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トヨタのタイヤの除電特許 その2

好評の特許解説の続き

このページから読もうとされた方は順番がありますので、必ず”その1”から読んで下さい。物事には順番がありますので。
その1に続いて、トヨタ自動車の特許の文献のコピー&ペーストを太文字にして、その下に解説を書きます。

【0004】
  なお、特許文献3には、タイヤに充填された空気の圧力差が生じることによる偏平変形を抑制するために、タイヤに充填された空気を活性化させる装置が記載されている。この装置は、タイヤに充填された空気と、その空気に照射する放射線を発生させる放射線発生手段との間に、タイヤが装着された導電性金属製のホイールを金属層として介在させている。

特許物件3これは別会社の特許、「物質活性化方法および装置」の事を指します。
微弱な放射線を用いて物質を活性化する技術で、これをタイヤ内の空気に使った特許。この特許をトヨタ自動車が引用して解説しているのです。
タイヤの回転によるタイヤの扁平部分(接地部分)の復元(元に戻ろうとする)作用により、転がり抵抗が増大すると同時に、スタンディングウェーブ現象の一因になる。
この特許によると、イオン化(⊕または⊖に電離)されたタイヤ内部の空気はその弾力性が増加するため、タイヤと路面との間に生じるミクロの擦れが減少してタイヤ摩耗も減少し、かつ横風を受けた際や厳しい運転操作がなされた際の車両の動的安定性を増加させる、タイヤ内部の空気はタイヤの摩擦音を増幅させないため、タイヤ騒音の増加を抑制と書かれており、有効な放射線を使用しても、タイヤ内の空気をイオン化する事で、タイヤの除電と同様の効果が得られるようです。
技術としては確立出来ていますが、各タイヤハウス内に電源を引き、放射線を照射する。コストとスペース、放射線を考えると実用化は難しいでしょう。
マジ軽ナットのネットショップの商品説明を読んで下さい。あえて書いていない(公道では同一条件での比較が困難の為)事もありますが、同じ効果を謳っています。

【0006】
  特許文献1に記載されたように車輪の回転中心位置に自己放電式除電器を取り付けることにより車輪の回転中心位置近傍の静電気を除電することが期待され、その結果、走行安定性を向上させることができると考えられる。一方、車輪の回転中心位置に自己放電式除電器を取り付けた場合には、除電できる領域に限りがあり、走行安定性を向上させるために技術的な改善の余地がある

トヨタは金属板を何枚も貼り、面積で除電する方式

自己放電除電器というのは、トヨタの静電気を除電する特許の名称。アルミ箔・アルミ板等を車体に貼ってそころから放電させ、除電する装置の名称です。
それを使いタイヤの回転の中心位置に付けて除電すると、走行安定性を向上させることが出来る。タイヤの除電のメリットの一つ”走行安定性の向上”という文言まで出て来ています。
しかし、中心位置にその装置を取り付けると除電する領域に限りがある為、改善の余地があるというのは、ホイールのセンターで除電するとその領域が限定的になるので、改善の余地があるという事。
ここまで書いているブログはないと思いますが、車は走るのでタイヤの除電の範囲がボディー側面に及ぶのです。
自己流の除電をしている方は「乗り物は走る」それを考慮に入れていますか?そもそも放電させる理論がなければ、除電は出来ませんが。
分かりやすいように可視化しました。

中心だけの除電の範囲
タイヤの外側になるほど除電の範囲が広がる

上の写真を見れば一目瞭然。さて、タイヤのエアーバルブはどこに付いているでしょう?
特許文献1は2014年8月に特許を出願しているので、その時にはホイールの中心位置での除電しか考えていなかった、”改善の余地”の解決策として、2017年4月にこのホイールの外周とタイヤの側面で除電する方式(上の図)で特許出願をしたのです。

マジ軽ナットは、タイヤの除電だけを目的に開発したのではありません。
ネジ自体で固定しつつ除電が出来るという、一石二鳥の除電方法は今までになかったもので、取り付け箇所の範囲がすごく広いというのは、お分かり頂けると思います。これこそが、ネジ・ボルトで固定出来る特許の素晴らしさの肝なのです。
アルミ箔は安いので自己流の除電チューニングに一番多く使われています。
たまに目にしますが、基本が分かっていません。それについては語る事はしませんが、思い込みでは除電出来ないのは確かです。
静電気の除電は放電する理論に則って、丁寧に確実に効率良く行わないと効果は生まれません。素人考えだけでは放電などしないのですよ。
自己流でタイヤの除電をされた方が、マジ軽ナットをネット購入。インプレッションを連絡下さいました。
「正直申しまして、驚きの連続でした」、「本物との違いを実感しました」との事です。
次なる除電箇所のお問い合わせがあり、ラジエターホース用マジ軽バンドを取り付け、いつもの感じでアクセルペダルを踏んだら車が思いの外進み、思わずアクセルを戻したそうです。「立体駐車場でもサイドブレーキを使わず発進出来ますよ」とお伝えしました。次なる箇所もお伝えしていて、サイズを計測する段階です。
ネジ式での除電方法を初めて見た時に「これは凄い、いける!」と確信しました。そして、その通りになっています。

【0007】
  また、特許文献2に記載されたようにタイヤに導電路を形成すれば、車体の静電気を路面に放電することにより車体に静電気が帯電することを抑制できる。一方、静電気は、車体全体に均一に分布されず、例えば、電気伝導率の低い材料で車体の外表面を塗装した場合などには、その部分に多くの静電気が帯電すると考えられ、また樹脂材料などの電気伝導率の低い材料で形成された部材に多くの静電気が帯電すると考えられる。そのように比較的大きな静電気が帯電する箇所が車体の外側に露出している場合には、その静電気と空気との間に斥力が発生して、空気流が車体から剥離し、走行安定性などが悪化する可能性がある。

特許文献2は”特許解説シリーズ”で書いた、住友ゴム(ダンロップ)の転がり抵抗を減らす為にシリカを配合したら、タイヤの電気抵抗が多くなって静電気が路面に逃げず、車体に帯電して電気障害が発生したのに起因する特許です。
「電気伝導率の低い材料で形成された部材」というのは、塗料、ゴムやプラスチック、ガラス等です。このような書き方は特許独特の表現で、材質の名称を挙げてしまうとその材質に限定しての特許となってしまい、他にも有効な材質があるかも知れない。防御的な言い回しでこのような書き方をするのです。
過去の経験から、効果のあるポイントを選んで除電しています。どこでも適当にやればいいという訳ではなく、そこにもノウハウがあります。

このような部材で作られた露出している場所というのは、バンパーや窓ガラス、プラスチック製のカバー等を指し、空気と斥力(反発する現象)により、走行安定性が悪化する可能性がある。要は形状的に段差はなくても、静電気による空気の流れの乱れが多ければ、流れが不安定になり車体の動きに影響する。
レースではカナード等を付けて空気の流れを整流させているのは良く知られていますが、ダウンフォースを得る為だけではありません。
逆に言えば、静電気を除電すると走行安定性が向上する、というのは何度も書いています。

除電の第一歩はタイヤから。そして、「除電って面白い!」となったら、次のステップへ。
カブのような自動遠心クラッチにも効果てきめん。乗っていて楽です。
それだけではなく、ミッションのギアやチェンジメカニズムへの負担も減ります、つまり軽く動くから部品の寿命が延びる、というメリットもある。
パーツに優しいという事はお財布にも優しいのです。

シフトタッチが変わります(写真はM6 低頭ダブルタイプ)

この様な特注品はマジ軽ナットのお客さんのみへのサービスです。いきなりは受注しませんので、ご注意を。
まず、どこを除電すればいいかと言えば、それはタイヤです。いくらエンジンやサスペンションの性能を上げた所で、タイヤが持っている潜在的な能力を引き出さなければいい走りは出来ません。
トヨタはホイールとタイヤの除電で特許は取得していますが、市販はされていません。
つまり、最も重要な除電箇所であるタイヤを除電するのは、マジ軽ナット一択となります。除電効率が高いので面積は必要ありません。さて、どちらの特許が優れているのでしょう。

特許解説シリーズは、大手メーカーも除電する事で効率が良くなり、性能が上がる研究をしている事を実証しています。それを知る事で静電気の悪影響があり、走行性能が悪くなっているという事実を知ってもらいたくて、回りくどい特許文献を解読しています。
タイヤ・ホイールの除電の特許はまだまだ長いので、少しずつ解説していきます。

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