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遺留分はなぜ存在するのか?

■遺留分とは?

皆様既にご存知かとは思いますが、
初めに、「遺留分とはなにか」についておさらいしていきます。

遺留分とは、
各相続人に最低限認められた被相続人の財産を受け取る権利です。
被相続人は誰にどれだけ財産を受け取ってもらうかを
遺言によって自由に決めることができます。

しかし、遺留分権を侵害するような遺言を作成してしまうと、
遺留分を侵害された相続人から、財産を受け取りすぎている相続人へ、
金銭の請求がされることがあります。(=遺留分侵害額請求

▲遺留分の詳細

遺留分割合は上記図の通りとなっています。

◎「相続放棄」が行われた場合の遺留分の考え方
お子様が二人いるご家庭で、
お父様が法定相続人でない第三者に財産を全遺贈した場合。

お子様の遺留分権は財産額の1/4ずつとなりますので、
受贈者に対して遺留分侵害額請求を行うことができます。

では、お子様のうち一人が「相続放棄」をした場合は
どのようになるでしょうか?

相続放棄をしていないもう一人のお子様は、
当初の遺留分権の通り1/4までしか請求できないかといわれると、
そうではありません。

相続放棄をすると、「初めから相続人ではなかった」扱いになるため、
法定相続人が一人となり、遺留分権1/2全額を請求できます。

このように、相続人が相続放棄するかによって、
遺留分の額は変動するという点は、
遺留分割合の論点の1つといえるでしょう。

■なぜ遺留分制度が存在するのか?

遺留分制度は日本の「家督相続」の名残が色濃く残されていると考えます。
家督相続とは、
家の財産は長男が家督ごとすべてを相続するという戦前の考え方です。

日本人は古くから財産を個人ではなく一家に帰属するという考えをもっているように感じます。
昔だけではなく、今でも上記の考えは残っています。
親から居宅を相続した場合、「受け継いだものである」と考え、
売却をためらうような傾向があるのがその一例でしょう。

法律上の所有者であっても、一家の代々受け継いだ財産(居宅・田・畑等)は所有者の一存では決めてはいけないという家督相続の思想が基盤となり、
第三者に一家の財産を流出、譲渡させた場合に
「遺留分権」という権利を認め、
財産の一部を取り戻すような仕組み、
所謂、「遺留分制度」というものが作られたと考えることができます。

■現在の遺留分の考え方

現在の日本の民法では、家督相続は完全に廃止し、財産は個人に帰属するという前提で運用されています。

しかし、遺留分制度は残ったままです。

これは、遺留分制度を廃止してしまうと、被相続人が自由に財産を処分できることになった結果、相続できると考えていた相続人の期待を裏切り、生活難を引き起こす可能性があることが理由です。

遺留分制度は相続人を保護する目的で存在している制度となっています。

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