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派遣会社の矛盾

私が配属されたのは、日本橋支店のサポート営業。
すでに働いている派遣さん(スタッフ)のサポートをしながらできる限り長く働いてもらうのとあわせて、その企業でのパイを広げるための営業でした。

能力のある人が差別なく働ける世の中にする!
そう決めて飛び込んだ派遣業界ですが、そもそも「派遣」という立場自体が正社員との格差があるということを仕事をしながら感じました。

すべての人がそうではないと思いますが、
「正社員になれないから派遣で」
という考えの方も一定数いるという事実を目の当たりにし、自由に働くということはなかなか難しい問題だと感じ始めました。

私はサポート営業として100人近くのスタッフを担当にもち、頑張っているスタッフにはできる限りサポートをしながら前向きに仕事をしてもらうことを第一優先に仕事をしていました。スタッフが頑張ってくれたら、企業からの評価が上がるはずだと信じて、まずは派遣さんを優先に対応していました。

そもそも新卒の人間が、キャリアのあるスタッフの悩みを聞くなんておこがましい話なのですが、できる限り話を聞き、少し理不尽だと思ったらクライアントの人事の方にも相談しつつ、職場環境をできる限り整えました。
そうやって悩みを聞いていくうちに、そのスタッフからの信頼も得ることができ、また仕事内容もかなり細かいところまで把握することができ、その知識から人事と会話をすることができと、いいこと尽くしだったのやはりスタッフ対応は手を抜いてはいけないなと今でも思っています。

その甲斐があってか、私が担当しているスタッフの更新率は本当に高く、よほどの事情がないと辞めることはなく、結果的に対応もとても楽になりました。
スタッフ変更となると代わりを探さなければならず、そこから面談などがあり、下手したら競合会社の候補者に負けてしまうと、結果的に対応人数が減ってしまうのでリスクしかない。私は会社に貢献しているんだ!とずっと思っていました。

ところが、会社の評価制度はあくまで「新規受注」の数字のみ。
スタッフが何人辞めても、新規が増えれば評価が上がるというものでした。

ただ、新卒数か月の人間にそんなにポンポン新規受注が来ることはなく、忙しい割には評価が上がらないというジレンマに苦しんでいました。
それに、そういう評価制度自体、私はあまり納得がいかなかったのです。
更新率を上げることがいかに効率よく売上貢献をしているかというのを上司にも言ったことがあるのですが、それで制度が変わるわけもなく、かといって自分の評価を上げるために、スタッフ対応に手を抜くことは自分の信条的にどうしてもできず、ずっと悩んでいました。

売上を上げるためには、新規をとらないといけない。でも売り上げは上がらない。スタッフ対応も手を抜きたくない。
何度考えても、やっぱり自分の信条は曲げられない、と思い、私は私のやり方で営業活動を進めることにしました。


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