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歳を重ねたはなし

先日誕生日を迎えた。
誕生日を迎えると12月の忙しさがやってきて世間にも「師走感」が出てくる。
もうそろそろ年末だなぁと考えさせられる。

年始には毎年、本をどれくらい読むだとか、映画を何本観るだとか、健康面の目標だとか、金銭面の目標を立てるのだが、達成できないから努力目標になっており今年は具体的な数字は書かなかった。
来年は少し具体的な目標に戻し、達成も出来るように見直していこうと思う。

先日、電子書籍のセールもあり、アウトプットをしようというはなしでも紹介した齋藤孝さんの著書を買い漁った。
その中で先週読んだ「35歳のチェックリスト」という本を基に、本の中で何度も言われていた心の棚卸しをしていこうと思う。

35歳まで猶予期間は2年程あるが、そんなモラトリアムはあっという間に無くなるので早いに越したことはないかなと思う。

元々自分も35歳はひとつの区切りと言う気持ちが何故かあったので考えやすい。今回はゆるやかに自分を見直す回にする。

心の棚卸しをする

「心の棚卸し」という言葉は、福澤諭吉の「学問のすゝめ」の中に出てくる表現である。(書籍に合わせて「福澤」表記で統一する)

学問のすゝめの内容は全編的にとても真っ当なことが永遠と書かれているためとても耳が痛い。心も痛い。
個人的には毎ページ毎ページ正論を150kmのピッチングマシンで投げてくるイメージの本である。
心の弱い人は読まない方がいいかもしれない。

多くの人は、物事の計画を立てるときに難易度と時間のかかり方を比較できていない。時間の計算は甘すぎるし、難易度設定は甘すぎると言われている。その部分の引用が以下。

「世間で事を企てている人の言葉を聞くに、「一生のうちに」だとか「十年以内にはこれを成す」という者は最も多い。
「三年のうちに」「一年のうちに」というものはやや少なくなり、「一か月のうちに」「今日計画して、いままさにやる」という者は、ほとんどいない。
「十年前に計画していたことは、もうすでにやり終わったよ」というような者に至っては、いまだにお目にかかったことがない。
 このように、将来に長い期限をとって言うときには、たいそうな事を計画しているようだけれども、期限がだんだん近くなって、今日明日とせまってくるにしたがって、その計画の経過をはっきりと言えないということは、結局、事を企てるに当たって、時間のかかり方を計算に入れていないことから生じているのである。
「現代語訳 学問のすすめ」福澤諭吉 訳=齋藤孝

心当たりしかない。心に当たりすぎて心が痛い。

人生というものは、思いのほかに悪事をなし、思いのほかに愚かなことをやり、思いのほかに事をなさないものなのである。
「現代語訳 学問のすすめ」福澤諭吉 訳=齋藤孝

ぐうの音もでない。

ということで、心を痛めながら福澤諭吉先生がこの項の中で言っている「自分の点検」をしていこうと思う。

35歳のチェックリスト

結構な数あるので抜粋しつつ簡単な説明と、一言何か書いていく。

○誰と過ごしているのが一番楽しい時間か

この問いに「昔からの友人」と答えてしまった人はちょっとまずいと警笛を鳴らしている。「モラトリアム継続中」の人の典型と書かれている。

しかし、日常的にはネットの仲間とわいわいやったり、たまに旧友とご飯食べに行ったりするのは楽しすぎるので仕方無いと思う。
ここで言われているのは、自分の生活において大事な存在との関係を新しく築いていくことの重要性である。
親友と過ごす時間も良いけど、傷の舐めあいとかにならず危機感を持っていく年頃だよねってこと。その通りである。

○今、いちばん信頼している人は誰か

ここで言われているのも「友達」や「親」とあげることに警笛を鳴らしている。成人してからも親に依存しすぎていないかといった点である。
30代としては自分を庇護してくれる人でなく、お互いに信頼できる「パートナー」や「上司」「ビジネスパートナー」等と答えられるようになりましょうといったこと。

私は一番と言われると現状決めきれなかった。

○自分の出身大学を話題にすることはあるか

棚卸しておかなくてはいけないものの中に「学歴」に対するプライドやコンプレックスがあると書かれている。
自分の価値を学歴に置いたり、逆にいつまでも低学歴をコンプレックスに感じて卑屈になるのもばかばかしい年齢なので価値観の棚卸しとのことである。

自分は専門卒だがこの辺は特に気にしていない。今になって大学で学びたい分野や学問はいっぱいあるが…。

○心の傷、昔の失敗を今も引きずっていないか。

ここも学歴コンプと同じようなことを言っている。
就職の失敗や失恋や生まれや育ちの環境等のコンプレックスをいつまでも持ってないで清算しようということ。
自分から話のネタにして笑い飛ばせるくらいになろうと言われている。

これに関しては特に思い浮かぶものはなかった。

○SNSを頻繁にチェックしているか

依存して必要以上に優先度を上げないように気を付けましょうということ。
ビジネスツールや情報収集ツールとして上手に使いこなそうということ。
前回書いた「嘘つきとパーソナリティ障害のはなし」に出てくるような人たちに振り回されないようにしようということ。

最近はディスコードを多めにつかっているが、過去のTwitter依存状態に比べたら比較的落ち着いてきたとは思う。上手に使いこなしていきたいものだ…。

○自分はまだ若いと思っているか

年相応の落ち着きや、貫禄、成熟ということを意識して年を重ねなさいということ。

未熟な部分は多いという自負はあるが、仕事でアンガーマネジメントが全くできていないで怒り散らかしているおじさんおばさんを見ると悲しい気持ちになるね。

○最近何かをあきらめたか

「あきらめる」にはギブアップ、断念の意味の「諦める」もあるが、
仏教用語からくる「明らめる」の意味もある。
「明らかに見きわめる」ということ。
思い通りにならないことや、意に沿わないことをしっかりと明らかにしてみきわめて受け入れること。自然なことの流れに逆らわずに無理せず、迷わず楽に生きようということ。

確かに仏教的な考え方だと思った。分別をつけて楽に生きよう。

○20年後の自分の働く姿をイメージできるか

社会状況も雇用形態も年々変わりゆく中で対応できているか。
今の会社でいいのか、転職した方がいいのか。
今の業界でいいのか、新しいことにチャレンジしたほうがいいのか。

IT業界から辞めるかどうかは別として、今よりも、もう少し緩く働きたいなとは常々思っている。

○今、転職をかんがえているか

35歳~40歳は転職のリミットに近いという声も多い。
感情に流されたりせずに冷静に考えて決めること。
「転職しないという決断は、転職するのと同じくらいの覚悟を持って下した」と言えるくらいの気持ちをもって考える。

退職金のことを考えて60で辞めるなら20年は勤続した方がいいのでやはりリミットは40歳と考えている。
メインの職業もだが、副業としての支えを何かしら持っていたいなとも考えている。
起業や独立をするにしても40歳前後がリミットかと個人的には思っている。

○システム思考ができているか

システム思考とは、

物事は原因と結果、因果関係の連なりで成り立っている。
そのひとつひとつの要素を見ながら、連関性のなかでどういう位置づけかということを見ていく。

つまりは、細部も全体も見る視点をもてよということ。
周りを見たり多角的にとらえられるようになろうということ。

これはIT知識がある程度あるおかげか、何事においてもシステム思考で見ている部分はあると思う。俯瞰的にみるよう心掛けている。

○プロジェクトに呼ばれているか
○プロジェクトリーダーを任されているか

年齢的に会社で働いている人の場合、プロジェクトチームであったらリーダー的役割を任されているか、上記のシステム思考をできたうえでマネジメントができているかということが問われている。
支店長とかでもそうだが、人を束ねる能力があるかどうかということ。

規模は大きくないが不本意にもリーダーをやっている。規模の割に要求されていることが大きすぎて割に合っていない。しんどい。

○自分の得意分野の仕事を引き受けているか

ストレスマネジメントができているかということに通じる。
苦手なことは得意な人に振れるようにとか、ちゃんとコントロールして仕事できるようにしようということ。

これはめちゃくちゃ実施している。自分のストレスにならないことが一番重要である。

○いつも機嫌よく人と接しているか

アンガーマネジメントができているかどうか。
大人な対応ができているか。
機嫌の振れ幅が大きく、機嫌をうかがわないといけない人は周りに気を遣わせて疲弊させ、周囲に迷惑とストレスをかける。

自分自身は、基本的には仕事はもちろん、日常的にも怒ることはほぼ無い。
しかし、仕事相手にアンガーマネジメントが全くできていない人が多く、まさに機嫌をうかがったり、タイミングを見計らって話しかけないと論点以外のことまでついでに怒られたり八つ当たりされたりする。ひどい話だ。

○「これで攻める」という自分のスタイルをもっているか

年齢的に自分を確立してきたスタイルがあるはずであり、それを自分で理解し、新しい仕事や環境等で活かせているか。

これは、コミュニケーション能力だけでやってきたようなものなので今後もおそらくそうする。技術力などほぼ無い。

○最近、人をほめたか

対人関係を円滑におこなえているか。人をちゃんと評価しているか。
それをしっかり伝えているか。

めちゃくちゃほめてる。得意。
これを読んでるあなたはとても偉い。すごく偉い。好きです。

○他部署の上役と雑談できるか

これも対人関係、人間関係を円滑にしているか、中間層としての人間関係の橋渡しができるか。

これも得意分野のようなものなので問題ない。

○突然の異動や転勤を、前向きに受け止めているか

与えられた環境をポジティブにとらえて、強みを活かせる行動ができるかということ。

IT業界にいるのでプロジェクト次第では異動もまぁまぁあるが無駄に期待されてしまうことが多い。基本前向きにとらえられるようにはしている。
むしろ今の環境から早く変えてほしい。今のところからならどこでも前向きに取り組める自信がある。

○自分は何ができるか

自分の強み弱み、スキル等をちゃんと把握しておこうということ。
これも自分の点検と棚卸しである。

これを機にちゃんと考えていけたらいいなと思う。

○余計な仕事だと思っていることがあるか

専門外のことや面白くない仕事でも引き受けて組織のために貢献しているか。
リーダー格になるとマネジメントや予算管理等の業務もでてくる。
そういった業務を現場に即して調整し全体に貢献できているか。

こういった業務なら喜んでやる。
しかし、理不尽な顧客からのメールを機嫌をうかがいつつ表面上だけ謝る長文を書くことは完全に余計な仕事だと言える。

○未来の大きなストレスを見極めているか

今、自分が悩んでいることが5年後、10年後、20年後にどうなるかを見極めているか。それに対する対処を考えて実施できているか。

金銭的な面でしか考えられていない。今後考えていかないと…。

○「今これがあると幸せだ」と思える瞬間はいつか

人、もの、時間 を軸に考えて何が幸せを形成しているか。

ゆっくり本を読む時間が最近は楽しい。
話してて楽しい人はいっぱいいるのでとても恵まれている。
些細なことに幸せを感じれるのは良いことだとよく言うがまさにその通りだと最近実感する。

○最近歳を感じてドキリとしたことがあるか

35歳という年齢は、自身の経年変化に意識が向く時期である。
体力的な転換期であり、スタミナの使い方を考える時期でもある。
徹夜ができなくなってきたりと体力の衰えを痛感するころである。
適応力や習慣化をさせていき、仕事や日常生活に少ないエネルギーで無駄なくこなすことを覚えコスパよく生きることが大事である。
自分の特性を把握し、経験と知恵を活かして力を出せるようにする。

夜型ではあるが、基本的に体力はない自負はあるので、体力の配分をしっかりしないといけないなと思う。最近金曜日の夕方には完全にスタミナ切れを起こしている…。

○スケジュールの脳内シミュレーションができているか
○プライベートな予定をきちんと算段しているか

上述のとおり体力の衰えを感じる時期でもあるので、ペース配分を考えた上でスケジュールの調整ができているか。

・会議や誰かと会う予定など日時が確定しているもの
・仕事や大事な要件
・完全にプライベートな予定

と色分けして分けて考えると良いと書かれている。
プライベートの時間が少ない週だなと思ったら意識的に次週にプライベートな予定を組み込んでリラックスタイムを持つとか、自分のスタミナやペース、メンタルと相談してスケジューリングできるようにする。

仕事とプライベートの切り替えは得意である。仕事をプライベートに持ち込まないが、プライベートは仕事に持ち込む。こうやって緩くやっていきたい。

○何事も、一気に集中してやろうとしていないか

仕事や作業などにおいても、自分を過信して無理をせずに小分けにする。コンスタントにやり続けることを重要視する。
ダメージを最小限にするにはどうするべきかを取り組む際の一つの指標とする。これによってずいぶんと消耗を抑えられる。

noteを書くのもそうだが、かなりゆったりとしたペースで書いている。
一気に何千文字も書くのはできなくはないが消耗は激しい。

○区切りのいいところで、タスクを終えていないか

作業を小分けにしてやるとき「区切りがいいところまで…」と区切りが良いところまでやるのはあまりよくない。
「もうちょっとやりたい」と思えるところでやめておくのが、翌日続きに取り掛かるときにスムーズに始められる。
区切りがいいところで辞めてしまうと一息つく感じがあり、気持ちが切れてしまったり、やる気が逸れてしまったりする。心残りがあるくらいの余力を残して半端な状態で終えるのがいい。

最近note書くときは文の途中でも中断することがある。区切りがいいところで辞めがちだが、これは半端なところで辞める方が確かに良いなと素直に思った。

○つながらない時間をもっているか

情報や連絡を遮断する時間を意図的に設けているか。
集中や没頭する時間を意識的に作ることが重要である。

スマホ依存症なので結構難しかったが、最近は意識して紙の本を読む機会を作って短時間でも集中する時間を作る練習をしている。
そういう時に限って急ぎの連絡が来てたりするのは何なんだろう。

○休みがあったら寝ていたいか

休むのが大事な年齢にもなってきたけど刺激になるようなこともしようということ。それが精神のリフレッシュになる。

家でゴロゴロと過ごして終える休みが一番好きと言っても過言ではない。
日曜日には基本的に予定は入れない。

○身銭を切る自己投資をしているか。

知的好奇心を刺激するためには、自分のお金を使う感覚が無いとなかなか本気で学べず身に付かない。
お金を払って自分の身体で習得するといった学びにこそ意味がある。
本を読むのも自己投資でありインプットとアウトプットをすることで知的刺激を得られる。

最近は読むペースの3倍くらいの勢いで本を買いすぎている…。
引きこもって本を読む日を意識的に作りたい。

○自分の健康を支えるための「習慣」を持っているか

・睡眠をきちんととれているか
・体にいいものを食べているか
・血行はいいか
・腸の働きはいいか
・肝臓に優しくしているか
・自律神経を整えているか
こういったことを気を付けて健康を維持するための習慣を持っているか。

久々にめちゃくちゃ心が痛い内容である…。
睡眠はへたくそだし、肝臓は健康診断「D」だったし、自律神経はすぐに副交感神経系がバグって寝れなくなる。
規則正しい生活とは途方もなく難しいものである。

あとがき

学問のすゝめは、西洋の色々な本から意訳したあらゆる学問の中から、一般の人が心得ておくべき事柄を挙げて、学問とは何かを示したものである。
この一般の人が心得ておくべき事が、「それは本当にそう、そうなんだけど難しいんだよ」といった内容が満載である。
色々な現代語訳があるので読んでない人は是非機会があればどれでもいいので手に取ってみて欲しい。
2種類の現代語訳と原文を少し見たが個人的にはやはり読み慣れてるのもあって齋藤孝さんの訳が読みやすかった。漫画でも十分かもしれない。

読んでいくと、福澤諭吉が何故現在の壱万円札になったのかなんとなくわかってくる。
しかし、勝海舟と仲が悪いことは有名で、勝海舟・榎本武揚を批判した内容も含んだ「瘦我慢の説」等も刊行してたりと人間味のあるエピソードも多くて面白い。これらはググるといっぱい出てくるので興味がある人は是非。


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