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モノ作りの考え方 #5

軽量化について書きます

物を動かすにはエネルギーが必要ですね。同じ重さなら馬力が大きな方が早く動かせる。同じ馬力ならば、軽い方が早く動く。中学生時代、自動車レースに興味があり、F-1のレースもテレビで観ていました。その頃はFRPでアルミのハニカム(六角形のハチの巣状)を挟んだ、複合材料が使われていました。それから、アルミ材が主でした。ネットもない時代に、多分雑誌を読んで知ったのだと思います。小学生の低学年では、飛行機博士。特に戦闘機に興味がありました。飛行機自体、飛行距離を伸ばすには軽量化が一番。もちろん、エンジンの設計、形状も関わりますけど。
軽量化で最先端なのは、宇宙やロケット。次に戦闘機、そして航空機となります。
1960年代、米国のアポロ計画では、宇宙に行って無事に地球に還るために、コンピューターで演算をします。昔はそのコンピューター自体が重かった。
エンジンの出力が不足しているので、それを技術革新してコンピューターを軽量化出来たおかげで、月まで行って帰って来られたのです。
時は1984年。レース部品を作っている友人の同級生と仲良くなり、「僕のコレクションを見に来なよ」となりました。私より一つ年上で、全然お金のない私と違って、お金持ちの家庭で育った人です。そこで、ガレージに伺うと、なんと20台位のオートバイのコレクションがずら~っと並んでいました。
すごく有名なマシンは無かったと思いますが、YAMAHAのYSD-2やレーサーのTZ250とか、市販車とかが並び、「何でこんなにあるんですか?」と質問しました。コレクションホールのようにきれいにはなっていませんでしたが、貧乏生活の私からしてみると、「すごいなぁ」と感心しました。
そのうち、「これ、持ってみなよ」と、シャフトを持って来ました。
それは、オートバイのアクスルシャフト。車輪の中心にある、回転の芯となるシャフトです。
それを私に渡そうとするので、自然な反応で手を出してそれを受取ろうとしました。シャフトが手のひらに載ると、手が上がってしまいました! ←この意味はおわかりでしょうか?
今までの経験で、頭の中で鉄製のアクスルシャフトのイメージがあります。何も言わずに渡されたから、反応としてそれに相応する力を入れたのです。そうしたら、そのアクスルシャフトがものすごく軽くて、持ち上がってしまった!という訳です。

彼は笑いながら私に言いました。「これはマイク ヘリウッドが実際に乗っていたホンダのレーサーのアクスルシャフトだよ。チタンの中空なんだ」。どういうルートで手に入れたかは知りませんが、RC166のフロントホイール一式を持っていたのです。
上が、ホンダコレクションのRC166、その走行動画です。ライダーは宮城 光氏。実はマジ軽ナットの発明者である友人の後輩です。

本田技研工業(株)ホームページから引用 RC166 60PS以上 18,000rpm 

マイク ヘリウッド氏は伝説のワールドチャンピオンライダーで、その偉業は今でも語り継がれています。詳しい事はホンダのHPに書いてあります。
まだ、POPの等長のエキゾーストパイプの集合マフラーは発明されておらず、6本マフラーです。ヨシムラについては後で詳しく書きます。
RCとは、ホンダのレーシングマシンを意味します。そのワークスレーサーの部品を所有していたのです。「こんなに軽いんですか!」と私。「そうだよ、しかも中空だからね」。まるで、プラスチックで作ったのかと思う位、軽かったのです。
1960年代、まだまだ日本が貧しかった時代。まだ中小企業だったホンダは、レースに勝つために、製造にものすごくコストがかかるチタンを、中空に加工して軽量化していたのです。
これは、オートバイに宇宙・航空機技術を導入したものです。このような軽量化は日本ではホンダが一番早かった。既に防衛産業をしていた川崎重工業の傘下のメーカーでは、60年代終わりか70年初めでも、レーサーのカウルで鉄製という時代があったようです。
パワーがないオートバイは、意外と早く軽量の部品や複合素材が使われています。私がカーボンファイバー製の部品を初めて見たのは昭和の時代でした。そのような部品が一般でも使われるようになったのは、オートバイ・自転車ではないでしょうか。やはり、限りあるパワーで早く、遠く走るには軽量化するのが手っ取り早いからです。
そんな訳で、私のバイクはある程度、チタン・アルミのボルトやナットを使っています。もちろん、全てではありません。強度や場所を考えて、自己満足程度です。ずいぶん前から値段が凄く上がってしまい、そうそう買えなくなりました。世界的に需要が伸びたのでしょう。
そのうち別の角度から、早く走る事について書こうと思います。
除電チューニングは軽量化やローフリクションと似ています。
除電はかけたお金以上のコスト削減が出来る技術、自動車レースでは静電気の除電チューニングは当たり前に行われています。
理由は簡単、部品の動きが良くなり、抵抗が減って走行性能が向上するからです。マジ軽ナットの除電技術は自動車の技術サイトに掲載されています。

※タイトルの写真は本田技研工業(株)ホームページから引用
 マイクヘリウッド 1966年 


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