンチーニ監督ですが、68分にはジョルジーニョに代えてロカテッリ、インシーニェに代えてベルナルデスキを投入します。
この交代のタイミングからすると、スイスの得点の状況(この時点で2-0)を把握していた可能性もありますが、ここまで得点を取ることが出来ていない状況に非常に焦りが見えてきていたのかな、とも。
この時点では1点差でも処理を収めればワールドカップへのストレートインが見えていた状況でしたので、とにかくパワーでも何でも点さえ取れれば、という事だったのかもしれません。

そして、イタリアは80分にエメルソンに代えてスカマッカを投入し、最後の勝負に出ますが、北アイルランドの壁を崩すことは出来ませんでした。結果として0-0のドローでゲームセットの笛を聞くことになり、スイスが勝利を収めたことでイタリアがワールドカップストレートインを逃す結果となりました。

まとめ

試合の内容だけ見れば、多少の危なっかしさはあったものの終始イタリアのペースで、ボールを握って動かしながら相手の守備陣形をも動かして侵入していこうという意識自体は貫徹していたと思います。
ただし、それでも5バックを崩すには相手の重心をもっと動かす必要があったのかもしれませんし、もっと理不尽な流れを作るためによりアンバランスな状況下で綱渡りをするような状況を渡り歩く必要があったのかもしれません。
結果としてスイスが4-0で勝利を収めたことでイタリアが生半可な得点差で勝利したところでワールドカップへのストレートインは叶わなかったと言えますが、それでも後ろに人数をかけてくる相手に対してどのように得点を奪っていくか、という部分で枠内シュートこそ打っていましたが決定的な場面を作り切れなかったという課題をどのように解決していくのかは避けては通れないところなのかな、と思います。

くしくも、バロテッリがイタリア代表に復帰するという報道が出たのが1月。短期合宿の内容次第では本格復帰もありうる、という事で、この試合で見せる事の出来なかった前線の迫力であったり、理不尽力に期待したいという気持ちが出てくるのは致し方のないところなのかな、と。

何はともあれ、プレーオフに回ることが決定したイタリア代表がまずは北マケドニア相手に、そして勝利することが出来た場合におそらく対戦するであろうポルトガル相手にどのような試合を見せることが出来るのか、今から予習していってみたいと思います。

なにはともあれ、過ぎてしまったことは仕方のない事として強い気持ちで。

注目選手

ピーコック・ファレル
今節は北アイルランドからピーコック・ファレルを注目選手に選出です。

今節、起死回生のビッグセーブと呼べるものはなかったものの、安定感のあるプレーぶりで北アイルランドのゴールを守り続けました。
調べてみたら、リーズでビエルサ監督から見限られバーンリーに移籍もそこからローンでシェフィールド・ウェンズデー(not ユナイテッド)で出場経験を積んでいる、という状況みたいですね。
今節のようなビッグマッチを経験したファレルがどれほどの成長を見せてくれるのか、期待したいと思います。
もしかしたら、欧州産ゴールキーパーとしてJリーグに降り立つ未来も・・・あるかも?

試合結果

2021.11.15
カタールW杯欧州予選 第10節
北アイルランド 0-0 イタリア
ウィンザー・パーク
【得点者】
なし

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