見出し画像

ヨシムラの話 その4

実は貴重な資料を持っていました

”ヨシムラの話”シリーズを書いていますが、時代が前後するのをご了承下さい。
ずいぶん前(1992年頃)ですが、海外の姉妹クラブからビデオが届きました。北ヨーロッパですからVHSテープではありますが、記録方式はPALシステム、日本と米国はNTSCシステム(懐かしいですね)でそのままでは見る事は出来ません。ただ、とても興味がある事が書いてあるラベルが貼ってありました。
友人が記録方式を変換出来るビデオデッキを持っていたので、変換ダビングしました。

そのビデオは、カワサキが海外向けに作ったZ1の性能テストの記録、広告用宣伝フィルムをビデオにしたものでした。
内容は二つあり、その中の一つは「Z1のデイトナサーキットでの24時間 世界記録樹立を記録」したフィルム(元)です。
記録を保証するのは、cycle world誌。昔の計測器を使った様子、タイヤ交換を見ても時代を感じます。
数々の世界新記録を樹立した訳ですが、その過程が克明に記録してあります。

テスト車両に用意したのは4台。その中の一台は基本ノーマルのZ1、集合マフラーが付いたヨシムラチューンのレース仕様のZ1もテストしています。
それには帽子にサングラス姿の若き日の吉村不二雄氏が写っていて、明らかに走行に関わっています。
日本人や現地のスタッフが“ヨシムラ”のTシャツを着て、作業をしています。

左がUSヨシムラのスタッフ、右が3月15日付けで相談役に退いた不二雄さん

不二雄さんがZ1を押して来て、アクセルグリップを回したままデュハメルに繋げています。

カワサキのワークスライダーのイヴォン ヂュハメルと不二雄さん

なぜそうするかというと、キャブレターにアイドリング機能がないから。
つまり、完全なレース仕様だという事です!こちらのマシンは、カウルが白のゲルコートのままで塗装してありません。少し写っている別のZ1は、カウルまで塗装されているので、そちらが本命で持って来ていたけれど、調子が悪かったのでしょう。
予備車とのカウル交換の時間が取れず、奥から持ってきた方で走る事になった…と読み解けます。そうでなければ、世界記録達成の一大イベンなのに、車体のイメージカラーと余りにも違う白色で走る訳がないでしょう。
また不二雄さんにお会い出来れば、お聞きしたいものです。テストライダーの一人はイボン・デュハメル。当時、カワサキのワークスライダーでした。

ヨシムラが、なぜホンダからカワサキ、そしてスズキに替わっていったのかは後で書くとして、ヨシムラチューンのZ1の音は素晴らしく美しい。オーバルコースのDAYTONAにヨシムラZ1の乾いた音が響き渡るのです。
SNSでは購入したマフラーを自慢する方は多いですが、マフラーの特性を決めるのは何かを知ってます。マフラーについて「ここが性能のポイントだ」と書く方もいらっしゃいますが、実は違う。実際に作っていた人から聞きましたが、これは社外秘だそうですので書く訳にはいきません。
レース用はエキパイを太くしたいのですが、規格のパイプでは合う物が無い。それで、鉄板をバーナーで炙りながら機械に入れて巻いてパイプを作っていた。溶接面があるから曲げるのがとても難しかったそうです。
材質がチタンに代わってからは、ある工夫をして規格のパイプで作っていました。

手曲げでも殆ど修正なくピタッと収まる技術

マジ軽ナットの秘密と同じで、根本のところは企業秘密ですから、質問されてもお答えする事はありません。
3月で陽平君が社長に就任しました。除電チューニングに興味を持つのかどうかはこれからです。除電チューニングは少し前はオカルトチューニング等と揶揄する人がいましたが、的確な場所でちゃんと除電すれば効果があります。4輪レースでは除電は当たり前、私のルートで今度TRDのフォーミュラーカーでも試すそうです。その他、ホンダのエコランでも採用され、つい先日それ用の追加分を納品しました。
理屈は簡単、フリースに静電気が起こると脱ぎにくい、帯電防止スプレーで除電すると少ない力で脱げる。帯電は物の動きを悪くしているから、除電すれば当然、少ない力で動く。エンジンの吹け上りが早くなったり、サスペンションの動きが良くなる、タイヤの転がり抵抗が減って接地感が向上する。
少しのお金で効率が良くなり、結果的に元が取れてしまうのが除電技術です。
それは2ストローク、4ストローク関係ありません。マジ軽ナットヘビーユーザーのNSR250R ホンダの名車ですが、SNSでマジ軽ナットを知って即購入。タイヤの除電効果で興味が湧き、様々な部分を除電チューニングしています。
タイヤはもちろん、ミッション、サスペンション、吸気系、ラジエターホースとどれも効果があり、乗るのが楽しくなったと何度もSNSにアップ、連絡も頂いています。NSR250R維持保存会のサイトに、除電チューニングの事を書かれたようです。

ステージ I  インシュレーター用マジ軽ボルトとラジエターホース用マジ軽バンド
フロントフォークに取り付けたマジ軽バンド

ヨシムラの話に戻り、Z1の記録映像は最後に数々のワールドレコードを達成して終わるのですが、その後、元ネタをくれた姉妹クラブが日本のオートバイメーカを訪問したいと、私に打診して来ました。
後で書くかどうかは分かりませんが、総勢男女11名がノルウェーから来日しました。うち、3~4名がオートバイの代理店で働いていて、最新型から旧車まで幅広く取り扱っていました。
私がオーガナイザーとなり、メーカーと交渉し、製造ラインの見学、会議室を借りての元テストライダーや元ワークスライダー、元開発者もお招きして、質疑応答の通訳などをしました。
その後はキヨさんのアイデアで親睦会も開けました。
メーカーの広報にこのビデオ(元フィルム)をDVDにしてプレゼントしました。なぜなら、そのような貴重な資料がメーカーには残っていなかったからです!そんな事があるのですね。
歴代の名車で世界記録を達成した資料がメーカーに無いなんて。

大元が重工業故か、大雑把なのかは知りませんが、質疑応答にしても古い資料がほとんど残っておらず、その代理店では旧車も扱っているので古いバイクの質問もあるのですが、「昔過ぎて、よう覚えておらんなぁ~」と、遠い記憶の彼方となっており、マニアの方が詳しい下剋上のような感じになっていました。(笑)

その後、カワサキワールドは神戸港に移りましたが、もし、上のビデオが流れていたら、遠い国から戻って来た映像です。
メーカーにはもっと歴史を大切にして欲しい。出来れば、デジタルリマスターして欲しいものです。

タイヤを除電すると転がり抵抗が低減する、という事はタイヤの負担が減るから寿命が延びる。レース展開ではもちろんの事、それを体験したマジ軽ナットユーザーから、またまた嬉しい報告も頂きました。

一般的には余り知られていない除電チューニングを広めるべく、ブログを書いている訳ですが、今度はマジ軽ナットの情報がTRDに伝わり、「試してみたい」となりました。TRDはトヨタの子会社で、トヨタ自動車は多数の除電の特許を取得しています。当然、レースではトヨタ流の除電チューニングを施しているのですが、それでも興味を持ったようです。
実は別の元レーシングドライバーがマジ軽ナット タイヤ用を購入。効果を確認してから、ご自分のプリウスαの数か所に追加の除電チューニングをしました。
そこでも走行安定性やハンドリングの改善を確認して、様々なレーシングカーにマジ軽ナットを取り付け、未装着からの変化の報告を頂いています。
何度か書いているように、自動車レースでは除電チューニングは既に行われています。それでも更に良くなった。
ポイントは静電気の地産地消という考えと放電量の多さ。トヨタ自動車より早く特許を取得出来ましたので、その点では少しだけ先輩と言えますね。
この除電技術は面白いもので、ゲームのオセロのようなものです。
「そんな事がある訳ない」という黒い玉(石と呼ぶらしい)を、「本当だ」、「変わった」という白い玉にひっくり返して来ました。
正直、初めは大変でした。フリースを除電すると少ない力で脱げるのは理解出来るけれど、タイヤが少ない力で回るとなると理解不能になる。
違いは帯電防止スプレーか、マジ軽ナットかの除電方式の違いだけなのですが…。
それで、フリーマーケットに自転車を持ち込み、実際に乗って体験してもらいました。今でもフリマやイベントの出店で、百人組手で様々な質問にお答えしたり、取り付けのアドバイスをしています。
そのような事が出来るのは、この方式の除電の全てを知っているから。企業秘密の部分はお伝え出来ませんが、フリマではブログには書かない事まで踏み込んで説明しています。

8月のエクスチェンジマートの開催予定日は18日(日)
天候により延期になる場合があります。今回も既に特注のオーダーを受注しているので出店を予定しています。
開催予定日が近づいたら告知致します。
ヨシムラの話はまだ続きがあります。お楽しみに。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?