事業承継×家族信託の特徴とは?
メディアへの取り上げられ方や、弊社の顧客層の幅の拡がりを見ていると、家族信託の認知度はここ1、2年で大きく上がってきていると感じます。
これまでは「家族信託を知っていれば(対応できれば)付加価値となる」時代でしたが、今後は「家族信託を知っていて(対応できて)当たり前」という時代に入り、家族信託ができるだけでは差別化要因にはならなくなると考えられます。
ただしそれは、「認知症対策としての」家族信託に限った場合です。
今回は、家族信託を活用した「事業承継」について解説をさせていただきます。
■事業承継において家族信託を検討すべきケースは?
◎家族信託以外の事業承継の方法
事業承継と一口に言っても様々なパターン、方法がありますが、
中でも以下の4つのアプローチを検討することは多いと思います。
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① 株式の贈与・譲渡
② 新事業承継税制を適用しての贈与
③ 種類株式(拒否権付き株式など)の活用
④ M&A
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それぞれ、実行にあたっては以下のような障壁があります。
① 株式の贈与・譲渡
⇒事業承継時の株価が高いと、
譲渡資金や贈与税などの費用面の問題が生じる。
② 新事業承継税制を適用しての贈与
⇒適用を維持するための条件が厳しい。
③ 種類株式(拒否権付き株式など)の活用
⇒会社の謄本に種類株式の内容が記載されてしまうことに
抵抗感を持つオーナー経営者が一定数存在する。
④ M&A
⇒不確実性が高く、完了するまで長期間を要してしまう(または実現しない)。
昨今の中小企業の経営者の方は70代〜90代の方の割合が非常に多いと言われています。(中小企業庁『2022年版中小企業白書』では、2020年における経営者の平均年齢は62.5歳とされています。)
①~④の方法による事業承継が難しい、且つ、現経営者に認知症の疑いがある場合や、将来的な現経営者の認知症対策をしたい場合に導入を検討するのが【事業承継×家族信託】となります。
■事業承継×家族信託の特徴
株式には以下の「2つの権利」があります。
①議決権行使に関する権利(共益権)
②利益配当請求権(自益権)
本来、株式の所有者はこの2つの権利をセットで有しています。
しかし、家族信託というスキームを導入することで、
本来、セットであった「議決権を行使する権利」と「利益配当請求権」を分離することができます。
◎家族信託を活用すると二つの権利はどうなるのか
株式を信託すると、権利の帰属が以下のように分離します。
議決権を行使する権利・・・受託者
利益配当請求権・・・委託者兼受益者
現社長が自社の株式を次期社長に信託することにより、
議決権を行使する権利が次期社長に移り、利益配当請求権(財産権)が現社長に残ります。
つまり、【事業承継×家族信託】を活用することで、議決権を後継者に移しつつも、経済的利益は現社長(委託者兼受益者)に残したままにできるのです。
家族信託は、委託者と受託者の間の契約行為のみで実行可能であり、
株式の移転コストや実行後の厳しい制約等もありませんので、他の手法と比べて実行のハードルも低くなります。
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