生前整理を進めるために財産目録を作る
■生前整理とは具体的に何をする?
生前整理と聞いて、何をイメージしますか?
生前整理においては、家財道具や財産の整理だけではなく、今後自分(ご本人)がどう暮らしていきたいのかをイメージしていただくことが大切です。
◎介護
介護といっても種類は様々です。
ご本人に介護が必要になった時に、誰に・どこで・どういう風に介護してほしいのか、
入りたい施設はあるか、できる限り在宅介護を希望するか。
将来の介護のイメージを持っていただくと、それに合わせた生前整理が可能となり、整理の後に「こんなはずじゃなかった」という状況に陥ってしまうことを防ぐことができます。
◎住み替え
もし相談者が住み替えをする予定であれば、家財道具の整理をする前に住み替えする場所を決めておくことがポイントです。
生前整理をした後に場所を探して住み替えを行った場合、整理したはずなのに物が部屋に入りきらない、もしくは片付けをしすぎてスペースが余ってしまうなんてことがあります。
住み替えを検討している場合には、先に住み替え先を選定し、内覧なども行っておくことで、住み替え先のスペースが把握でき、何を持っていけるのか、どれを手放せば良いのかが分かります。
このように、生前整理を始めるタイミングも、生前整理を満足いく形で進めるうえでは重要になります。
◎お墓
自宅の整理ではありませんが、将来のお墓について情報の整理をしておくことも重要です。
ご本人がお亡くなりになった時、入るお墓は決まっているのか、あらたにお墓を建てるか、
もしくは、すでにあるお墓を閉じて改葬したいのか?
これを決めておかないと、ご本人の意図しない形で埋葬されてしまう可能性がありますし、
ご親族も対応に困ってしまいます。
専門家としては、決まったお墓があるのか、改葬の意向などがあるのかを確認し、決まっていない場合には、家族間でお話してもらうことを促しましょう。
また、お墓はご本人やご家族だけで建てられるわけではないので、可能であれば、お住まいの地域で相談できる墓石屋さんなどもご紹介できるといいですね。
これ以外にも、葬儀や供養のスタイルなど、ご本人が元気なうちにイメージしてもらい、準備を進めていただくことがポイントになります。
■財産目録を作りましょう
財産をどう処分するのか、どう引き継ぐのか、これを決めておかないと相続人が困ってしまう場合があります。
財産の承継について、ご本人が検討する際やご家族が把握する際に有効なのが、財産目録を作ることです。
財産目録を作ることで、ご本人が所有している財産を可視化できるため、残されたご家族もスムーズに手続きを行うことができます。
以下、財産目録を作成するポイントについてお伝えします。
◎不動産
ご本人のご自宅の相続税評価額と売却価格を把握しておくことが大切です。
お持ちの不動産が売れるかどうか、売れるとしたらいくらになるのかを知っていただくことで、残されたご家族が家を手放す際のハードルを下げることができます。
◎預貯金
預貯金と聞くと、いくら保有しているのかを想像する方が多いですが、どの金融機関・支店にお金を預けているのかについても、いつでも共有できるようにしておくことが大切です。
また、口座の解約は相続人から行う場合、大変手間のかかる手続きが必要になりますので、もし、使っていない口座や整理できる口座がある場合には、あらかじめご本人にて解約、整理を進めておくと、後で発生するご家族の負担が大幅に軽減することにつながります。
◎有価証券
株や投資信託を保有していることをご家族に伝えていますか?
遺品整理をしていく中で、ご本人が亡くなったあとに「株をやっていたのか…!」と判明することがあります。
株などを保有している場合は、口座のある証券会社はどこか、あらかじめご家族と共有しておくとよいでしょう。
但し現場では、損失が大きく恥ずかしくて家族に言えない。。という方もいらっしゃいます。
そのような場合には、第三者として情報をもらえる立場にいるのであれば、ご家族の代わりに専門家として情報を伺っておけるといいですね。
◎生命保険
保険には入っているが、ご家族は内容までは知らない…というケースも非常に多いです。
どこの保険会社の保険に加入しているのか、保険証券はどこにあるのかをご家族がすぐ把握できるような形で目録を残しておくように助言しましょう。
◎絵画・骨董品
趣味で購入した貴金属や骨董品など、ご本人が価値があると思っていても、実は価値が落ちていたり、
その逆で価値がないと思っていたものが、数百万円になることもあります。
ご本人だけでなく、ご家族も価値を見極めるのが難しいため、可能性が少しでもある場合は鑑定に出すことを検討しましょう。
このように、生前整理においては、単なるお片付けだけでなく、ご本人が別途準備すべきものがたくさんあります。
ご本人が大事にされているものとしっかりと向き合って、納得できる生前整理ができるよう、ご本人と(将来相続人となる)ご家族の視点の両方から必要な助言をしていきましょう。
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