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【浦和vs柏】在るべき所に在る事【ルヴァンカップ GS2節 感想】

サッカーと赤菱を愛する皆様、こんにちは。
代表ウィーク、ルヴァンカップがあった事をすっかり忘れていたくろだです。

ルヴァンカップのグループリーグ第2節、柏戦が先日行われましたが、復帰が待ち望まれていた興梠・西の両選手がスタメンに名を連ねる事になり非常に楽しみな気持ちがグッと高まった人も少なくなかったのではないでしょうか。

結果は0-1での敗戦でしたが、今シーズンのこれまでで語られる事の多かった前線へ人数をかけることが出来ない問題についての回答をどうにか探し出さなければという模索も見て取れた試合でもありました。
今回の感想は、その模索の推測と西が見せてくれた田中(達)の課題に触れてみようと思います。

頑張って欲しいのよ、田中(達)には。

スタメン

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【浦和】
後半0分  田中(達)⇆小泉 伊藤(涼)⇆汰木
後半24分 興梠⇆武藤
後半35分 伊藤(敦)⇆阿部
後半39分 西⇆関根

【柏】
後半12分 呉屋⇆クリスティアーノ
後半22分 M.サヴィオ⇆イッペイ シノヅカ
後半39分 椎橋⇆三原

前線に人数をかけられない問題に対する模索

まず、今節の浦和のビルドアップについて触れておこうと思います。

ビルドアップの基本線は、これまでと同じくCB2枚とCH2枚の2-2を基本として逃げ道をどこに設定するのか、という所から始まります。
これまでは2-2に加えて両利きでありボールを持った時に半径の小さいターンや付近の相手選手のカットを避けることが出来る小泉が参加する事によって逃げ道を前後左右に求める事でビルドアップ時の前進を行ってきました。

この仕組み自体は中盤で時間を作ることが出来る、展開されるサイドが限定的にならずに幅広くピッチを使うことが出来るというメリットがある反面、小泉が下がる事によってオフェンシブサードにボールポジションが動いた時点で人数がいない、または人数をかけることが出来たとしても相手も人数が揃っている状態となりフィニッシュに対する抵抗が高い状態が多くみられるという課題がありました。

小泉をCHで使ってみたり、逆サイドのSHが杉本が空けたスペースへ侵入する動きを取ってみたり、杉本の相方に明本を起用して前線での強度を高めようとしてみたりと色々と模索している様子がこれまで見られましたが、2トップに興梠+杉本、ビルドアップの出口として西を据える事によりこれらの問題を一気に解決できるのではないか、という予感がします。

というのも、今節の西が見せてくれたプレーからビルドアップの出口となると同時にパスルートの選定、展開までを一手に請け負う事で小泉が下がる必要が無くなってくるという事でもありますし、前線へボールを配球するために杉本がポジションを取っても最前線に興梠が残る事によって前線でフィニッシュに絡む事が出来る最低限の人数と質を担保する事が出来ます。
もちろん、小泉がトップ下として起用されればビルドアップ経路のフィニッシュ前に小泉を置く事が出来ますし、それによって最前線の人選に幅が出る事にもなります。

今節では、西は柏の前線からのプレスが緩かった事もあり柏の2トップ脇にポジションを取りながら大きなスペースを取れる状態でビルドアップの出口としての機能を果たしていました。ボールポジションが前に行くにつれてハーフスペースを基本的な立ち位置として上下動し、ミドルサードより前に進んだ時は後ろを伊藤(敦)や柴戸がカバーする事で局面の密度を高める事になります。

西の起用はバックラインと中盤のバランス問題に一定の解を見出すことが出来た一方、今節では西と右サイドでコンビを組む事になった田中(達)の振る舞いが非常に勿体無いものであった事が西が右SBに配置された事のメリットが十全に発揮されない事にもなります。
次の項では田中(達)の振る舞いがなぜ勿体ないと感じたのか、そして今後どの様にして改善を図ったら良いのか、僕が見たい田中(達)像を書いていこうと思います。

田中(達)と西(と杉本)の関係性

この試合の序盤では田中(達)はこれまでの試合と同じくサイドライン際を定位置として縦への侵入を狙う動きを見せていました。
しかし、柏のサイドバック裏のスペースは杉本も狙う動きをしていた事から徐々に田中(達)の動きが限定的に。ビルドアップの出口として機能している西の目の前にあるスペースを潰しながら下がって西の動きを助けようとします。

田中(達)が下がる事によって柏のサイドバックやサイドハーフを釣りだして裏のスペースをより大きくするという狙いがあったのかもしれませんが、レイオフを受けた西がそのスペースを選択する事はありませんでした。
どちらかというと逆サイド深くの方のスペースを意識していた様にも思えましたが、西はどちらのサイドを狙うにせよそのスペースを突くための工程が増える事をあまり良しとしないタイプのプレイヤーなのかもしれません。

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田中(達)のサイドでの振る舞いはサイドバック裏のスペース攻略にかける工程が増える(≒コストがかかる)事によって最前線にしわ寄せがいく形になるのですが、裏のスペース攻略を杉本に任せる一方で右サイドでの攻略ステップが滞った時に興梠が新たなボールの受けどころとして移動してくることになりました。
これでは本末転倒で、最前線での強度を確保しようとした時に明本はゴールから離れたサイド、伊藤(涼)は最前線で強度を発揮するタイプではない、ボランチや山中が攻め上がるには時間が足りない(距離が離れている)という問題の解決になりません。
右サイドでの攻略を効果的に行うには田中(達)が果たしている仕事が少なすぎるし、杉本も田中(達)のインサイドへの侵入を促していたのかもしれませんがもっと田中(達)に任せるポジショニングを行えると良かったのかもしれません。

守備面でも杉本がステイするように指示を行っている(ように見えた)場面で積極的にプレスに行くシーンがありましたが、プレスに行くタイミングを周りの状況と合わせて判断するという部分でまだ足りないのか、コミュニケーションが足りないのかもしれません。

攻撃時には縦へのベクトルが足りない一方、守備時では縦へのベクトルが強く見える傾向がありましたが、攻撃時のベクトルの足りなさは槙野からのロングフィードを受けることが出来なかった場面にも見られました。
ボールがアウトになった後に「達也!」と槙野から声を出されていましたが、より縦へのベクトルというよりはプレーごとの目的地や強度においてもう少し奥へと狙う意識が欲しいな、という所でしょうか。

まとめ

この試合の後のエリートリーグでは縦への突破力などを見せたという記事を見た田中(達)ですが、スペースの攻略やトータルとしてのコスト感覚のすり合わせがもっと出来れば輝けるプレイヤーであることは間違いないので頑張って欲しいな、と思っています。
現時点では幅取り要員としての仕事しか出来ていないようにピッチの上からは感じてしまいますが、より深くに突き抜けることが出来ればブレイクする可能性も秘めていると思うだけに、ターンオーバーで機会を得る事があった時にはより積極的なプレーを見せて欲しいな、と。

今現在、清水戦が終わった後に書いていますがもしかすると武田(英)が立っているポジションで輝く可能性もあるなぁ、と思う一方インサイドでの振る舞いを見ることが出来ていないので未知数なところは少しドキドキします。

かつて浦和で輝きを放った元祖・田中(達)のように、積極的なプレーを、熱いプレーを見られる日を願って。

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