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運動は60代のうちにしっかりとやっておこう

「高齢になってくると若い頃のように自由に体が動かなくなってくる」

これは、若い頃にスポーツ等で活発に体を動かしていた人が、歳をとって運動をしなくなると、特にそう感じるのではないだろうか。そのように感じる時期や度合いには個人差があるように思う。

自分は運動が苦手なため、若い頃はほとんど体を動かしていなかった。歳を取ってから運動をするようになったので、若い頃より現在の方が体は自由に動いている感じがするからだ。

「運動能力は年齢とともに低下していく」

現在66歳。あと10年も経てば後期高齢者である。今は体の調子が良くても、その時期になれば自由に体が動かなくなってくるのだろうか。

運動能力の年齢による変化を、フルマラソンの完走者数と完走タイムの年齢別データから考察してみた。

なお、フルマラソンのデータを用いたが、自分は10kmマラソンは走るがフルマラソンの経験はない。現時点ではフルマラソンには魅力を感じないので走ろうとは思わない。

使用したデータ

全日本マラソンランキング(2018年4月〜 2019年3月)

全日本マラソンランキングとは 大会別、都道府県別等でシーズン毎の国内フルマラソン完走者の動向をデー タベース化する企画。コンテンツのひとつである「フルマラソン1歳刻みランキング」は2018年4月~ 2019年 3月に開催された日本陸連公認コースを使用する対象大会の完走記録データを集計し、男女別1歳刻みでランキングをしています。

RUNNET 全日本マラソンランキング(2018年4月〜 2019年3月)より

データ整理

上記資料のタイム別順位早見表から、年齢別の完走者数とタイム中央値を抽出した。

完走者数はタイム別順位早見表に記載の値をそのまま用いた。
完走タイムはタイム中央値として処理した。タイム中央値とは、年齢別に真ん中の順位の人のタイムである。例えば、下表で男性20歳の完走者数は2215人なので真ん中の順位は1108位。完走タイムは2時間30分から7時間0分まで15分刻みで記載されており、1108位の人のタイムは4時間30分〜4時間44分の範囲にある。この場合のタイム中央値を4時間30分とした。

タイム別順位早見表の一部

整理結果と考察

年齢別の完走者数とタイム中央値を男性・女性別にグラフに整理した。
横軸に年齢、縦軸の左側目盛に完走者数、右側目盛にタイム中央値。青色の縦棒が完走者数、橙色の折れ線がタイム中央値を示す。

年齢別フルマラソンの完走者数とタイム中央値
  • 完走者数は、男性・女性とも46歳がピーク。それ以降は年齢とともに減少している。男性では46歳ピーク値に対して60歳で36%、70歳で10%まで減少している。女性は男性より減り方が大きく、60歳で28%、70歳で6%まで減少している。さらに男性・女性とも72歳で顕著な減少が見られる。男性は72歳で4%、女性は2%。72歳以降は完走者はほとんどいなくなる。

  • 完走者数は、男性・女性とも53歳〜61歳の減り方が激しい。これは多くの人がマラソン人生で最も最速のベストタイム期間(2つ下の箇条を参照)が終わりタイムが落ちていく時期に入ったため、フルマラソンを引退する人が増えていると考えられる。

  • 完走者数は、男性・女性とも62歳以降の減り方は緩やか。年齢とともにタイムは落ちていくがマラソンを引退せずに続けている人は、タイムよりも健康目的のランナーだろう。60代以降に健康目的でマラソンを始める人もいるだろう。その人達は人生最後まで走ることができるだろう。例えば、20代〜40代の30年間で競技マラソンを楽しむか、60代〜80代の30年間で健康マラソンを楽しむかという2択なら自分は後者しか選べない(笑)。

  • 完走者数の最高齢は、男性が93歳、女性が87歳。男性の方が女性より6歳高齢であるが、これには理由があると考える。女性の最高齢87歳を超える男性はたったの3名である。完走者の総数が男性は女性の3〜4倍であることから88歳以上が男性3名だけになったのは確率的に整合している。なお、この3名のタイムは6時間30分が1名と7時間が2名。制限時間が6時間30分を超える大会は少ない。ほぼ歩いても完走できる大会だ。

  • ベストタイムの期間は、男性が41歳~54歳、女性が42歳〜57歳。それ以降は年齢とともにタイムは落ちていく。男性と女性は体力的な差があるので全般的なタイムには差があるが、女性は男性よりベストタイムの期間がやや長い。

  • 60代のタイムは、男性・女性とも20代とほぼ同じ。これは年齢ではなく練習量の違いから、こういう結果になるのだろう。高齢者は練習熱心。
    60代でも自分の20代の頃のタイムを超えられる可能性を感じる。

気付き

走ることなど体を動かすことを60代のうちにしっかりとやっておこう。
60代でやっておけば、70代になっても元気でいられるだろう。
そして、80代は歩ける足を維持し、90代で神戸マラソンを歩いて完走して最高齢記録を更新するのも面白いかもしれない。

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