FIFAワールドカップ・欧州予選 グループC 第5節 ブルガリアvsリトアニア感想
サッカーを愛する皆様、こんにちは。
くろだといいます。
ワールドカップ欧州予選アーカイブ計画として、僕は「#W杯欧州予選グループC全部見るマン 」として今回はブルガリアvsリトアニアを取り上げてみたいと思います。
スタメン
ブルガリアは前節から中盤の構成と右サイドバックを変えて臨む一戦。
前節ではインサイドハーフの位置にいたコスタディノフがスタートポジションを若干低めになっていますが、対イタリアと違って最終ラインと中盤の関係性が変わる事になりそうで注目したいと思います。
リトアニアは前節から初期フォーメーションは同様ですが、バラヴィカスが左サイドに移り、右サイドにラシクカス、ボランチにスリヴカを起用します。そして、ウトクスの背番号が8に変わっているのですが、前節では20だったのに、何があったんでしょうか・・・前節の背番号8はトゥティシュキナスという選手だったはずですが、怪我でしょうか・・・
試合雑感
ブルガリアは前節と同じくボール保持に重心を置きボールを動かしながら相手陣地に侵入していく動きを志向する相手との対戦となりましたが、リトアニアとの力関係からどの様な試合展開を見せるのか注目、という所となります。
そんなわけで、まずはブルガリアの振る舞いというよりは対戦相手がイタリアとどう違うか、という部分から見ていきたいと思いますが、リトアニアのビルドアップは両センターバックとボランチ2枚が主となり、ボールポジションに応じて周囲の選手がスペースに顔を出したりサポートの動きを見せてボールを動かしていきます。
これは4:43~のシーンの一連ですが、ブルガリアのスローインからボール奪取し、攻め上がるもののサイドに展開した段階からのやりなおしの場面です。
ボールを動かしながら、相手を食い付かせつつサポートポジションを取りながらボールを上手く逃がす事に成功していました。この場面の先は残念ながらサイドへの配球のタイミングが合わずにアウトしてしまいましたが、前節の北アイルランド戦でも見せたボール保持の質を序盤から見せていきます。
リトアニアの守備は前からプレスをかけずにミドルブロックからの守備を中心にブルガリアの攻撃を受けて立ちます。陣形は大きく崩さずに両翼を少し絞った形の4-2-3-1を維持し、ディフェンスラインとボランチで中央を閉めつつ前線の4枚でスライドしながらサイドのケアを行います。
それに対してブルガリアはボールを左右に振りながらスライドの隙を伺いつつサイドアタックを狙いながら時には中央への配球も見せますが、リトアニアの整った陣形の前になかなか効率的に前進を行う事が出来ないシーンが続いていました。
それを裏付けるように、飲水タイム時のボールポゼッションはリトアニアが60%、ブルガリアが40%と分かりやすく「ボールを握るリトアニアvs素早く攻め上がるブルガリア」という構図が出来上がっていましたが、その構図も少しずつ変化を見せるようになっていきます。
ブルガリアのプレスがリトアニアのディフェンスラインよりもその先の列落ちで顔を出す選手(おもにドゥビカスやチェルニク)に対してのケアを明確にし、リトアニアのビルドアップの出口を塞ぐことでリトアニアのビルドアップに強いストレスがかかるようになったことでリトアニアの攻撃の循環が滞っていきます。
ブルガリアのビルドアップにおいても、30:18~のシーンのように、ディフェンスラインがボールを持ちあがる事で惜しいシュートシーンまで繋がった場面が見られるようになるなど、リトアニアの振る舞いに対して一定の解決策を見出すようになっていきます。
試合を眺めていると、局地戦や機動力、強度の維持の部分で難を抱えていそうなリトアニアですが、ペースを握られ始めてからは防戦の色が強くなります。ビルドアップ時も片側サイドにはマンマーク気味に付かれるようになり、押し込まれてからのポジティブトランジションではボールキープをしながら時間を作る事は出来ないので蹴っ飛ばすシーンも見られるように。
ビルドアップや前進の仕組み自体は整備された非常に良いチームなだけに勿体無いな、という思いが出てきます。
この試合を一言で言うとこのツイートの通りなんですが、後半に入ってもブルガリアのペースは変わらず。クオリティ面でどうしてもスペースが狭くなる前線でチャンスを作ることが出来ず、トランジション勝負をかけようにも強調すべき強みを押し出せずにブルガリアの圧力に耐え続ける場面が続きます。
ボールを握る事を志向するチームあるあるかと思いますが、自軍のビルドアップに対してマンマーク気味に人数を合わせられ始めると人数を追加して出口を用意しようとしますが、それによって重心が下がって前線への配球がかえって難しくなる問題がリトアニアにも見られていた様に思います。
試合はその後、ボール保持がままならなくなってきたリトアニアのヤンカウスカス(7)のミスから自身のミスの責任を取る形で与えたフリーキックからチョチェフ(18)がヘディングでゴールを揺らし、これが決勝点に。
試合を終えてみるとボール支配率はブルガリアが64%、リトアニアが36%と逆転されてしまった事からも分かる通り、ブルガリアがリトアニアに対して対策を打った結果としてリトアニアがチームの基盤となるボール保持を満足に行えなかった結果として順当とも言えます。とはいえ、リトアニアは55:49~や66:33~のシーンのように、サイドの密集でのボール奪取から素早く逆サイドへ展開したような場面であったり、深く攻めた後のトランジションでカウンタープレスによる奪取からチャンスを作ることが出来た場面が見られたように、あとほんの少しだけでも状況が噛み合えばゴールに繋がっただろう、という状況を作ることが出来ていた事を考えると、出来る限りのことをやった、とも言えるのかもしれません。
まとめ
リトアニアは前節と同じく、ボール保持を基盤としてとても理性的な試合運びを見せていましたが、ミドルサード以降のクオリティ問題によりボール保持からのチャンスメイクというものが難しい試合を過ごす事になりました。
結果として生まれたチャンスはトランジションからのものでしたし、先のツイートの通り配置的なプレーと機能的なプレーの間にそびえる壁に阻まれた形になったのかな、と思います。
対してブルガリアは序盤こそリトアニアのボール保持にてこずりましたが、徐々に相手の配置に対しての制限を整理し始めると主導権を握り返す事に成功。チャンスの数を考えると、後半早々に試合が決まってしまってもおかしくない程のプレーを見せていました。相手のやり口に対してどう対応するのか、という部分は前節のイタリア戦でも見せたように効果的なものだったと思いますし、グループ内の勝敗次第では2位に絡める可能性もあるのかな、と思わせる試合だったと思います。
注目選手
ゲオルギ・ヨモフ
前節でも気になる名前だな、と思っていましたが今節もスタメンに名を連ねた事で気になるメーターがグイグイ上昇し注目選手に上げようと決めました。wikiを見たら24歳!注目するのはオジサンだけじゃないという事を示すことが出来た気がしてそれだけで満足してしまいそうです。
チームでは右ウイングを主戦場に、インサイドに入っても一定の仕事をするのかな、という趣きのプレーを見せています。
現在はCSKAソフィアに所属との事ですが、まだまだ若いので数年後に違う国で見ることが出来たら面白いな、と思います。
ニコライ・ミハイロフ
ベンチから今節を見届けていた控えキーパーですが、何故か先制点を入れた後に退席処分を受けていて「・・・・!!!?」となったため選出。
見返してみると、フリーキック前にも第4審判に注意されている様子が映し出されていましたが、どうしたんでしょうか。主審の腹回りについて何か暴言でも放ったんでしょうか。ダメですよ、人の外見を貶すのは。
wikiを見てみると、親父さんはキャップ数100を越える素晴らしいプレイヤーだったようで、今はブルガリアサッカー連合の会長をされていたそうですが・・・偉大な父親を持つって、大変なんでしょうねぇ・・・(;´Д`)
ちなみに、親父さんはEURO予選でのサポーターの人種差別発言の責任を取って辞任したそうですが・・・なんか可哀想・・・そして親近感・・・強い気持ちで活きて欲しいな、と思います。
試合結果
2021.9.6
カタールW杯欧州予選 第5節
ブルガリア 1-0 リトアニア
ヴァシル・レフスキ
【得点者】
BUL:82' チョチェフ
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