トレードに影響を及ぼす 4つの心理的バイアス
トレーダーはマーケットにおいて自分以外のトレーダーに勝利するだけではなく、自身にも常に勝利し続けなければなりません。
トレーダーの最大の敵は実は自分自身なのです。(元来人間は感情に左右されるもの)
トレーダーの多くは、完全に感情を排除するのが理想だと考えていますが、大きなリスクを許容することにより自動売買等システムにトレードを任せる以外、残念ながらそれは殆ど不可能なことです。
トレーダーとして勝ち続ける(=生き残る)ためには、感情をコントロールする術を学ぶ必要があります。
それにはまずトレーダーとしての強みと弱みを認識し、自分自身の理解を深めることが最善策と考えます。
トレード結果に影響を及ぼす心理的バイアスは次の4つ。
1) 過信
2) 固定観念
3) 確証
4) 損失嫌悪
『過信』
過信は、すべてのトレーダーに訪れる勘違い、自身腕前への慢心です。
自信を持ってトレードに臨むこと自体はとても重要なことなのですが、それが過剰になると非常に危険です。
余談ですが、長所と短所は反対に存在するのではなく、すぐ近くにあるもの。
過ぎれば強みはすぐに弱みへとすり変わってしまいます。
マーケット参加者の動きを理解した、相場では必ずお金が儲かる、
もうこれ以上のトレードスキル向上は自分には不要、
などと考えていることに気づいたら要注意です。
過信によるリスク
・高勝率のため資金管理のルールをおろそかにし、建玉調整がアバウトになりがち。資金効率の低下を招く。
・自信過剰に陥ると、周りのアドバイスに耳を傾けず、ファンダメンタルズによる重要なサインをも見逃す。
・間違いを認めるのが遅れ、一度の失敗で取り返しのつかない損失を被る。
『固定観念』
固定観念とは心理学用語で、「人が何かの考えを持つとき、明らかに過ちでっても、その考えを訂正しないような観念」を指すそうです。
相場で置き換えれば、将来も現在の自分に都合のいい(戦略の立てやすい)状況が続くであろうと考える傾向です。
サブプライム・ショック以降の金融危機で、世界中に多くの破産者を出したのは、日本とそれ以外の国の金利差が保たれる、
そして円キャリートレードが儲かるという固定観念に、多くの人々が、しかもかなり強烈にとらわれていた事に起因します。
現在の状況に固執し過ぎることは、小さな変化の見逃しを積み重ね、その後突然起こる劇的な変化にのみ込まれることになります。
為替相場はファンダメンタルズの変化により常に変動しているのですから。
固定観念を克服する方法は、投資におけるパートナーを持ち、どのような突飛な意見や発想も歓迎すること。
複数時間枠、複数の売買ルールを使いこなし、柔軟な姿勢を保つこと。
こうすることで視野も広がり、固定観念に陥るのを防ぐことができる思います。
『確証』
自分の信念の確証を積極的に追及しすぎるトレーダーは、都合のいい、偏った戦略を裏付ける情報ばかりに注目する傾向があるようです。
逆に都合の悪い、不利な情報やサインは黙殺、それにより最悪の結果を招くことになります。
確証バイアス克服のための最も良い方法は、自身の取引について話し合うことのできる仲間、グループを見つけることです。
さまざまな見解や考えを持つ他トレーダーと話すことで、自身ポジションを客観的に見直すことができるようになります。
『損失嫌悪』
利食いが早く、損切りが遅い... っていうか 損切りしない...
ノーベル経済学賞を受賞したダニエルカーネマン (Daniel Kahneman)は、人間は「損をするように出来ている」と言います。
⇒ 利小損大のメカニズム 参照
「お金を得た喜びよりも、失う苦痛の方が大きい」というこの理論。
言い換えれば、恐怖>>欲望 です。
損失嫌悪バイアスがまさにコレにあたります。
損切りを嫌うトレーダーは、一見運用パフォーマンスが高いのが特徴です。
が、これも長期的視点にたてば、ポートフォリオが安定せず、最終的にはマーケットからの退場を余儀なくされる (奇跡的に生き残る相場師もいますが、それは数億人いる投資家のほんの一握り...) ことが多いため、積極的な運用 (殖やす運用) にはアリかもしれませんが、大きな資金、人さまの運用を任されるような、安定的運用 (守る運用) には不向きであると考えられます。
短期的な損失を受け入れ、より利益の出る取引に即座に移行できるトレーダーを目指しましょう。
それには、
「ストップ・ロス・オーダーを設定して取引をする」ことに尽きます。
心理的なストップ・ロスでは役不足です。
なぜなら、エントリー時にさんざん自分に言い聞かせたであろう、そのストップ・ロス・オーダーを守れる人が極めて少ないからです。
心理的ストップ・ロスに従って行動するのは至難の業ですし、機械的に注文しなければ約定しないような、相場の急変に果たして対応できるものか、また立ち会えるのか、という疑問も残ります。
相場の動きはランダム。
自由度が高く、理にかなったシステム売買のルール (=ストップ・ロス・オーダーを決めるルール) に従わない限り、満足のいく結果は得られないでしょう。
直近の規則性などすぐに失われるものなのです。
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