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Flower BatonとTrio Lila①きっかけ編

今回はTrio Lila Concert Vol.2に際して実証実験に協力した「Flower Baton」について2ndヴァイオリンの増本鈴音が書いていきたいと思います。

2021年11月上旬、私の元に届いた一通の現金書留。
「いつも応援しています。そして今後の活躍を期待しています。」というメッセージと共に活動への援助資金が一緒に送られてきました。
結成したばかりのTrio Lilaにとって、また駆け出しの音楽家たちにとって、活動資金は死活問題。
改めて文字にするとかなり生々しいお話になってしまいますが、これが音楽家、また芸術家の現実。自分が信じる音楽をしたくても継続が難しかったり、何かを諦めなくてはならなかったり。常につきまとう、目を逸らすことができない事実。
クラウドファンディングは一時的なものになってしまうような気がして「継続」を掲げる私たちには何か合わないなという思いやお金を集めたからといってすごく大きなものを作れるというわけではないという、少しの矛盾と葛藤。ただの資金集めではなくて、純粋に私たちTrio Lilaの演奏、音楽を聴いて良い!好き!と思ってくれる方たちの輪を広げていくことが音楽家としての使命であったり意義ではないのかという思いから、クラウドファンディングをするという結論には至りませんでした。
資金援助フォームから任意での投げ銭ができるプラットフォームを作ってもよかったけれど、「資金を援助してほしい」と私たち音楽家から声をあげることは、芸術のある種囲まれた空間を演出する側としては、裏の裏まで見られることに対して抵抗感がありました。
そんな中で届いた現金書留。走り始めたばかりの私たちにとって、応援者がすぐそばにいるのだということを実感した第一歩。この「応援者」の存在があることで私たちの心の支えになる。さらにはこの「応援者」が可視化されることによって、距離を近くすることができ、応援の輪が広がるのと同時にTrio Lilaの活動も知ってもらうことができるのではないだろうか。そんな思いが湧き上がってきました。

しかしどうやったら良いのだろうか…と少し途方に暮れていたところ、メンバーから「フラワーバトン」の初期のウェブサイトがあるということを話し合いの中で浮き上がってきました。
「音楽家へのギフトといえば、お菓子やお花を贈ることが一般的です。しかし、コンサート収益だけでは必要な楽器や衣装を買えない音楽家が多いのも事実です。そこで、ギフトの仕組みを変えることでもっと音楽家も、ギフトを贈る観客も喜び、素晴らしい芸術を生む糧にできないか?そんな気持ちからこのサービスは生まれました」というメッセージがシンプルに配置され、「お気軽にご連絡ください」の文字。本当に連絡が返ってくるのだろうか、変なところに繋がってしまわないか、不安が入り混じりながらも、一か八かでメールアドレスに連絡することを決断しました。クラファンではないけれど「ギフト」というところに着目してみれば、支援金という固い響きやハードルの高さを解決できるのでは?という興味と、考えてみれば演奏会の時によくいただく花束やお菓子の「ギフト」を贈る文化はなんのためにあるのだろうか?という当たり前化されていた習慣を考え直すきっかけになりました。また、最近のご時世で頂き物をお断りする風潮があるものの、ご好意で持ってきていただくものをやんわりお断りするのも、なんとなく難しいなぁと思っていたとき。このもやっとした気持ちに整理をつけることもできるのではないかという期待もありました。

Lilaの会議を終え帰宅しながら、文章を書き、メールが返ってこなかったらどうしようと思いながら送信して返信を待つことわずか1日…!ぜひzoomで直接ご説明を!というお返事と実証実験中のプロジェクトであること、私たちが最初にたどり着いたウェブサイトがリニューアルされたものを送っていただきました。

そしてどきどきしながらのzoom。ビジネスマンの方々とお話しすることはあっても、同じ土俵の上に立って話を聞く・話をする経験というのは音大生の私たちには滅多にないこと。初対面の方とオンラインで話すというのも間合いやテンポ感が掴みにくく、難しさ、焦りと動揺がありました。しかし、丁寧な説明や芸術家・音楽家に対する理解と抱える問題にどうやってアプローチしていこうかという真っ直ぐな姿勢を見聞きすることができ、実証実験中のプロジェクトに参加・ご協力することを決めました。
なかなか口に出せないことや触れてはならない部分を別の視点から見つめ直す良い機会と、この企画が広まる少しのお手伝いができればと思い、新しい一歩を踏み出した私たちでした。

次回はTrio Lilaとしてどんなふうに関わったのか、またそこから生まれた取り組みについてをご紹介したいと思います。
更新をお楽しみに!

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